12月30日(火) 4:10
住居の契約が賃貸借契約であるか、使用貸借契約であるかによって、相続の可否は異なります。
公益社団法人全日本不動産協会のホームページに掲載されている「借主の死亡とその後の賃貸借関係」によると、他者が所有している建物に住む場合、2つの契約に分かれるとのことです。
・使用貸借契約
・賃貸借契約
使用貸借契約とは、他人が所有する建物を無償で借りて使用する契約です。民法第597条では「使用貸借は、借主の死亡によって終了する。」と定められています。そのため、相続は発生せず、借主が亡くなった時点で契約は終了となります。
一方、賃料を支払って住んでいる場合は賃貸借契約にあたるようです。賃貸借契約では賃料を支払って使用する権利を得ているため、借主が死亡しても契約は終了しないとされています。
つまり、一般の賃貸住宅における賃貸借契約では、借主が亡くなっても直ちに契約が終了するわけではなく、相続の対象となる場合があります。そのため、相続関係や契約内容によっては、配偶者が引き続き住み続けられる可能性があります。
賃貸借契約を相続した人は、現状の住居に住み続けるか、あるいは退去するかを選択することになります。相続人が複数いる場合には、遺産分割協議によって賃借権を承継する相続人を整理する必要があります。
相続人が決まったあとは、新たな賃借人を家主に知らせ、名義承継承諾申請書などの必要書類を提出する流れが一般的です。手続きが完了すれば相続人名義での契約となり、居住を継続できる可能性があります。ただし、今後は家賃の支払いを一人で担うことになる点などは、事前に考慮しておくとよいかもしれません。
一方、住み続けない場合は、賃貸借契約の解約手続きを行うか、あるいは相続放棄によって権利を承継しないという選択肢も考えられます。ただし相続放棄を行うと、賃借権だけでなく、他のすべての遺産についても相続権を失う点に注意が必要です。加えて、一度行った相続放棄は原則として撤回が認められないため、慎重な判断が求められるでしょう。
公営住宅とは、地方公共団体が建設または借り上げて提供する住まいを指します。
中でも都営住宅には使用承継制度があり、名義人の死亡が発生した場合は、その時点で承継する世帯の収入の合計が入居収入基準以下であることを条件の一つとしています。すべての条件を満たしていれば、引き続き住居が可能なようです。
株式会社URコミュニティが提供するUR賃貸住宅は、配偶者が亡くなっても、契約名義人さえ変更すれば、遺族はそのまま住み続けられる可能性があります。
配偶者が亡くなったあとの住まいについては、賃貸借契約が相続の対象となる場合があり、状況によっては住み続けられる可能性があります。ただし、今後は一人で家賃を負担することになるため、経済面も含めて慎重に検討することが必要です。
なお、公営住宅のように一般の賃貸住宅とは異なる制度が適用される場合には、承継の可否や条件を個別に確認することが欠かせません。
こうした点を踏まえ、自身の状況に照らしながら、住み続けるかどうかを判断することが大切といえるでしょう。
公益社団法人全日本不動産協会 月刊不動産2012年8月号掲載 借主の死亡とその後の賃貸借関係
デジタル庁 e-Gov 法令検索 民法第597条第3項
株式会社URコミュニティ 契約名義人が亡くなったのですが、引き続き現在の住宅に住み続けるにはどのような手続きが必要ですか
国土交通省 公営住宅制度の概要について 公営住宅制度の概要
東京都 住宅政策本部 使用承継制度(平成19年8月25日から)
株式会社URコミュニティ 契約名義人が亡くなった
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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