12月29日(月) 10:10
まず押さえておきたいのは、日本の公的年金は「どこで働いたか」ではなく、「どれだけの期間、いくらの収入で保険料を納めたか」で決まるという点です。
会社員や公務員は国民年金(基礎年金)に加え、厚生年金に加入します。転職しても、厚生年金の加入期間は制度上通算されるため、勤務先が変わっても年金がリセットされることはありません。
仮に22歳から62歳まで同じ会社で40年間勤務し、平均年収を500万円とします。この場合、基礎年金(満額で年約78万円)に加え、厚生年金が上乗せされ、将来の年金受給額は年180〜190万円程度になると想定されます。
昇給により後半の給与が高くなる傾向があれば、さらに受給額は増える可能性があります。
次に、同じく22歳から62歳まで40年間働くものの、5回転職を経験するケースを考えます。転職の合間に数か月の無職期間があり、平均年収はやや低めの450万円と仮定します。
この場合も、厚生年金の加入期間がほぼ40年確保できていれば、基礎年金はほぼ満額です。ただし、平均報酬が低くなる分、厚生年金部分が減り、年金受給額は年165〜175万円程度になると見込まれます。
この2つのケースで生じる差は、「転職回数」ではなく、
・無職期間の有無
・平均年収の差
・保険料を納めていない期間があるか
といった要因によるものです。
転職回数が多くても、年金を減らさないためにできる対策はあります。
まず、退職後は厚生年金の資格喪失に合わせて国民年金の加入手続きを忘れずに行うこと。経済的に厳しい場合は、免除や猶予制度を活用するのも一つの手です。
また、キャリアアップ転職で年収を上げられれば、むしろ厚生年金は増える可能性もあります。
加えて、将来の年金額を把握するために「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を定期的に確認することも重要です。転職を重ねていると、加入記録に漏れや誤りが生じている可能性がゼロではありません。早めに気づけば訂正や追納が可能なケースもあります。また、企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)を併用することで、公的年金だけに依存しない老後資金づくりができます。特に転職が多い人ほど、自分で老後資金を設計する意識が将来の安心につながります。
「5回転職」か「同じ会社で40年勤務」かで、年金に多少の差は出るものの、それは転職そのものが原因ではありません。重要なのは、働き続けて保険料をきちんと納めること、そして報酬水準をどう維持・向上させるかです。
これからの時代、転職は珍しい選択ではありません。制度を正しく理解し、賢く備えることが、安心できる老後への第一歩と言えるでしょう。
日本年金機構令和7年4月分からの年金額等について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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