クリスマスと新年を迎える前に、新しいレストモッドやハイパーカーが次々と発表されることが、すっかり定着したようだ。2025年も例外ではなかった。”新車シーズン”を避けるのが恒例になり、レストモッドなどニッチなモデルの発表が相次いだ。
【画像】ロータス・エスプリS1のリマスターバージョン、アンコールS1ほか、話題になったニッチなニューモデル(写真7点)
なかでもインパクトと話題で抜きん出ていたのがアンコールS1だ。ロータス・エスプリS1のリマスターバージョンで、オリジナルがパリで発表されてから半世紀になる。限定50台、価格は43万ポンドを超える見込み。ジウジアーロのデザインを再現するため、S1をスキャンし、CADを使用して新しい形を作り出した。ベースはエスプリS4 V8で、そこにカーボンファイバー製ボディを架装する。したがって、シャシーは同じバックボーン式ではあるものの、後期の進化バージョンだ。
アンコールでデザインを担当したのは、ロータスで主要デザイナーとしてエミーラを手がけたダニエル・デュラントである。「エスプリS1は、先見性があり、純粋で、いっさい妥協のないモデルでした。そんなフォルムに手を付けるのですから、途方もない責任があります。洗練したあらゆるライン、くだしたすべての決断の裏には、オリジナルの意図を尊重しつつ、そのシルエットが約束するパフォーマンス、感触、機能を実現させようという思いがあります」とデュラントは語る。
オリジナルでは2リッターの4気筒エンジンを傾けて搭載していたが、アンコールはS4のパワーユニットを使用している。とはいえ、3.5リッター、ツインターボ、フラットプレーン式の918型V8は、ピストン、ターボチャージャー、インジェクターのアップグレードによって、最高出力は50bhpアップの400bhp、最大トルクは350lb ftに向上している。トランスミッションは、オリジナルの5段ギアボックスをベースにしているが、クワイフによって手が加えられ、4.0秒の0-60mph加速と175mphに迫る最高速度を引き出す。
アンコールの共同創業者でやはり元ロータスのサイモン・レーンは次のように語る。「この車は本質的にアナログです。私たちは、小道具に頼る現代の傾向を避けたいと考えました。したがってテクノロジーは、経験を支配するのではなく、強化するために装備されています」
この姿勢はインテリアにも反映されている。徹底的にモダンでありながら、タータンチェックのシートに至るまで、紛れもなく1975年のロータスだと感じさせるのだ。
シェルビーが初めて正式にイギリス上陸を果たした。シェルビーUKが設立され、右ハンドル仕様の販売を2026年前半から開始する。エジンバラで行われたローンチイベントには、キャロル・シェルビーの孫であるアーロン・シェルビーと、シェルビー・アメリカンのトレイシー・スミスが出席。右ハンドルバージョンのシェルビーGT350(480~810bhp)とスーパースネーク(5リッターV8、830bhp)が披露されたほか、トラックのシェルビー・ラプターとシェルビー・スーパースネークも展示された。
新会社を設立したのは、マスタング用キットを製造するCSLシェルビー。右ハンドルへのコンバートをエジンバラで行い、年間およそ30台の販売・流通は、高級車ディーラーのクリーヴ・サットンが担当する。
これらのレストモッドは比較的最近のものだが、シェルビーの正式なライセンスを取得してコンティニュエーション・モデルやカスタム・マスタングを手がけてきたことで知られるのが、クラシック・リクリエーションズだ。同社をヴェロシティーが買収し、シェルビーのライセンスも更新した。今後は、スチールボディの1967~68年GT500、カーボンボディの1967~68年GT500CR、1969年ボス429、1969年ヒットマン、そしてシェルビー・コブラに力を注ぐ。
ホンダのレースパートナーであるイタリアのJASが、初のスーパーカーを発表した。車名は、日本語で”生まれ変わり”を意味するテンセイ(転生)で、ピニンファリーナがデザインしたボディはカーボンファイバー製。「初代ホンダNSXのDNAをベースに、超モダンスーパーカーとして再解釈し、NSXをアイコンたらしめた特性を忠実に守っている」という。これ以上の説明は不要だろう。
W201型をベースにしたメルセデス190E 2.5-16エボIIをインスピレーションとするスーパーサルーン、HWA EVOが、ニュルブルクリンクで6523マイル(504周)のテストを完了。3台のプロトタイプを、セバスチャン・アッシュ、ルカ・ルートヴィッヒ、マルクス・ヴィンケルホック、ラインホルト・レンガーがドライブした。限定100台の製造が間もなく始まる予定だ。
翻訳:木下 恵Translation: Megumi KINOSHITA
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