【漫画】本編を読む
朝まで開けてはいけない和室のふすま。だったら、庭から少し覗いてみればよいのでは?怖いもの見たさで、見てはいけないものに遭遇してしまった大家さん(@ksyjkysk)の「扇風機の家」を紹介する。本作は著作権フリー&無料配信のツイキャス「禍話禍ちゃんねる 百怪忌念スペシャル」で語られたものを再構築し、漫画化したものだ。
■豪邸での留守番バイトと奇妙なルール
実家暮らしの主人公は、大学の夏休みにアルバイトをしたいと考えていたが、親からは反対されていた。時間を持て余していたある日、大学の友人から「親戚が留守の間だけ留守番を頼まれた」と連絡が入る。1人では暇すぎるため遊びに来ないかと誘われ、主人公は親戚の豪邸へ向かった。
友人が言うには、バイト代のほかにも食費などが支給される割のよいバイトだという。食べ放題、飲み放題、ゲームもやり放題。1人ではつまらないが、2人でいれば楽しさも倍増だ。主人公は友人のアルバイト期間を一緒に過ごすことにした。
しかし、このバイトには奇妙なルールがあった。「夜11時になったら奥の和室にある扇風機をつけっぱなしにする」ことと、「朝まで和室の扉は開けない」ことだ。
和室には畳一面に射的の景品のような、小さなおもちゃがたくさん散らばっていた。それらをすべて立てて並べ、扇風機を風量「強」の首振りに設定する。時間は夜11時から朝7時まで。これを毎晩11時前にセッティングするのがメインの仕事だった。
翌朝、倒れて散らばった小物を起こし、また扇風機をつける。簡単な仕事だが「なんでそんなことをするの?」と聞いても、友人はその理由を教えてくれない。
ある夜、主人公はトイレに行くために起きた。和室の前を通り過ぎると、小物が倒れる音がする。あの和室には「何かがいる」と気づいた主人公は、開けてはいけないふすまに小さな穴が空いているのを発見。開けなければ問題はないだろうと中を覗くと、見てはいけない光景が広がっていた。
■怪談ツイキャス「禍話」をコミカライズ
原作の「禍話」(@magabanasi)は、ツイキャスで毎週土曜日23時から配信している怪談チャンネルだ。大家さんは以前からファンで、「リモートワークや原稿の作業中によく聴かせていただいていました。禍話さんはファンの方によるリライトやファンアートなどの投稿が盛んで、私自身も漫画を描くので、せっかくなら参加したいと思ったのがきっかけでした」と創作の経緯を語る。
なかでも「扇風機の家」を選んだ理由について、「禍話の中でも特に好きなお話でしたし、不気味な和室など描くのが楽しそうなシーンがたくさんあったので描かせていただきました」と話す。本作は「怖いけど読んでしまう」「ゾクゾクした」などのコメントとともに1.2万のいいねを獲得した。
漫画化するうえで気をつけたポイントについては、「元のお話の怖いポイントの1つが“何かに気付きつつもそれを隠してる友達”の存在だと思うので、友達の表情や行動に不穏さを感じられるよう心掛けて描きました」と語った。
大家さんといえば、SF作品やミステリー作品などの世界観が非常に秀逸だ。「僕らの夏と灰」や「嵐の日の来客」など、ミステリーともオカルトともいえない奇妙な話もおすすめである。暑い季節に、「鳥肌が立つ」「静かに怖い」作品で冷たい汗が背筋を流れる体験をしてはいかがだろうか。
取材協力:大家(@ksyjkysk)
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