「アルファのそばには、コップ一杯の水すら持って近づかないこと」!?|『Octane』UKスタッフの愛車日記

octane.jp | 美しい車と暮らす

「アルファのそばには、コップ一杯の水すら持って近づかないこと」!?|『Octane』UKスタッフの愛車日記

12月29日(月) 12:11

提供:
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回はサムが1969年アルファロメオ・スパイダーのボディのレストアの進展をご報告。

【画像】2年におよぶボディの修復がついに完了したアルファロメオ・スパイダー(写真4点)


ケント州のターナー・クラシックス社のチームによる忍耐強い取り組みが、ついに形になった。2年におよぶ切断、溶接、成形の作業を経て、かつて傷んでボロボロだった私の1969年スパイダー・ヴェローチェの金属製ボディシェルは正しい形状に再び戻り、錆もなくなったのだ。

完成を目前にしたある冬の夜には「リア側が腐っていますね」という最後の一撃を食らったが、それに対してもターナー社の職人たちが、車体のシル、ストラット、フロアの交換や修復に熱心に取り組んでくれた。リアクォーターとリアバンパーが切り離され、その内部を見ることができた。しかし率直に言って、ほとんど何もなかった。少し錆があったのと、藁のような詰め物の他には、まったく何もなかった。

車両の非常に頑丈なセンターボックスフレームからすると、あの有名な曲線的カトルフィッシュ型トランクが、実は心もとない構造で支えられていたのは、興味深いことだった。一本のセンターストラットが後方へ延び、湾曲した内部フレームに繋がる。その構造は、重厚なフロント側と比べると、華奢で頼りなく見えた。

この個体のオリジナルの金属部の多くは、ひどい溶接と腐食した補修鋼板で覆われていた。しかもそれが、4〜5層にも及んでいた。当初からこのプロジェクトを担当してきた有能な職人のデイブは、トランクのフロアは無事で、内側のアーチ部分は剥離して修復可能だ、と保証してくれた。さらに、アルファホリックス社の優秀なメンバーから調達した、新品のスペアホイールウェルと外側のリアクォーターパネルを使えば、私の大量の荷物を支えるのに十分な後部の構造ができるという。とはいえ、これからは荷物を軽くしようと心の中で思った。

私はそれから数カ月後、ミラノの素晴らしいアルファロメオ歴史博物館で、再び至宝の車たちを撮影していた。また、チーフ・キュレーターのロレンツォ・アルディツィオと語り合った。

私のレストア体験について話しているうちに、彼中で二つの疑問が浮かんだようだ。「オリジナルカラーのまま維持するつもりかな?」私は「イエス」と答え、当時のヨーロッパでシルバーのスパイダーがいかに希少だったか、について話し合った。「相当錆びていたのでは?」彼はためらいがちにそう尋ねたが、それに対する私の答えは、ロジャー・ムーアばりに眉をひそめるだけで十分だった。

おそらくアルファロメオも、当時の多くの車と同じように、50年以上もの使用はそもそも想定されていなかっただろう。そのため内装パネルや構造体の多くには、完全な防錆処理が施されていなかった。ただ、これは私の車でも熟慮され、現在は修正されている点だ。

ロレンツォはまた、錆対策として安価で馬鹿げているものの、非常に一般的なアフターマーケットの「対策」についても教えてくれた。それは、単にフェンダー内部のアーチに適当に穴を開け、シルやフレーム内の通気性を高めて水を抜く、という方法だった。しかし実際には、防錆未処理の内部空間が北イタリアのぬかるんだ道路で定期的に高圧洗浄され、霧の立ち込めるミラノの裏通りで駐車しているうちに水滴が落ちて乾かされる、ということを意味していた。

より近代的な防錆処理として、車体底面やフロアを「魔法のような製品」でコーティングする方法がある。しかし、内部に湿気を閉じ込めて問題を悪化させ、文字通り車体が内側から腐食することとなった。購入者への注意事項をここにメモしておこう。必ずマットを上げること。内部の空洞部を確認すること。アルファのそばには、コップ一杯の水すら持って近づかないこと。

ターナー・クラシック社での次の作業は、車全体の丁寧な内部ブラスト処理だ。あらゆる隙間や継ぎ目を清掃・点検し、その後、わずかな鉛メッキ、下塗り、塗装を行う。この原稿を書いている今、エンジンは上下逆さまにされ、点検とオーバーホールを待っている。その結果は、2つに1つだ。雑な修理をされていたせいで、またもやホラーショーのようになるか。または、もしかすると、本当にもしかすると分解と清掃程度で済むという展開もあるかもしれない。いつも順調に動いていたから、過去に誰もエンジンを変にいじっていないことを祈ろう。1969年の夏以来、誰も手を触れていなければよいのだが…


文:Sam Chick
【関連記事】
・魅せられて|EURO PORT COLLECTION Vol.37 ポルシェ930ターボ
・連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 67MG PB 4シーター
・テーマは自動車昭和100年史|三浦半島が自動車趣味文化継承の地になった日
・クラシックカー2台を日常の足にしてみる|『Octane』UKスタッフの愛車日記
・アルピーヌGTAターボにコンバーチブルモデルがあったとは!ワイドボディの過激な1台を味見
0ctane

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ