おぎぬまXのキン肉マンレビュー【第52巻編】~超ド迫力パワー対決!! バッファローマンVSガンマン!!~

『週プレ』復活シリーズ、JC『キン肉マン』52巻をおぎぬまXがレビュー!!

おぎぬまXのキン肉マンレビュー【第52巻編】~超ド迫力パワー対決!! バッファローマンVSガンマン!!~

12月28日(日) 23:50

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『週プレ』復活シリーズ、JC『キン肉マン』52巻をおぎぬまXがレビュー!!

『週プレ』復活シリーズ、JC『キン肉マン』52巻をおぎぬまXがレビュー!!





〝許されざる世界樹″(アンフォーギブン・ユグドラシル)を舞台に、正義超人と悪魔超人の連合軍(ドリームリーグ)VS完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)の新たな激闘が描かれる第52巻! 両陣営の力と力、技と技がぶつかり合う死闘の中で、キン肉星の歴史の一幕が暴かれます...!

キン肉マン52 レビュー投稿者名おぎぬまX

★★★★★星5つ中の5
【大型超人の大激突!ガンマン攻略法とは..!?】いきなりですが、皆様は『キン肉マン』のコミックス冒頭にある「登場人物紹介」をちゃんと読み込んでおられるでしょうか?長期連載のコミックスだと、ついつい飛ばしちゃいがちなんですけど、正義超人軍、悪魔超人軍、完璧(パーフェクト)超人軍、三陣営の現存戦力が一目で分かって非常に助かりますよ。個人的には、正義、完璧に比べると、やや手薄になった悪魔超人軍が心配になってきます。この巻から本格的開戦となった、〝許されざる世界樹″(アンフォーギブン・ユグドラシル)での決戦を見届ける前に、ぜひ一度目を通してみましょう!

さて前巻から続いて、悪魔超人バッファローマンと完璧超人始祖"完璧・漆式(パーフェクト・セブンス)"ガンマンの闘いです。バッファローマンの「ビッグブーツ」「ジャイアントボディアタック」、ガンマンの「リフトアップ」「フィストドロップ」など、大型ファイターならではの力技の応酬は見ごたえバツグンですね!

大技をかけては返し、返してはかけと、序盤からリングが小さく見えるほどのド迫力バトルを展開!

大技をかけては返し、返してはかけと、序盤からリングが小さく見えるほどのド迫力バトルを展開!





その後の激しい攻防で劣勢になるバッファローマンでしたが、「この程度で力負けしては(ガンマンに敗れた)スニゲーターの面目が立たない」と語ったところ、ガンマンは「誰だそれは?」と、スニゲーターのことを一切記憶していませんでした...! スニゲーターは悪魔六騎士のひとりとして一度はキン肉マンを死に至らしめ、さらに7人の悪魔超人の教官役も務めていたほどの超人です。

そんな彼と闘った直後にもかかわらず、「記憶にない」と吐き捨てるガンマンの傲岸不遜(ごうがんふそん)な一面を目の当たりにしたバッファローマンは、怒りで闘志を猛(たけ)らせます。



前巻の終盤やスニゲーター戦でも見せたように、ガンマンのエルクホルンは回転したり、相手を挟んだりとかなり応用が利くツノなんですが、バッファローマンのロングホーンも負けていません。全身の傷を右のロングホーンに集め、射程距離を伸ばしたことでガンマンの胸を突き刺すことに成功します。さらに、リングの下に潜り込んでからの「悪魔殺法デビルシャーク」と、往年の読者にとっては懐かし技のオンパレードです!

かつてはキン肉マンを大いに苦しめた悪魔殺法!さすがのガンマンも傷を負うが...!?

かつてはキン肉マンを大いに苦しめた悪魔殺法!さすがのガンマンも傷を負うが...!?





ですが、ガンマンは迫りくるロングホーンを、白刃取りの要領で難なく引っこ抜いてしまいました。かつて同じ技で苦しめられた経験のあるキン肉マンは、あえて自分の腕にツノを食い込ませてからの一本背負いでなんとか対処しましたが...それを上回る、まさに完璧な攻略法です! キャンパスから引っこ抜かれたバッファローマンは、とうとうガンマンが繰り出す「エルクホルン・シザーズ」の餌食になってしまいました。

そしてこの「エルクホルン・シザーズ」からの、「ファイヤーマンズキャリー」、「パワーボム」といった一連の流れのなんて美しいこと!バッファローマンほどの巨体が、まるで紙風船のように空中を漂い、最後は力いっぱい古代リングに叩きつけられる...!ディス・イズ・ア・ド迫力パワー!!このリングを走る衝撃がページをめくる自分の指にまで伝わってくる感覚は、『キン肉マン』でしか味わえません。

悪魔将軍様のありがたいお言葉...!! もはや敗北は許されない!!

悪魔将軍様のありがたいお言葉...!! もはや敗北は許されない!!





地べたに這いつくばり、ダウンを許してしまうバッファローマンでしたが、ここで奇妙なことが起こります。ここまで試合を圧倒的にリードしているガンマンが、その〝真眼(サイクロプス)″でバッファローマンを覗いてみると、対戦相手がまだ全力を出し切っていない――つまりは、手を抜いて闘っていることがわかったのです。そのことが気に食わず「ウソつき」と罵倒するガンマンでしたが、バッファローマンにはガンマンの言葉が理解できないようでした。

読者から見ても、バッファローマンが格上を相手に、手を抜くような余裕があるとはとても思えません。それではなぜ、双方の主張は食い違うのか?バッファローマンの師である悪魔将軍はもちろん、彼と対戦経験のあるウォーズマン、そしてキン肉マンはいち早くその正体に気づきました。キン肉マンは声高に叫びます、自分がバッファローマンと闘った時にもっとも怖かったのは悪魔殺法を駆使したラフファイトではない、すべてをさらけ出してフェアに闘ったラスト3分間だった――と。

つまり悪魔超人軍にヒールターンしたことで、バッファローマンは知らず知らずのうちに、自らの能力に制限をかけていたのです。酸いも甘いも味わい、正義と悪を渡り合った者にこそできる真のファイトを彼はまだ残していたのです。バッファローマンは忠義故に悪魔殺法を捨て去ることを躊躇しますが、そんな彼に対してここまで試合を静観していた悪魔将軍が激励を飛ばします。 悪魔将軍様のありがたいお言葉...!! もはや敗北は許されない!!

悪魔将軍様のありがたいお言葉...!! もはや敗北は許されない!!







【バッファローマン覚醒!それでも、ガンマンは強すぎる!!】将軍の言葉を意気に感じたバッファローマンは、ついに真の力を解放します。誰もが、ここからバッファローマンの猛攻が始まるのだと思うでしょう。しかし、これで逆転を許してくれないのが、完璧超人始祖!ふたりのパワーバランスは崩れることなく、ガンマンは汗ひとつ流していません。それどころか、バッファローマンのロングホーンをむんずと掴むと、軽々と片手でぶち折ってしまいました。

僕は初めてこのシーンを見た時、「いや...絶対にバッファローマンが活躍するターンだったじゃん! なんでそっちが無双してるの!?」と叫んでしまいました。本当に規格外すぎますよ、こいつ!! 全読者が絶望したであろうワンシーン。こんなバケモノに勝てるのか!?

全読者が絶望したであろうワンシーン。こんなバケモノに勝てるのか!?





ですが、バッファローマンも負けておりません。ガンマンは何度も立ち上がってくるバッファローマンを徐々に気に入りはじめ、防戦一方だった闘いは、まるで悪友とケンカをしているような乱戦に変化していきます。

力を解放したバッファローマンとの闘いを心から楽しむガンマン。バッファローマンのさらなるパワーアップを待つが!?

力を解放したバッファローマンとの闘いを心から楽しむガンマン。バッファローマンのさらなるパワーアップを待つが!?





そんな激闘の中で、バッファローマンが口にした「なぜ〝真眼″(サイクロプス)で超人閻魔を見ようとしない?」という言葉に、ガンマンは初めて戸惑いの表情を見せます。動揺を悟られないように、奥義である「エルクホルン・テンペスト」で決着をつけようとしますが、この判断が勝敗を分けることになりました。

標的であるバッファローマンの先には、超人閻魔こと〝あやつ〟が控えていたのです。かつて崇拝した〝あやつ〟が数億年の時を経て、どれほど醜悪な存在になり果ててしまったのか、それを直視できないガンマンは、真剣勝負の最中で対戦相手から目を逸らしてしまいます。そのせいで技の発動が一瞬遅れてしまい、バッファローマンの新奥義「ハリケーン・ギガブラスター」を被弾してしまいました。

真実を見透す〝真眼〟(サイクロプス)を持ち、嘘偽りを忌(い)み嫌っていたガンマンでしたが、彼もまた自分の心に嘘を吐き続けていたのです。しかし、エルクホルンを粉々に砕かれ、「ド下等」と見下した超人に敗北したのにもかかわらず、ガンマンの目は実に穏やかでした。事切れる寸前、ガンマンは自分を打ち倒した超人の名を口にします。まるで初めて友だちができた子どものように、キラキラと瞳を輝かせて。

こうして、激闘の一つに終止符が打たれました。ゴングが鳴った後は放心状態になってしまうような、団体戦初戦とは思えない名勝負です...!!



【ラーメンマン対ネメシス、超人界のテクニシャン対決!!】次なる試合はサイフォンリングの2階で行なわれている、正義超人ラーメンマンVS完璧・無量大数軍ネメシスにスポットが当たります。このふたりの因縁はどちらかというと浅いほうで、対戦カードが発表された時に一番意外でした。だからこそ試合の行方がどうなるのか、全く予想がつきません。先ほどの試合がアメリカンフットボールのようなド迫力バトルだとすれば、こちらの試合はチェスや囲碁を彷彿(ほうふつ)とさせる、お互いの実力を静かに見定める渋い攻防が続きます。

まさに拮抗状態...!互いの実力が互角なことがうかがえる!!

まさに拮抗状態...!互いの実力が互角なことがうかがえる!!





その後、闘いの最中にネメシスがキン肉族の一員であることが語られます。ネメシスによると、彼には天才と名高い兄がいたのですが、ネメシスはそれを上回るほどの才能があり、13歳にしてキン肉族の秘奥義「マッスル・スパーク」を習得してしまいました。

そのことから国家が危険扱いし、ネメシスを地下深くにある地下牢に幽閉してしまいます。さらに国民はネメシスの存在を語るだけで重罪となりました...。

ネメシスは多くの民に慕われていたようで、泣いている人の姿も...

ネメシスは多くの民に慕われていたようで、泣いている人の姿も...





歴史の裏には闇があり、一家の繁栄を築くためにはそういった歴史があったのかもしれません。ネメシスが語ったことが事実なのかはまだわかりませんが、彼の指す「兄」こそ、キン肉マンの祖父に当たる人物、キン肉星第56代大王のキン肉タツノリでした...!

...といったところで次巻へと続きます。ネメシスが語るキン肉族に秘められた「闇の歴史」の続きとは? はたして、ラーメンマン対ネメシスの闘いのゆくえは...!?

次回のレビューをお楽しみに!

●こんな見どころにも注目! 『キン肉マン』では複数の試合を同時並行で行なうことが多く、いくつものリング上で死闘を繰り広げる超人たちの姿が目まぐるしく描かれていきます。

今回の闘いでも、メインの試合以外の展開が時折クローズアップされますが、他のリングの超人たちが始祖相手と互角、テリーに至ってはジャスティスマン相手に猛攻を仕掛けてる中、なんだかブロッケンJr.だけすでにサイコマンに押され気味ですごく心配です...。

たまたまカメラが向いた瞬間が悪かっただけだと思いたいのですが...大丈夫だよね、ブロッケンJr.!?

●おぎぬまX(OGINUMA X)

1988年生まれ、東京都町田市出身。漫画家、小説家。2019年第91回赤塚賞にて同賞29年ぶりとなる最高賞「入選」を獲得。21年『ジャンプSQ.』2月号より『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載。小説家としての顔も持ち、『地下芸人』(集英社)が好評発売中。『キン肉マン』に関しては超人募集への応募超人が採用(JC67巻収録第263話)された経験も持つ筋金入りのファン。原作者として参加している『笑うネメシス―貴方だけの復讐―』が『漫画アクション』(双葉社)にて連載中。ミステリ小説シリーズ『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』、『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』が好評発売中

構成/石綿 寛(樹想社)©ゆでたまご/集英社

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