12月29日(月) 8:00
まず、300万円を住宅ローンの繰り上げ返済に充てた場合の効果を見ていきます。
金利0.8%という低金利の住宅ローンでは、支払利息そのものが大きくありません。
300万円を期間短縮型で繰り上げた場合、今後の返済期間中に発生する利息の削減額は、おおよそ30~35万円程度と見込まれます。
繰り上げ返済の最大のメリットは、今後の家計の負担を確実に減らせることです。また、住宅ローン残高が減ることで、精神的な安心感を得られる点も見逃せません。
ただし一方で、手元の現金が減り、急な支出への対応力は下がる点には注意が必要です。
繰り上げ返済を行うにあたっては、緊急予備資金を残すことも意識しましょう。
次に、300万円を全世界株式に25年間投資した場合を考えます。
長期的な世界株式の期待リターンは年率3~7%程度とされることが多く、ここでは比較的保守的に年率4%で運用できたと仮定します。
この条件では、300万円は25年後に約800万円前後まで成長します。元本との差は約500万円で、税金を差し引いても手元に残る運用益は400万円程度が期待されます。
もちろん、株式投資には、途中で価格が大きく下落する局面もあります。ただし、25年という長期で分散投資を続けた場合、短期的な変動リスクは相対的に抑えやすいと考えられています。
ここまでの試算を整理すると、次のようになります。
繰り上げ返済では、確実に30~35万円程度の利息を削減できます。一方、全世界株式への長期投資では、税引き後で約400万円前後のリターンが期待されます。したがって、単純な金額比較では、投資のほうが300万円以上有利になる可能性があります。
金利0.8%という水準では、繰り上げ返済によって得られる実質的なリターンは年0.8%程度にとどまり、投資の期待リターンと比べるとかなり小さいといえます。そのため、低金利の環境下では、借金を減らすことが必ずしも正しい選択とは限りません。
ただし、数字だけで判断するのは危険です。
まず、生活費や急な出費に備えた資金を十分に確保しているかを確認する必要があります。余裕資金でなければ、投資に回すリスクは高まります。また、住宅ローン控除を受けている期間中であれば、繰り上げ返済の実質効果はさらに小さくなります。
さらに、借金が減ることで得られる安心感を重視する人もいます。判断にあたっては、リターンだけでなく、家計全体の安定や心理的な負担の軽さも影響します。
今回の条件では、低金利の住宅ローンを急いで繰り上げるよりも、300万円を長期投資に回したほうが、期待される金銭的メリットは大きい結果となりました。ただし、投資には不確実性があり、繰り上げ返済には確実性があります。
重要なのは、どちらが正解かを一律に決めることではなく、自分の家計状況と価値観を数字で整理することです。感覚に頼らず、冷静な試算をもとに、納得できる選択をしていきましょう。
一般社団法人全国銀行協会 Q. 住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?
金融広報中央委員会 知るぽると しっかりシミュレーション
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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