【漫画】本編を読む
幼少期から絵を描くことが大好きで、現在は漫画家として活動しているアヤさん(@aokitajimaru)。看護師・看護学生向けの総合WEBメディア「ナース専科」にて、看護師のエピソードを基にした漫画を連載している。今回は、過去にウォーカープラスで掲載された2作品を紹介し、命の現場を描く際の苦労について話を聞いた。
■末期がんと闘うシングルマザーが抱えた無念
末期がんに侵されたシングルマザーのBさんには、一人の愛娘がいる。術後も定期的な入院を余儀なくされていたため、Bさんの母がときどき娘を連れて面会に訪れていた。
Bさんは看護師に対して明るい雰囲気で接していたが、病状は次第に進行していく。やがて、母や娘との面会も途絶えることとなった。娘を育ててくれている母への感謝、そして遺していく娘への思い。何も言えないまま、遂にBさんはこの世を去ってしまう。
■ALS患者から教わった「不幸ではない」生き方
別のエピソードでは、慢性期病院に入院してきたALS(筋萎縮性側索硬化症)患者のMさんが登場する。顔と手指がわずかに動くのみで、日常生活のすべてに介助が必要な状態だった。
看護師はコミュニケーションの取り方に悩んでいたが、Mさんは視線入力装置を巧みに操り、インターネットでの買い物も難なくこなしていた。そして、パソコンの画面にはMさんの想いが映し出される。
「私は不自由だけど不幸じゃない。むしろ、病気になって感謝すらしている」
この言葉との出会いによって、看護師の持つ価値観や看護観は大きく打ち砕かれることとなった。
■表情一つに込めた、患者と家族の複雑な心理
作者のアヤさんは、これらの物語を描くうえで最も苦労した点について、次のように語っている。
「自暴自棄になる患者さんの気持ちも、娘の側にいたくても孫を守る責任があるためそうもいかないというお母様の気持ちも両方理解できます。そのため、双方の気持ちを上手く読者様に伝えることができるように、表情や雰囲気描写にこだわりました」
実際に看護師から募集したエピソードを基にしている「ナース専科」の連載。そこには、現場を知る者だからこそ伝えられる、命の重みが込められている。
取材協力:アヤ(@aokitajimaru)
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