12月29日(月) 5:10
管理職(管理監督者)は、残業代が支給されないケースが多いとされています。労働基準法第41条では、監督もしくは管理の地位にある者について、労働時間や休日に関する規定の適用を除外すると定められているためです。
もっとも、役職名だけで一律に管理監督者と判断されるわけではなく、実際には職務内容や権限、勤務実態、待遇などを総合的に見て該当性が判断されます。そのため、企業や団体によって管理職の位置づけは異なり、係長級までは残業代が支給されるケースも多いようです。
東京都労働局の「平成28年度 労働時間管理に関する実態調査」を見てみましょう。この調査では、残業代が「支給された」と回答した割合が、役職別に次のように示されています。
一般社員:92.6パーセント
係長級:85.0パーセント
主任級:84.6パーセント
課長級:39.8パーセント
部長級:16.7パーセント
このように、係長級では8割を超える人が残業代の支給を受けている一方、課長級になると「支給された」と回答した割合は半数以下に大きく低下しています。役職が上がるにつれて残業代が支給されにくくなる傾向が読み取れ、実務上は課長級以上を管理職として扱う企業が多い可能性があることがうかがえます。
厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」を参考に、「係長」および「課長」の平均的な年収を推測してみましょう。以下の条件に基づいて試算を行います。
・企業規模計(10人以上)、男女計学歴計のデータを使用
・年収は(きまって支給する現金給与額×12ヶ月)+年間賞与その他特別給与額として計算
以上から求めた年収は、次のとおりです。
係長級の平均年収:657万8600円
課長級の平均年収:824万3600円
このように、課長級の年収は係長級を166万円程度上回っているようです。
続いて「きまって支給する現金給与額-所定内給与額」から「超過労働給与額(残業代など)」を確認すると、次のようになります。
係長級の残業代など:4万4700円(月額)
課長級の残業代など:1万3500円(月額)
係長級と比較すると、課長級は残業代などが少なくなっていると推測できます。課長級は基本給が高いことに加え、職務手当や役職手当、管理職手当などが支給されるケースもあるようです。そのため、係長級より年収が高くなっていると考えられます。
なお、ここで示している「超過労働給与額」は、残業代のみを示すものではなく、休日・深夜勤務分などを含めた平均額です。また、課長級についても、すべての人が管理監督者として残業代の対象外となっているわけではない点には注意が必要です。
前記の統計表から、「大企業の係長」と「中小企業の課長」の年収も比較してみましょう。年収の試算条件は同様に、以下のデータを用います。
係長級:企業規模1000人以上のデータ
課長級:企業規模10~99人のデータ
以上から求めた平均年収は次のとおりです。
大企業の係長:773万6000円
中小企業の課長:633万6100円
あくまで統計データに基づく試算ではありますが、企業規模の違いを考慮すると、「大企業の係長」は「中小企業の課長」よりも、年収が約140万円程度高くなる可能性があることがうかがえます。
今回は、「係長」と「課長」という2つの役職に着目し、賃金構造基本統計調査をもとに平均年収を試算しました。諸手当の内容や企業規模、勤務実態によって差はありますが、統計上は、残業代が支給されるケースの多い係長級と比べ、残業代が支給されにくい課長級のほうが年収は高くなる傾向があります。
残業代の有無だけで判断するのではなく、役職ごとの待遇や役割の違いも踏まえながら、今後のキャリアやステップアップを考える際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
東京都労働局 平成28年度労働時間管理に関する実態調査(100ページ、205ページ)
政府統計の総合窓口(e-Stat) 令和6年賃金構造基本統計調査
e-Gov 法令検索 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
50代、中小企業の部長です。旧友との飲み会で「年収600万円だ」と言ったら微妙な反応でした。友人は大企業に勤めていますが、そんなに年収に差が出るのでしょうか?