12月29日(月) 5:00
独立行政法人国民生活センターが公表した「暮らしの法律Q&A2022年9月号(No.121)第123回」によると、「排水管の老朽化で水濡れ被害に遭った家財は大家さんに費用を請求できる」と考えられるとのことです。
まず賃貸借契約は、「借主(住人)が家賃を支払う」「貸主(大家さん)が部屋を使える状態で貸す」という約束で成り立つ契約です。大家さんは住人に対して「部屋に問題なく住める状態に保つ」「住むのに支障が出る問題があれば直す」という義務を負います。
本ケースは「排水管の老朽化」のため、「住むのに支障が出ている」状態です。排水管の不具合や上階の設備の故障、建物の構造的な問題といったものは「瑕疵(かし)」と呼ばれます。
この瑕疵(かし)が原因で住人が被害を受けた場合、大家さんは損害賠償責任を負うことがあります。これは、民法606条で賃貸人に「部屋を使える状態に保つための修繕義務」が定められているためです。
前記の「暮らしの法律Q&A2022年9月号(No.121)第123回」によると、損害として認められる金額は事例ごとに異なり、実際にかかった費用の全額が補償されるわけではないようです。家財は購入時の価格ではなく、「これまで使ってきた分だけ価値が下がった後の金額」を基準に計算されるためです。
また賃貸物件である以上、将来的な退去は避けられないと考えられます。そのため「実際の転居費用の全額」ではなく、「将来発生するはずだった費用」を差し引いた一部のみが損害として認められる可能性があるでしょう。したがって、掲題のケースでは大家さんに損害賠償を請求できるものの、20万円の全額を賄うことは難しいかもしれません。
前記は賃貸物件のケースでしたが、分譲マンションの場合はどうなるのでしょうか。以下、ケースごとに例を整理しました。
・上の階からの水漏れ
自分の家財や部屋が被害を受けた場合は、自身が加入している「火災保険」で補償されることがあります。自身の家財や部屋が壊れたときの損害を補償するのが、火災保険の役割でもあります。
・自分の部屋からの水漏れ
階下に被害を与えてしまった場合は、事故ではなく法律上の責任問題として扱われるため、「個人賠償責任保険」で補償することになります。他人に被害を与えた際に、法律上支払うべき損害賠償金や示談交渉費用をカバーすることが「個人賠償責任保険」の役割で、相手に対する責任を果たすために存在します。
水漏れによる被害が発生した際、「運が悪かった」と諦めてしまう方もいるかもしれません。しかし、原因が建物の老朽化や設備不良など管理側に起因するものであれば、金銭的な補償を受けられる可能性もあります。
また、加入している火災保険などの契約内容によっても、実際の自己負担額は変動すると考えられます。いざというときに思わぬ出費を抱え込まないためにも、現在の契約書や保険の補償範囲を今一度確認しておくと、将来的な家計のリスク軽減につなげられるかもしれません。
独立行政法人国民生活センター 第123回 排水管の老朽化による水漏れ事故で被害にあった家財等の費用を大家に請求できる?
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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