ゲーム作品の映画化もいまやすっかり定着。かつては「スター・ウォーズ」や「バットマン」など、ヒットした映画をゲーム化して…というビジネスが中心だったが、すっかり逆転した感がある。これはゲームと映画双方が技術を加速度的に向上させ、互いの世界観を再現可能になったということだろう。加えて、ゲームになじみのある世代が制作者側になってきているのも一因と言えそうだ。
【写真を見る】最新作でもピーチ姫が登場。2人の冒険の行方はいかに(『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー 』)
また映像化の流れは、大手メーカー発のゲームに限らず、インディーズゲームにも広がっている。個人制作者が生んだゲームが、口コミや実況動画などをきっかけに爆発的な人気を獲得しているのだ。今回は、近年のゲーム原作映画を、オリジナルとなったゲームとあわせて紹介したい。
■世代を超え、家族みんなで楽しめる『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
近年最も成功したゲーム原作映画といえば、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23)だろう。主人公のマリオ(声:クリス・プラット)は世界で知らぬ者のいない超有名ゲームキャラだが、映画では「みんな知ってるよね?」とマリオのプロフィールを省略せず、弟ルイージ(声:チャーリー・デイ)やヒロインのピーチ姫(声:アニャ・テイラー=ジョイ)との関係なども含め、イチから物語を作り上げている。マリオが悩み葛藤し立ち上がる、そんなヒーローの誕生物語がきちんと描かれているのが印象的だった。
本作の見どころはやはり、オリジナルであるゲームの要素がふんだんに盛り込まれていることだろう。オープニングや、ダッシュして旗の先端に掴まるステージクリア演出といったお決まりを踏襲したシーンをはじめ、タヌキスーツやスーパーベルなどパワーアップアイテムを活かしたアクションもあり、心躍る場面が盛りだくさん!
また「マリオ」シリーズ以外の任天堂にまつわるネタも満載で、ルイージの電話の着信音がゲームキューブの起動音だったり、店の名前や何気なく映り込む写真が「ダックハント」や「パンチアウト」(※ゲームの正式名称は「パンチアウト!!」)、「スターフォックス」、「メトロイド」、「F-ZERO」など任天堂の名作ゲームだったり、ちらりと映る地図には任天堂のルーツを思わせる「Hanafuda Ave」と書かれていたりと、さながら“任天堂の娯楽文化大全集”といった内容だ。
2026年4月24日(金)に公開される最新作『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』は、名前からも2007年にWii用ソフトとして発売された「スーパーマリオギャラクシー」をベースにしていると思われる。2025年10月にはNintendo Switch用ソフトとしても再登場し、注目が集まっているタイトルだ。すでに公開されている予告編では、「スーパーマリオギャラクシー」には欠かせないロゼッタ(声:ブリー・ラーソン)やクッパJr.(声:ベニー・サフディ)の姿も。1作目のラストではヨッシーの登場を予期させていたし、ファイアフラワー(1作目ではピーチ姫とドンキーコングのみ使用)やアイスフラワーなど、まだマリオが使用していないおなじみのアイテムも残っている。前作で未登場のアイテムやキャラクターたちが、2作目でどのように関わってくるのかも気になる。
■異世界転生(転送)映画としてもハイクオリティ『マインクラフト/ザ・ムービー』
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ではクッパの声を演じていたジャック・ブラックが出演した、もう一つの大ヒットゲームの映画化作品が『マインクラフト/ザ・ムービー』(25)。原作の「マインクラフト」は、広大な世界を冒険しながら材料を得て、食べ物や植物、武器や道具、建造物、機械などを作りだし、自分だけの世界を構築していくオープンワールド型のサンドボックスゲーム(明確なストーリーや目標がなく、自由に空間を楽しむタイプのゲーム)だ。プレイヤーが、ゲームだからこそできる幻想的な世界を作ってみたり、実在する都市を徹底再現してみたりと、それぞれの楽しみ方ができるのが「マイクラ」の魅力。さらには、プログラミングの教材として教育現場で活用されるシーンも増えているようだ。
映画版では、現実世界からマイクラの世界に飛び込み、日ごろ夢想しているものをアイテムとして生みだし、冒険に役立てていく。ゲーム世界から戻っても成長した自分のまま、現実と折り合いをつけて自分らしく生きていくという成長物語で、異世界転生(本作では“転送”と言われている)映画としても完成度が高い。さらに、オリジナルでおなじみのキャラクターやアイテムたちが実写として登場することで、ただ四角いだけではなく毛がもふもふだったり、敵キャラが思いのほかおどろおどろしいビジュアルだったり、映画ならではの楽しみ方ができるのもおもしろみの一つだった。映画を観たあとは、思わず「マイクラ」をやりたくなってしまうはず。
■メジャー、インディーズ、国内外問わずヒット作が生まれるホラーゲーム
昔から定番であったホラーゲームの映画化も引き続き盛り上がりを見せている。架空の町を舞台に、主人公が自身の悩みや葛藤、トラウマと向き合い、自らの答えを探し求めるサイコロジカルホラーゲームシリーズ「SILENT HILL」。2006年に映画第1作『サイレントヒル』が、2012年には「SILENT HILL 3」を原作とした『サイレントヒル:リベレーション3D』が公開。さらに現在、ゲーム「SILENT HILL 2」をベースに、愛する人から受け取った手紙に導かれ、“サイレントヒル”を訪れる男の姿を描いた第3作『Return to Silent Hill(原題)』の企画も動いており、2026年に米国で公開予定だ。
ゲームとしては、1999年に第1作「SILENT HILL」が発売されて以降、完全版やリメイクも含めると10作品以上がリリースされている。クリーチャーを倒していくアクション要素に加えて、恐ろしくも美しさをはらんだ映像や物語性が重視された展開など、映画のような余韻を残すゲーム性が高く評価されている。さらに、今年9月に発売されるとすさまじい勢いで話題を集めたゲーム版最新作「SILENT HILL f」では、日本に舞台を移し女子高生を主人公にしていたり、いままでにないタイプの“バケモノ”が登場したりと、ゲームでの展開は次のステージに進んだ感がある。同種のゲームではホラー鬼ごっこゲーム「Dead by Daylight」の映画化が予定されており、『パラノーマル・アクティビティ』(07)や『ハッピー・デス・デイ』(17)などで知られるブラムハウスが制作を担当。ホラーゲームの映画化は花盛りである。
一方、冒頭でも述べたように、メジャーなメーカーでなくても評判を呼んで映画になるインディーズゲームも多く、2026年1月23日(金)に続編の日本公開が控える『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(23)と、日本発で世界から注目を集めた『8番出口』(25)が記憶に新しい。
「フナフ」の略称で親しまれる「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」は、プレイヤーが廃墟と化したレストラン「フレディ・ファズベアーズ・ピザ」で夜間警備員となり、防犯カメラや扉、ライトなどその場にあるものを駆使して襲いかかる機械人形(アニマトロニクス)から生き残る、というゲーム。人形たちは、扉の入り方や接近時に声が聞こえるなど、それぞれに行動パターンがあるので、全キャラの行動に意識を向けながら対処していく計画性が肝になる。映画では、主人公のマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)が、フレディ、ボニー、チカといった“怖カワイイ”(?)おなじみの機械人形たちから逃げ惑う姿が描かれた。
そして、ゲーム「8番出口」は、無限の地下通路からの脱出を試みるホラーサスペンスゲーム。通路を進むなかで、扉や駅広告などに潜む大小様々な“異変”を見つけたら引き返し、8番出口からの脱出を目指す、というシンプルな作り。間違い探し的なおもしろさや、どの“異変”が現れるかの運要素、RTAとして楽しむ…といったところに中毒性があり、「8番出口」の発売後には大枠を踏襲したゲームが多数登場し、「8番ライクゲーム」というジャンルも確立された。
映画のほうは、二宮和也主演で公開されるとスマッシュヒット。公開からおよそ2か月で、このジャンルとしては異例の50億円を超える興収を叩きだしている。その人気は東京メトロとのコラボによって現実世界にも飛びだし、駅構内や地下街にちりばめられた謎を解いていく脱出ゲームには大勢の参加者が挑んでいた。2026年1月から2月にかけて行われる第55回ロッテルダム国際映画祭の「ライムライト部門」に正式出品が決定しており、まだまだ話題は続きそうだ。
ほかにも、「夜間警備」、「誘拐事件」などでも知られるチラズアートの代表作の一つ「夜勤事件」も、映画『夜勤事件 The Convenience Store』として2026年2月20日(金)に公開される。チラズアートの作品は、比較的短い時間でクリアができるボリュームながら、しっかりゾワゾワさせられるシナリオが組まれているところがミソ。価格も1000円以内で購入できるものがほとんどで、なかにはワンコインの作品も。その手軽さからアレもコレもといろいろとプレイしたくなってしまうわけだ。映画のほうは、ゲーム版のストーリーに映画オリジナルの展開が加わっているとのことで、エンディングの先のさらなるエンディングに期待したい。
■映画だけじゃない!ドラマでも映像化するゲーム
ちなみに、ゲームの映像化の流れは映画だけでなくドラマにも来ている。ペドロ・パスカルが主演を務め、未知の寄生菌による感染者であふれ返った世界を描いた「THE LAST OF US」や、改造カーによるデスレースを描いた「ツイステッド・メタル」、2296年を舞台に核戦争後の世界を描いた「フォールアウト」などが大流行中。これらのドラマの多くは配信サブスクリプションサービスで提供されているが、そのアプリがいまやテレビはもちろんゲーム機そのものでも使用できる時代。視聴のハードルが下がっているのも人気のポイントだろう。
このあとも、ゲーム作品の映画化企画は、SFオープンワールドゲーム「サイバーパンク2077」や、高難易度ファンタジーアクションRPG「ELDEN RING」、大ヒット戦争ゲーム「コール オブ デューティ」など、どれも超期待大な作品ばかり。先日開催された「THE GAME AWARDS 2025」にて予告編が解禁された、現役トップレスラーが多数出演予定の「ストリートファイター」の再実写化や、撮影開始を任天堂代表取締役フェローの宮本茂が報告した「ゼルダの伝説」の実写映画など、まだまだゲーム原作映画のトピックは満載である。
ゲーム原作映画最盛期を迎えるいま問われるのは、ゲームの要素をうまく取り入れることはもちろんだが、いかにそこに映画としてのおもしろさを盛り込んでいけるかだろう。各映画制作会社やクリエイターたちが原作ゲームへ敬意を払いながら、映画でこその魅力をどう表現してくるのか、期待は膨らむばかりだ。
文/多田遠志
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