12月29日(月) 10:30
財形貯蓄は、給与天引きで自動的に貯蓄できる制度です。原則として元本が保障され、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄では一定条件のもと利息が非課税になる点も魅力です。
厚生労働省によると、令和6年度末時点で財形貯蓄の契約件数は563万件でした。
ただし、現在の金利は非常に低く、増やすというより「減らさないための貯蓄」という位置づけになります。確実性は高い一方で、インフレ(物価上昇)を考えると、実質的な購買力はあまり伸びない可能性があります。
一方、積立NISAは投資信託を通じて資産を運用し、運用益が非課税になる制度です。元本保証はありませんが、長期・分散・積立を前提としているため、リスクを抑えながらリターンを狙えます。
一般的な目安として利回りは年3〜5%程度とされ、短期では価格変動があっても、長期間積み立てることでプラスに収束する可能性が高いとされています。
野村アセットマネジメント株式会社の調査によると、NISAの利用率は28%で、すべての世代の利用割合が10%以上上昇していました。
積立NISAのもう一つの大きな特徴は、「制度そのものが長期投資を前提に設計されている」点です。金融庁が厳選した投資信託のみが対象となっており、手数料が高すぎる商品や、短期売買向けの商品は最初から除外されています。そのため、投資初心者でも比較的安心して始めやすい仕組みになっています。また、毎月一定額を自動で積み立てることで、高い時には少なく、安い時には多く買う「ドルコスト平均法」の効果が働き、価格変動リスクを抑えられます。日々の値動きを気にせず、時間を味方につけて資産形成できる点は、忙しい会社員にとって大きなメリットと言えるでしょう。
では、同じ条件でシミュレーションしてみましょう。
【財形貯蓄】
月2万円 × 20年 = 元本480万円
→金利が非常に低いと仮定すると、最終額は約480万円前後
【積立NISA(年利3%で運用)】
同じく元本480万円
→ 約650万円前後に成長する可能性
この差は約170万円。もちろん市場環境によって結果は変わりますが、長期運用の効果がいかに大きいかが分かります。
答えは「目的による」です。
近い将来に使う予定のお金、絶対に減らしたくない資金 → 財形(元本がほぼ保証され)
老後資金や10年以上先の目的 → 積立NISA
実は、どちらか一方に決める必要はありません。
「生活防衛資金は財形や預金で確保し、余裕資金を積立NISAで運用する」という併用戦略が、最も現実的でバランスの良い選択です。
もう一つ意識したいのは「自分がどこまで価格変動に耐えられるか」という点です。積立NISAは長期では有利になりやすい一方、途中で評価額が下がる局面も必ずあります。その際に不安になって積み立てをやめてしまうと、本来の効果を十分に得られません。逆に、元本割れを精神的に受け入れられない人にとっては、財形貯蓄の安心感は大きな価値です。制度の優劣よりも、自分が「続けられる仕組みかどうか」を基準に考えることが重要です。
制度そのものに良しあしはありません。しかし、環境やライフステージが変わっても、昔決めたまま何も見直さないのはリスクです。
「このまま財形を続けていて大丈夫?」と感じた今こそ、自分のお金の置き場所を考え直すタイミング。数字で比べてみると、選択はぐっと明確になります。
厚生労働省財形制度の実施状況
野村アセットマネジメント株式会社投資信託に関する意識調査2025
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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