中国発の縦型短編ドラマ「マイクロドラマ」が北米で急成長し、カナダ・バンクーバーが制作拠点として浮上していると、米ハリウッド・リポーターが報じている。
マイクロドラマとは、スマートフォンの縦画面向けに制作される1話60~90秒の超短編ドラマだ。各話の終わりに「続きが気になる」仕掛けを施し、視聴者を次のエピソードへと引き込む設計になっている。2018年に中国で誕生し、コロナ禍で急成長。市場調査会社Omdiaによると、25年の世界収益は110億ドル(約1兆7000億円)に達する見込みだという。現在はReelShort、DramaBox、CandyJarといったアジア系アプリが配信の中心を担っており、米国市場が最大の広告収益源となっている。
視聴者の多くは女性で、最初の数話は無料、その後は20~40ドルの課金で続きを視聴する仕組みだ。かつてジェフリー・カッツェンバーグが立ち上げた短編動画サービス「Quibi」は短命に終わったが、マイクロドラマはTikTok世代の視聴習慣にフィットし、急速に支持を広げている。
バンクーバーが制作拠点として選ばれる理由は複数ある。同市はハリウッド大作の撮影地として長年の実績を持ち、優秀なスタッフが揃っている。また中国系人口が多く、北京語や広東語を話す人材も豊富だ。中国人プロデューサーや編集者、留学生も多く、中国発のフォーマットを北米向けに展開する拠点として理想的な環境が整っている。従来の映画・テレビ制作が停滞する中、新たな仕事を求めるクリエイターたちがマイクロドラマに流れ込んでいるという。
バンクーバーで制作されるマイクロドラマは、英語で制作され、現地の俳優が出演している。
ハリウッドも動き始めた。ディズニーは新興企業支援プログラム「Disney Accelerator」を通じてDramaBoxと提携。米ネットワークやスタジオも、視聴者がマイクロドラマアプリに流出することへの危機感から、自社のビジネスモデルへの組み込みを検討しているという。
Netflixのような一気見の中毒性、TikTokのモバイル性、メロドラマの情緒を併せ持つこの新フォーマット。映像コンテンツの新たな主戦場となっていきそうだ。
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Photo by Matt Cardy/Getty Images