「生活資金6か月を残してあとは全部投資」Xで“総資産を毎日公開”する女性投資家の「見える化」で消えた将来不安

日経平均5万円を突破した「5万円Tシャツ」を着る

「生活資金6か月を残してあとは全部投資」Xで“総資産を毎日公開”する女性投資家の「見える化」で消えた将来不安

12月28日(日) 8:51

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SNSに日々の手料理と、自身の資産額を1円単位で投稿する女性個人投資家の「酢束(すたば)」さん。Xのフォロワー数は6万人を超え、多くの同世代から共感を集めている(Xのアカウントは@moneyistime100)。スタバをこよなく愛し、「スタバ」を変換して出てきた「酢束」をハンドルネームとしている。

ごく普通の会社員として働きながら、なぜ彼女は自らの資産を公開し、発信を続けるのか。銀行員を辞め、貯金40万円という状況から始まった資産形成の道のり、独自の投資ルール、そして「ストレスを溜めない」という彼女ならではの哲学。漠然とした将来への不安を「見える化」することで解消し、心の余裕を手に入れようとする個人投資家の酢束(すたば)さんに話を聞いた。

◆結婚式費用が準備できなくて資産形成を考えた

――まず、酢束さんの簡単なプロフィールと、投資を始めた時期について教えていただけますか?

酢束さん:普段はごく普通の会社員をしている30歳です。投資を始めたのは2021年で、それまで銀行員として働いていて、窓口で積立NISAの口座開設をご案内していました。

でも、当時は資産運用にまったく興味がなくて、実は自分ではNISAをやっていなかったんです。でも、「それではお客さまへの説得力がないな」と思って、月1万円から積み立ててみたのが最初です。

――それから本格的に資産形成を考えるきっかけになったのは?

酢束さん:真剣に考え始めたのは、銀行を辞めてからですね。2021年に銀行員を辞めて次の職場も決まっていたものの、将来への不安が大きくなって……。

それまで好き放題使っていたので全然貯金がなくて、本当に40万円くらいしか貯金がなかったんです。

当時お付き合いしていた方との結婚を考えたときに、結婚式費用の200万円が用意できなくて……。「これは真剣に考えないといけないな」と思って、本格的に資産形成を始めました。

◆「同世代の人ってどれくらいお金を持っているんだろう?」

――酢束さんはXで毎日資産額を1円単位で投稿しているのが特徴的ですよね。Xの発信を始めたのはいつ頃からですか?

酢束さん:銀行を辞めた後、2021年10月からXの投稿を始めました。自分の将来の貯金について改めて考えた時期です。

当時、お金のことを誰にも相談できなかったんです。総資産が33万円くらいまで減ってしまったときもあって、「同い年の人たちってどれぐらい持ってるんだろう?」とか、そういう話ができる人がいなくて。

誰にも相談できないから、「もう聞いてほしい!」という思いで発信してみたのがきっかけです。

――始めた当初の反響はいかがでしたか?

酢束さん:最初は全然「いいね」も付かず、ゼロでした。でも、日記というか、レコーディングダイエットみたいな感覚で、総資産を1円単位で計算して載せていました。

しばらくした頃に「#株クラと繋がりたい」というハッシュタグがすごく流行った時期があって、そこで自己紹介をしたら一気に広まったんです。女性の投資家はあまりいなかったし、顔出しもしていたので珍しいと思っていただけたのか、一気に5000人くらいフォロワーが増えました。

急に注目されて、最初は身バレするかもと、正直少し怖くなりましたが……。私にとっては、貯金がないときに「現実から目をそらしてはいけない」という思いで、一番長く続けられていることかもしれません。

このスタイルを真似してくださる方も出てきたのですが、私以上に続いている方は見たことがないです。やっぱり、反応がないと続けるのは厳しいですよね。

◆生活防衛資金6か月分を残して、その他は全部投資に

――最初に始めた投資は積立NISAとのことでしたが、現在の投資手法について教えてください。

酢束さん:最初に始めた積立NISAの先進国株式インデックスファンドを今もずっと続けています。

――毎月一定額を積み立てているのですか?

酢束さん:それが少し違っていて、あるルールを設けています。まず、生活防衛資金として6か月分、私の場合だと120万円は必ず銀行口座に残しておきます。それを超えた分をすべて投資に回す、という形です。

副業もしているので収入に変動はあって、余裕がある月は10万円を入れることもありますが、大きな出費があった月は積立額が1万円くらいになることもあります。

――相場を見て投資額を変える、というわけではないのですね。

酢束さん:それは考えていないです。とにかく生活防衛資金として貯金120万円をキープすることを最優先にしています。以前、「節約家オタクふゆこ」さんに相談した際にこのやり方を教えていただいて、実践しています。

――現在の運用成績はいかがですか。

酢束さん:元本が140万円くらいで、今の評価額が188万円なので、+47万円くらいです。だいたい25%のプラスですね。投資をしていなかったら、今の総資産が300万円を超えることはなかったと思います。

◆心が貧しくなるような節約はしない

――酢束さんは資産額と一緒に、毎日の食事も投稿されていて、こちらも人気ですよね。

酢束さん:SNSの発信を始めた頃は、手作りのお弁当を載せていました。ケチャップが買えないくらい切り詰めていたので、オムライスの中身がケチャップご飯じゃなくて白米だったり……。

「こんなに質素な生活なんだよ!」ということを知ってもらいたくて、ありのままの手料理を投稿していました。辛すぎて、一人だけでは背負いきれなかったんだと思います。

――今はお金に対する考え方に変化はありますか。

酢束さん:今は、住む部屋と食事にはお金をかけようと決めています。心が貧しくなるような節約はしない、と。

私にとって「資産形成は心」なんです。自分の好きなことや欲しいものまで我慢してしまうと、資産形成が目的になってしまってストレスが溜まりますから。

――お金の使い方も変わりましたか?

酢束さん:無駄遣いをしなくなりましたね。衝動買いをしなくなって、一つひとつの買い物の質が上がったというか、本当に欲しいものだけを買えるようになりました。何かを買うときに、「本当に必要かな」「自分に似合うかな」としっかり見極めるようになりましたね。

◆「数字を見える化」したら、不安がなくなってストレスがなくなった

――将来的に、これくらい資産を貯めたいという目標はありますか?

酢束さん:まずは1000万円を目指しています。今のペースだと、1年間で100万~140万円くらい資産が増えているので、このままいけば37歳で1000万円、47歳で2000万円を達成できる計算です。いわゆる「老後2000万円問題」を意識しています。

――「億り人」のような大きな目標ではないのですね。

酢束さん:なりたい気持ちはありますけど、そこまで自分が頑張れる気がしないです。ストレスは溜めたくないし、スタバも飲みたいし(笑)。生活レベルを上げたいとも思わないので、現実的に2000万円という金額が達成できればいいかな、と思っています。

もともと、将来不安から資産形成を始めたわけですが、こうして「数字を見える化」したら進むべき道筋が見えてきて、それまであった漠然とした将来への不安がなくなりました。

それで安心できたというか、ストレスが減ったのが一番大きいですね。ぼんやりしていたものに、答えが見えたような感覚です。

◆来年も「変わらずコツコツと」

――酢束さんの周りでも、投資に興味を持っている方は多いですか?

酢束さん:友人にもまだ投資をやっていない人がいて、会うたびに話を聞かれるんです。でも、「やってみようかな、勉強してから始めるね」と言って、次に会ってもまだ始めていないというケースが多いですね(笑)。

「やりたいけど、何からやっていいかわからない」と、最初の一歩が踏み出せない方が多いんじゃないかなと思います。

――そうした方々へ、何かメッセージはありますか?

酢束さん:証券口座はスマホがあれば開設できますし、100円からでも株を買えます。まずは少額からでもいいので、一歩踏み出してみてほしいですね。そして、一緒に資産形成をがんばっていけたらいいなと思います。

――最後に、酢束さんご自身の2026年の目標を教えてください。

酢束さん:2026年の目標は、「変わらずコツコツと」です。まだNISAしかやっていないので、個別株とFXには興味があります。

勉強はしていますが、まだ手は出せていないので、2026年は個別株とFXを始められたらいいなと思っています。あ、私も一歩を踏み出さないといけないですね(笑)。

【プロフィール】
酢束さん

手取20万円、家賃9万円の三十路OL。毎月積立投資をしており、Xで毎日総資産を公開中。節約料理研究家として、日々の食事も公開している。スタバをこよなく愛し、「スタバ」を変換した「酢束」をハンドルネームとしている。
Xのアカウントは@moneyistime100

<取材・文/横山 薫(扶桑社)>



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