12月26日(金) 22:10
新聞を「ニュースを知るためだけのもの」と捉えると、その価値を見誤ってしまいます。テレビやネットニュースは速報性に優れる一方で、情報は断片的になりやすく、関心のある話題だけを拾い読みする傾向が強くなります。
一方、新聞は政治・経済・国際情勢・地域ニュースなどが一つの紙面に整理され、社会全体の動きを俯瞰できるよう設計されています。自分では選ばない情報にも自然と触れられる点は、新聞ならではの強みです。
新聞のもう一つの特徴は、「情報に向き合う姿勢」を自然と作ってくれる点です。スマートフォンやテレビは、受動的に情報が流れ込んできますが、新聞は自分で紙面を開き、読む順番を考えながら情報を取りに行く必要があります。その過程で、見出しの付け方や文章の構成から、出来事の重要度や社会的な位置づけを読み取る力が養われます。
また、紙の媒体は記憶に残りやすいとも言われています。気になった記事に線を引いたり、切り抜いて保管したりと、情報を「自分のもの」にしやすいのも新聞の特徴です。こうした体験は、デジタルでは代替しにくい価値であり、特に長年新聞に親しんできた世代にとっては、知的活動の一部として根付いています。
さらに、新聞科学研が新聞購読者と、非購読者に行った調査によると、「生活リズムがいい」と答えた新聞購読者は 48.5%であるのに対し、非購読者は38.1%と、10.4 ポイントもの差がでています。新聞を読む習慣が生活リズムを整えていることが分かります。
特に中高年世代にとって、新聞を読む時間は長年の生活リズムの一部です。朝食をとりながら紙面をめくる行為は、単なる情報収集ではなく、一日を始めるための習慣であり、安心感をもたらす行動でもあります。
このような役割を持つ支出は、数字だけで測れない価値があります。仮に同じ情報が他の媒体で得られるとしても、「その行為自体」が心身の安定につながっているなら、簡単に不要とは言い切れません。
一方で、現実にはテレビ欄と折込チラシだけを見て、ほとんど本文を読まずに古紙回収に出されている新聞も少なくありません。
もしその状態が常態化しているのであれば、新聞はすでに情報源としての役割を果たしておらず、惰性で続いている支出になっている可能性があります。この場合は、一度立ち止まって考える価値があるでしょう。
新聞を続けるべきかどうかを考える際の軸は、「誰のための新聞なのか」を明確にすることです。
親が楽しみとして読み、知的刺激や安心感を得ているのであれば、年間5万円は教養費や娯楽費として決して高すぎるとは言えません。逆に、誰もほとんど読まず、ただ昔から続けているだけなら、デジタル版への切り替えや週末購読など、負担を減らす選択肢もあります。
新聞をやめるか続けるかは、単なる節約の問題ではなく、価値観や生活の質に関わる判断です。
金額だけを理由に切り捨てるのではなく、その新聞が実家の暮らしの中でどんな意味を持っているのか。一度、親と話し合い、納得した上で決めることが、後悔のない選択につながるのではないでしょうか。
新聞科学研究所不規則な日々 新聞で解消
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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