12月26日(金) 23:00
タンス預金とは、特定の金融機関に資産を預けずに、自分の手元に置いて管理する行為を指します。文字通り、タンスに閉まっておく人も多くいるでしょう。
株式会社スガワラくんが実施した、「タンス預金についての調査」(調査日:2024年7月19日、調査対象:35歳以上~65歳未満の男女全国300人)によると、タンス預金をしていると回答した人は、41.7%いました。
また、タンス預金の総額は図表1の通りです。
図表1
| タンス預金の総額 | 全体に対する割合 |
|---|---|
| 10万円未満 | 27.2% |
| 10万円~30万円未満 | 25.6% |
| 30万円~50万円未満 | 12.0% |
| 50万円~100万円未満 | 16.8% |
| 100万円~300万円未満 | 8.0% |
| 300万円~500万円未満 | 6.4% |
| 500万円~1000万円未満 | 0.8% |
| 1000万円~1億円未満 | 1.6% |
| 1億円以上 | 1.6% |
※調査日:2024年7月19日、調査対象:35歳以上~65歳未満の男女全国300人
出典:株式会社スガワラくん「タンス預金についての調査(PRTIMES)」を基に筆者作成
図表1を見ると、30万円未満のタンス預金をしている人の割合が過半数ですが、100万円以上という人も1割以上いることが分かります。
タンス預金そのものは問題ではありませんが、相続時にトラブルの元になる可能性はあるでしょう。
相続税で課税対象となる資産には、現金も含まれます。つまり、自宅で管理していたお金も相続税の対象です。
相続財産が基礎控除額を上回る場合、相続税の申告をしなければなりません。申告義務があるのにタンス預金を申告しなかった場合、さまざまなトラブルが起こり得ます。
トラブルの一つは、「追徴課税」です。申告に不備があったことで、本来の納税額に加算された額が請求されてしまいます。具体的には、以下のような税金が課されるかもしれません。
・無申告加算税:相続税に無申告があった場合
・過少申告加算税:申告した税額が実際より少ない場合
・重加算税:悪質な脱税があったとみなされる場合
正しく申告していれば通常どおりの税額で済んだはずが、追徴課税によって余計な出費が発生するおそれがあります。意図的でなかったとしても、遺族がタンス預金の存在に気づかなければ申告ミスにつながりかねません。
タンス預金を申告しなかったことが「悪質なケース」とみなされた場合、状況によっては刑事罰の対象になるかもしれません。脱税や無申告で罪に問われてしまった場合、懲役刑や罰金などに発展する可能性もあります。
「タンス預金は自宅にあるから見つからないだろう」と考えて、意図的に隠すことは避けるべきです。税務当局は、税金を管理するシステムや税務調査により、タンス預金の存在に把握するケースが多いです。
タンス預金は相続税関連のトラブル以外にも、以下のようなデメリットがあります。
・盗難リスクがある
・災害により消失や破損の可能性がある
・資産運用のチャンスを逃す
タンス預金には利息がつかないため、銀行預金や投資と比べてお金を増やす機会を持ちにくくなるでしょう。
また、自宅などで現金を保管していると、盗難に遭うリスクがあるほか、地震や火災、水害などの災害によって現金が消失したり、破損して使えなくなったりする可能性もあります。資産運用にリスクはありますが、お金が増える可能性がある点ではタンス預金とは大きく異なります。
タンス預金を何らかの理由で申告しなかった場合、相続税に関連してトラブルの元になるおそれがあります。正確に申告しなかったために、追徴課税や刑事罰につながってしまうかもしれません。
タンス預金をすること自体は問題ないとしても、遺族がタンス預金を「把握していない」「忘れる」などの理由で、申告漏れが起きるリスクがある点に注意しましょう。
株式会社スガワラくん タンス預金についての調査(PRTIMES)
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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