セクシー業界で働く男性陣といえば、メーカーのプロデューサー・監督やカメラマンなどの現場スタッフ・セクシー女優の“相手役”など、ポジションは多岐にわたる。近頃は女性裏方が増え、男女比率に大幅な偏りは見られなくなったものの、現在でも男性の比率がやや高めである。
一般男性からすると、ビデオ制作に関わるなど「毎日が天国なのでは?」と想像するかもしれないが、残念ながらそうでもない。この世界は女優の立場が圧倒的に強く、女優と男性陣とは圧倒的な格差があるのだ。しかも、日々“セクシーなもの”と隣り合わせすぎて、段々感情が枯渇しやすくなるのも天国とは程遠い理由の一つである。
“相手役”がツラすぎる件
男性スタッフなしでビデオ業界は成り立たないけれど、重要な立場の割に気を遣うシーンが多い彼らの仕事は、本当に苦労が絶えない。特にセクシー女優の“相手役”の方々は非常にシビアで、皆さんがよく知る相当な売れっ子でさえ、現場移動は自力である。専業かつ仕事ができる男性演者の数が少なく、同じ人を繰り返し何度も起用するせいで1日2〜3現場のハシゴなどは日常茶飯事だ。
私がデビューした当時出会った大人気の男性演者は、その日仕事を4件ハシゴしていた。私と共演した現場がその日の最後の現場で、撮影終了後に愛車のバイクで帰宅する話をしていたのをよく覚えている。肉体労働を4件もこなし、自分の足で帰るなど1人ブラック企業もいいところだが、セクシー業界では割と当たり前な話。送迎付きの女優とは、扱いが雲泥の差だ。
売れっ子でさえハードなのだから、駆け出しや副業の場合はさらに過酷。まだアマチュアに近い演者だと、オファーがあるだけでもありがたいという状態で、安ギャラの現場をこなして経験値を積んでいく。
世に素肌を晒して女性に気を遣い、金額もさほど出ず、自力移動で実績を積む姿はもはや“修行僧”といえようか。ちなみに監督の指示通りに動けず、女優からの評判も悪いと基本的には“即切り捨て”だ。
よく世間の人は「可愛い女の子とたくさんお手合わせできていいなぁ」と羨むけれど、相手役の方々は命を削って現場に臨む。真剣に仕事をしている人ばかりなので、「現場は男性にとっての楽園なのでは?」などと勘違いしてはいけない。
オファー継続に大切な「女優からの口コミ」
男性スタッフに関していうと、人気女優が「あの人はちょっと……」というような悪い評判がまわってしまうと、あっという間に仕事がなくなる。この世界で最も立場が上である女性たちがNOを突きつければ、次回からオファー候補として外れてしまうのだ。
メーカーやプロダクションの社員だった場合はすぐに外すことはできないけれど、女優から好かれていないと重要ポジションを任せられなくなるため、どんどん肩身が狭くなる。実際、嫌われて仕事をやめざるを得ない状況に陥る例も聞くほどだ。
演者から評判が悪くなる理由は様々だが、清潔感がないとか、発言が何となくねちっこいとか……。一般社会でも清潔感やセクハラ、パワハラには厳しいけれども、判断の仕方はほぼ同じ。対人商売だからこそ、技術以外の点もかなり重視されやすい。
監督は“偉い存在”だが、立場が弱くなることも…
この業界は“監督NG”も可能で、「あの監督の現場、雰囲気悪いから行きたくないわ」というのもまかり通ってしまう。多数の女優が1人の人物をNGにすれば作品作りへ影響し、メーカーのリリース本数が減ったり、現場そのものがセッティングできなくなる恐れもある。
監督は基本的に“偉い存在”だが、女優ファーストの世界でやりすぎると立場を失う。相手役の方々やADに強く当たる様子もたまに見られるけど、さすがに最近は減っているとのこと。
芸能界で監督が演者にパワハラざんまいなんて話がよくあるけれど、セクシー業界では「あってはならないこと」といえよう。
男性は“女優に嫌われたら終わり”の世界
要するに「セクシー女優に嫌われたら男性スタッフは終わり」である。全員平等ではなく「女尊男卑」にちょっと近いのが、この業界の特徴であり、一般社会と大きくかけ離れた部分なのだ。
だからこそビデオ制作に関わる男性に対し「イイ思いができて羨ましい」なんて冗談でも言ってはならない。半端な覚悟では務まらないし、業務内容としては「実はかなりレベルが高い」という現実を元業界人として強く主張したいと思う。
文/たかなし亜妖
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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