12月26日(金) 22:40
まず知っておきたいのが、遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があるという点です。遺族基礎年金は国民年金に加入していた人が亡くなった場合、生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取れます。
「子」とは18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人のことをさします。
一方、遺族厚生年金は会社員や公務員など、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に支給されます。この違いを理解していないと、「聞いていた話と違う」という事態になりがちです。
1.子どもがいないと遺族基礎年金はもらえない
最も多い誤解がこれです。遺族基礎年金は「18歳到達年度の末日までの子ども(または障害のある20歳未満の子)」がいない配偶者には原則支給されません。子どもがすでに成人している、または夫婦に子どもがいない場合、「遺族基礎年金はゼロ」というケースになります。
2.亡くなった夫が年金保険料を十分に納めていなかった
遺族年金は、亡くなった人が一定期間以上、年金保険料を納付していることが条件です。未納期間が長い場合や、加入期間が極端に短い場合は、支給対象外となることがあります。
3.内縁関係では原則もらえない
法律上の婚姻関係がない「内縁の妻」も、遺族厚生年金は生計同一関係などが客観的に証明できれば受給できる場合があります。ただし、遺族基礎年金は法律上の婚姻関係がないと支給されません。
4.妻が一定以上の収入・年金を受け取っている
遺族厚生年金は配偶者の収入の多寡で打ち切られることはありませんが、65歳以降は「老齢厚生年金」との併給調整が行われます。結果として「思っていたより金額が少ない」「ほとんど受け取れない」と感じる人も少なくありません。
5.婚姻期間が短かった場合の誤解
婚姻期間が短いからといって、直ちに遺族年金がもらえないわけではありません。ただし、生計維持関係が認められない場合は不支給となることがあります。
遺族年金は申請主義の制度です。条件を満たしていても、手続きをしなければ支給されませんし、逆に条件を満たしていなければ、どれだけ困窮していても支給されないのが現実です。
「夫が会社員だったから大丈夫」「みんなもらっているから自分も当然もらえる」こうした思い込みが、後悔につながることもあります。
ねんきん定期便を確認する、年金事務所で加入状況を聞く、万が一のときの生活費を試算してみる。こうした小さな行動が、将来の不安を大きく減らします。不安がある場合は、社会保険労務士など専門家に相談するのも有効です。
遺族年金は「知っている人だけが守られる制度」と言っても過言ではありません。大切な人を失った後に、さらに経済的不安を抱え込まないためにも、今一度、自分が本当に受け取れるのかを確認しておくことが重要です。
日本年金機構遺族年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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