12月26日(金) 5:00
29歳の相談者は、前職を辞めた後、生活費のやりくりが難しくなりました。特に住民税の納付が予定外の出費となり、家計を圧迫しているそうです。
会社員時代は給与から天引きされていた住民税ですが、退職後は退職時期によって、最後の給与から一括徴収、または普通徴収で納めることになります。今回のケースのように年収200万円程度だった場合、控除などにもよりますが、翌年度の住民税額はおおむね年間6万円前後が目安となり、月あたり約5000円の負担が発生します。
住民税は「所得割」と「均等割」の合計で計算されます。例えば、年収200万円の東京都在住・単身者の住民税を、給与所得控除、社会保険料控除(ここでは年間約30万円と仮定)、基礎控除のみを考慮して概算すると、次のようになります。
まず給与所得控除は、国税庁によると年収200万円が「190万1円~360万円まで」に該当するため、「200万円×30%+8万円=68万円」です。これを年収から差し引くと、給与所得は「200万円-68万円=132万円」、社会保険料控除を差し引いて「132万円-30万円=102万円」となります。
次に、住民税の基礎控除43万円を差し引くと、課税所得は「102万円-43万円=59万円」です。この課税所得に、住民税の所得割(標準税率10%)をかけると、「59万円×10%=5万9000円」が所得割額の目安になります。
さらに、均等割(年4000円)と森林環境税(年1000円)を合算すると5000円となるため、住民税額の合計は「5万9000円+5000円=6万4000円」という概算になります。ただし、家族構成やその他の控除によって実際の税額は変動するため、上記はあくまで参考としてください。
住民税が非課税となる基準は、住んでいる自治体や扶養家族の人数などによって異なります。東京都在住の単身者の場合、合計所得が45万円以下(給与収入のみであれば、おおよそ110万円以下)が住民税非課税の目安です。
なお、2025年度の税制改正により、所得税の基礎控除額が引き上げられますが、これは「国税である所得税」に関するものであり、「住民税の所得割」には影響しません。「所得税」と「住民税の所得割」を混同しないよう注意しましょう。
住民税は前年の所得に基づいて決まるため、退職後の負担に備えてあらかじめ貯蓄を用意しておくことが大切です。今回の場合、年収200万円で6万円程度の住民税がかかる計算でしたが、年収が住民税非課税ラインの110万円以下になれば、住民税の負担はゼロになるでしょう。
負担を軽くするには、再就職や副業で所得を調整し、確定申告で各種控除を最大限に活用するのが効果的です。また、雇用保険の条件を満たしていれば、失業手当を受け取れる可能性があります。給付の申し込みはハローワークで行えるため、早めに手続きしておきましょう。
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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