母の遺産を整理していたら、兄の名義で「500万円の預金」がありました。兄は「母から預かったお金」と言いますが、これも遺産に含めるべきですか?

母の遺産を整理していたら、兄の名義で「500万円の預金」がありました。兄は「母から預かったお金」と言いますが、これも遺産に含めるべきですか?

12月26日(金) 4:20

相続の手続きを進める中で、亡くなった親の名義ではなく、きょうだいの名義で多額の預金が見つかると、「これは遺産に含めるべきなのか」と悩むケースもあるでしょう。本人が「預かっていただけ」と説明しても、そのまま信じてよいのか、不安になるかもしれません。 相続税や遺産分割の場面では、名義と実際の所有者が異なる預金が問題になることがあります。本記事では、「名義預金」とはどのようなものか、相続財産に含める必要があるのか、判断の考え方を制度面から整理します。

「名義預金」とは何か、相続ではどう扱われるのか

相続において問題になりやすいのが「名義預金」です。名義預金とは、預金口座の名義は配偶者や子ども、孫など別人になっているものの、実際には被相続人(今回でいえば母親)が資金を出し、管理・運用していた預金を指します。
 
税務上、相続財産に含まれるかどうかは、名義そのものではなく、資金の出どころや口座管理の状況などから「実際に誰の財産といえるか」で判断されます。預金の名義が誰であっても、実質的に被相続人の財産と認められれば相続財産に含まれます。
 
そのため今回のケースにおいても、「兄名義の預金だから母親の遺産ではない」とは必ずしもいえません。形式的な名義よりも、実態が重視される点に注意が必要です。
 

「預かっていたお金」は名義預金に当たるのか

では、「母親から預かったお金」という説明は、どのように判断されるのでしょうか。名義預金かどうかは、次のような事情を総合的に見て判断されます。
 
例えば、預金の原資が母親の収入や貯蓄であること、通帳やキャッシュカード・印鑑を母親が管理していたこと、利息を含めて母親が自由に使える立場にあったことなどが確認される場合、実質的には母親の財産と評価される可能性が高いと考えられます。
 
一方で、生前に「これはあなたにあげる」と明確な贈与の意思があり、贈与契約書が作成されている、贈与税の申告・納税が行われているなどの事情があれば、兄自身の財産と判断される余地もあります。
 
つまり、「預かっていた」という説明だけでは足りず、管理状況や資金の流れ、贈与の有無といった客観的な証拠が重要になります。
 

名義預金と判断された場合の相続税への影響

もし今回の500万円の預金が名義預金と判断された場合、相続税の計算上は母親の相続財産に含める必要があります。また、遺産分割においても、他の相続財産と同様に分ける対象になります。
 
この点を曖昧にしたまま相続手続きを進めると、後から税務調査で指摘され、修正申告や追徴課税が発生する可能性もあります。特に、相続税の申告が必要なケースでは、名義預金の有無は税務署が注目しやすいポイントのひとつとされています。
 
一方で、実際には贈与が成立していたにもかかわらず、証拠が不足しているために名義預金と扱われるケースもあり得ます。このため、事実関係を整理せずに結論を急ぐことは避けたいところです。
 

まとめ

兄名義であっても、母親が資金を出し、管理していた預金であれば、名義預金として相続財産に含める必要がある可能性があります。「預かっていただけ」という説明があっても、それだけで遺産から除外できるわけではありません。
 
相続では、名義ではなく実態が重視されます。判断に迷う場合は、通帳やキャッシュカード・印鑑の管理状況や資金の出どころ、生前のやり取りを整理したうえで、税務署や税理士などの専門家に確認することが重要です。制度を正しく理解し、後々のトラブルを防ぐためにも、慎重な対応が求められるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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