YouTubeが「フェイク映画予告編」チャンネルを一斉削除

YouTubeが「フェイク映画予告編」チャンネルを一斉削除

12月26日(金) 17:30

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YouTubeが生成AIによる偽の映画予告編を投稿していた人気チャンネル2つを削除したと、米ヤフー・ニュースが報じた。削除されたのは、インド拠点のScreen Cultureとジョージア拠点のKH Studio。両チャンネルは合計200万人以上の登録者を抱え、数百万ドル規模の収益を上げていたという。

Screen Cultureは、既存の宣伝素材をAIで加工する手法で10億回以上の再生数を記録していた。DCの新作「スーパーマン」のフェイク予告編や、劇場公開の数カ月前にマーベルの「ファンタスティック4ファースト・ステップ」の予告編を23本も投稿。検索結果で公式予告編より上位に表示されることもあり、本物と誤解する視聴者が続出した。

一方のKH Studioは、完全に架空の予告編を制作していた。ヘンリー・カビル、マーゴット・ロビー共演の「007」や、レオナルド・ディカプリオが出演する「イカゲーム」など、存在しない作品の予告編で視聴者を惹きつけていた。

YouTubeは3月の時点で著作権問題を理由に両チャンネルの広告収益を停止していた。その後「ファン予告編」「パロディ」「コンセプト予告編」といったラベルを表示することで収益化が再開されたが、最近になってラベル表示が消えていたことが判明。12月18日、スパムおよび誤解を招くメタデータに関するポリシー違反として、両チャンネルは削除された。

今回の措置の背景には、YouTubeとハリウッドの関係強化がある。YouTubeは先日、2029年からアカデミー賞授賞式を独占配信する複数年契約を締結したばかりだ。契約金額は1億ドル以上とされ、半世紀以上にわたって授賞式を放送してきた米ABCに代わり、世界最大の動画プラットフォームがハリウッド最高峰の祭典を届けることになる。著作権侵害コンテンツを野放しにできない立場となったYouTubeにとって、今回の削除は必然的な判断だったといえる。

AI技術とクリエイティブ業界の緊張は高まる一方だ。ディズニーはGoogleに対してAI生成コンテンツに関する停止通告書を送付しており、一方でOpenAIとはコンテンツ生成のライセンス契約を結んでいる。生成AIが映画業界にもたらす変革と摩擦は、今後さらに激しさを増していきそうだ。

【作品情報】
ファンタスティック4 ファースト・ステップ

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Photo by Gabe Ginsberg/Getty Images
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