12月26日(金) 4:20
今回の試算では、2020年1月~12月に、各金属を毎月初めに3万円、年間36万円、円/グラムまたは円/オンスで購入したとして、2025年12月の円建て価格と比較します。データは田中貴金属の公表値を使います。
2020年の金価格(税込店頭小売価格)は、1グラムあたり約5500円~約6800円で推移しました。総購入重量は各月の合計で約59.13グラムになります。
2025年12月24日時点の価格は2万5015円ですので、評価額は、59.13グラム × 2万5015円 = 147万9136円。積立総額36万円に対して約4.1倍、約112万円の利益を生み出したことになります。
ちなみに、2020年から2025年までの価格推移は図表1の通り右肩上がりで、特に2024年以降の円安と金高騰が顕著であったため、このような結果になりました。
図表1
田中貴金属工業株式会社 金価格推移 月次金価格推移
次に、銀を積み立てていたらどうなっていたでしょうか。金と同様の計算方法で試算します。
2020年の銀価格(税込店頭小売価格)は、1グラムあたり50円台~90円台で推移しました。総購入重量は各月の合計で約5.02キログラムになります。
2025年12月24日時点の価格は401.94円ですので、評価額は、5.02キログラム× 401.94円 =201万7738円。積立総額36万円に対して約5.6倍、約166 万円の利益を生み出したことになります。
2020年から2025年までの価格推移は図表2の通りで、特に2025年は金を上回る上昇率を示しました。背景には、再生可能エネルギー分野での利用拡大による需給ひっ迫と、金の代替としての投資需要の拡大があります。
図表2
田中貴金属工業株式会社 銀価格推移 月次銀価格推移
プラチナについても、金や銀と同様に試算します。2020年のプラチナ価格(税込店頭小売価格)は、1グラムあたり約2700円~約3500円で推移しました。1年間の総購入重量は約115.11グラムです。
2025年12月24日時点の価格は1万3146円ですので、評価額は、115.11グラム× 1万3146円 = 151万3236円。積立総額36万円に対して約4.2倍、約115万円の利益を生み出したことになります。
2020年から2025年までの価格推移は図表3の通りで、金と銀同様に2025年の上昇率が顕著な一方、2021年にはプラチナ特有の値動きを示しました。
これは、コロナ禍からの経済回復期待による工業需要の増加で一時的に上昇したものの、金融引き締めへの懸念や、自動車産業におけるEVシフトなどの構造変化が重しとなったためです。プラチナは比較的景気動向に左右されやすい貴金属といえます。
図表3
田中貴金属工業株式会社 プラチナ価格推移 月次プラチナ価格推移
2020年に金・銀・プラチナへ毎月3万円ずつ計36万円分の積立投資を行った場合、2025年12月24日現在の評価額は以下の通りです。
金:147万9136円(約4.11倍)
銀:201万7738円(約5.60 倍)
プラチナ:151万3236円(約4.20倍)
いずれも積立総額36万円を大きく上回る資産増加となり、特に銀は価格変動の大きさから最も高いリターンを記録しています。円安やインフレ、地政学リスクが価格上昇の主因となっており、積立投資の有効性が改めて確認されました。
2025年現在、金・銀・プラチナの価格は歴史的高値圏にありますが、今後もインフレや地政学リスク、円安が続く場合はさらなる上昇が期待されます。一方、急激な価格調整や円高転換のリスクもあるため、投資対象とする際は分散投資や定期的なリバランスが重要と言えます。
田中貴金属工業株式会社 貴金属価格情報
執筆者 : 掛川夏
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
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