日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ボディビルダー』をレビュー!

社会の不条理と孤立が一流のボディビルダーを目指すキリアンを追い込む

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ボディビルダー』をレビュー!

12月26日(金) 17:00

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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。全米が熱狂!?ボディビルダー版『ジョーカー』!***

『ボディビルダー』

評点:★3.5点(5点満点) ©2023 LAMF Magazine Dreams LLC All Rights Reserved.

©2023 LAMF Magazine Dreams LLC All Rights Reserved.



「自己イメージ」と「孤独」が人間を蝕むボディビルディングは良くも悪くも精神に作用する。美容整形やファッション、あるいはダイエットがそうであるようにだ。

こうしたあれこれはどれも到達不可能な自己イメージに向かう終わりなき運動であり、それに取り組む人の精神を自己肯定と自己否定の間で引き裂くばかりか、自分ではコントロールできない「他者によるジャッジメント」の内面化も誘発する。

本作はそういうボディビルディングの負の側面をこれでもかと拡大して描いた作品である。

主演のジョナサン・メジャースの家庭内暴力スキャンダルについてここでは触れないが、アナボリックステロイドの影響下にある主人公が「怒りの衝動を抑えられない」という分かりやすい場面だけでなく、幻想の「自己イメージ」に振り回される非常に不安定な精神の持ち主を演じて見応えがある。

精神のバランスを欠いた主人公は何をするか分からないので、そのサスペンスが映画全体を牽引しているのも良い。

同時に本作は「孤独」を巡る物語でもある。ひたすら己の肉体を鍛えるボディビルは孤独な戦いだが、「孤独」もまた人間を内側から確実に蝕むものであり、本作はそのことについても一つの解答を提示するものとなっている。

STORY:アメリカの田舎町で祖父を介護しながら暮らす青年キリアンは、友人も恋人もおらず孤独な毎日を過ごす。一流ボディビルダーになるという揺るぎない夢を持ちつつも、社会の不条理と孤立が彼の精神を蝕んでいく......



脚本・監督:イライジャ・バイナム

出演:ジョナサン・メジャースほか

上映時間:123分

全国公開中





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