年末調整が終わった後に、今年から始まった「特定親族特別控除」の存在を知りました…「63万円」の控除はもう諦めるしかないでしょうか?

年末調整が終わった後に、今年から始まった「特定親族特別控除」の存在を知りました…「63万円」の控除はもう諦めるしかないでしょうか?

12月26日(金) 4:40

年末調整が終わった後になって、「今年から新しい控除が始まっていたことを知った」「申告し忘れたかもしれない」と気づくと、不安になる人も多いのではないでしょうか。令和7年度の税制改正で創設された「特定親族特別控除」は、条件を満たせば最大63万円の所得控除が受けられる制度であり、見過ごせない内容です。 すでに年末調整が終わっている場合でも、「もう間に合わない」と決めつける必要はありません。本記事では、特定親族特別控除の制度概要を整理したうえで、年末調整での手続き方法、申告漏れがあった場合の対応について解説します。

令和7年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」とは

特定親族特別控除は、令和7年度税制改正で新たに創設された所得控除です。対象となるのは、一定の要件を満たす「特定親族」を扶養している納税者で、扶養控除の対象から外れていたケースを補完する位置づけとされています。
 
国税庁によれば、具体的には、配偶者以外の一定の親族で、納税者と生計を一にしていることや19歳以上23歳未満の年齢要件、所得要件などを満たす場合に適用されます。控除額は、特定親族の合計所得金額に応じて段階的に設定されており、最大で63万円の所得控除を受けることができます。
 
これまで、扶養控除の対象にならなかった親族を扶養している場合でも、一定の税負担軽減が図られる点が、この制度の特徴といえるでしょう。
 

年末調整で特定親族特別控除を受ける方法

特定親族特別控除は、会社員などの給与所得者であれば、年末調整の手続きの中で適用を受けることができます。具体的には、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」に必要事項を記入し、勤務先に提出することで控除が反映されます。
 
この申告書では、特定親族の氏名や続柄、所得状況などを記載する必要があり、内容に基づいて控除額が計算されます。年末調整の際に他の扶養控除等申告書とあわせて提出する形になるため、制度を知らなかった場合や、対象になると認識していなかった場合には、申告漏れが起こりやすい点には注意が必要です。
 

年末調整で申告し忘れた場合の対応

年末調整で特定親族特別控除の申告をし忘れてしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。まず確認したいのが、源泉徴収票が発行される前かどうかです。
 
一般に、会社が源泉徴収票を交付する期限は翌年1月31日までとされています。このため、1月31日以前で、まだ源泉徴収票が発行されていない場合、社内の手続きに間に合えば、年末調整の内容を訂正できる可能性があります。申告漏れに気づいた時点で、会社の経理担当や人事担当に事情を説明し、必要書類を提出したうえで、修正を依頼しましょう
 
一方、すでに源泉徴収票が発行されている場合や、社内での修正が難しい場合には、確定申告を行うことで控除を受けることが可能です。
 
確定申告では、特定親族特別控除の要件を満たしていることを前提に、所定の申告書に控除額を記載します。これにより、年末調整後に確定した税額が見直され、納め過ぎていた所得税が還付されるケースもあります。
 
このように、申告漏れがあった場合でも、時期に応じて対応方法は異なります。「年末調整が終わったからもう無理」と決めつけず、まずは現在の状況を確認することが重要です。
 

まとめ

特定親族特別控除は、令和7年度税制改正で新たに創設された制度で、条件を満たせば最大63万円の所得控除を受けることができます。年末調整では専用の申告書を提出することで適用されますが、申告漏れがあった場合でも、翌年1月31日以前であれば社内で訂正できる可能性があり、その後でも確定申告によって控除を受けることは可能です。
 
年末調整後に制度を知った場合でも、すぐに諦める必要はありません。制度の要件を正しく理解し、自身の状況に当てはまるかを確認したうえで、適切な方法で対応することが大切です。不明点がある場合は、国税庁の公式情報や勤務先の担当部署、税務署の窓口で確認すると安心でしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1177 特定親族特別控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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