凶悪犯罪が増加し、厳格な治安統制のためにAIが司法を担うことになった近未来。妻殺しの容疑がかけられた敏腕刑事のレイヴン(クリス・プラット)が、自らの無実を証明するために奔走する『MERCY/マーシーAI裁判』(2026年1月23日公開)。その公開に備え、本作で主人公と対峙する“AI裁判官”という前例のない役柄に挑んだレベッカ・ファーガソンの代表作をプレイバックしていこう。
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■「M:I」シリーズでブレイク!アクション界の新女王に
出身国である北欧スウェーデンでキャリアをスタートさせたファーガソン。その後、ハリウッドに進出した彼女が一躍注目を集めるきっかけとなったのは、トム・クルーズ主演の人気シリーズ「ミッション:インポッシブル」の第5作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)だった。
同作ではMI6を除籍されたスパイのイルサ・ファウスト役を演じ、激しいアクションシーンに挑むだけにとどまらず、身体能力や判断力、精神的強さにおいても主人公のイーサン・ハントと肩を並べる存在として描かれていた。その後、第7作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(23)ではIMFチームのメンバーとなるなど、シリーズ後半に欠かせない“アクション界の新女王”として大活躍することに。
■ルーツを活かした役柄で、感情のコントラストを表現!
続いては、ヒュー・ジャックマンが主演を務め、19世紀に活躍した興行師のP.T.バーナムの半生を描いたミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(17)。日本でも大ヒットを記録した同作でファーガソンが演じたのは、“氷の歌姫”と称される、自身と同じスウェーデン出身の世界的オペラ歌手ジェニー・リンド役。
表向きは完璧な成功者でありながら、内面では孤独や葛藤を抱える複雑なセレブリティの心情を巧みに表現したファーガソン。バーナムにとって上流社会への成功と誘惑の象徴となるなど、物語を左右させる重要な役どころを見事に演じきった。観客を魅了する華麗なコンサートシーンで人気を不動のものとすると同時に、幅広い演技がこなせることを証明した1本でもある。
■神秘的なオーラで、壮大なSF世界に説得力を与える!
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がフランク・ハーバードの名作SF小説の映画化に挑んだ「DUNE/デューン 砂の惑星」シリーズでは、ティモシー・シャラメ演じる主人公ポール・アトレイデスの母親であり、秘密結社ベネ・ゲセリットの一員でもあるレディ・ジェシカを演じた。
ポールの運命に大きな影響を与えるジェシカに、内省的で抑制された演技で深みを与えたファーガソン。『デューン 砂の惑星PART2』(24)では、“命の水”を飲むことで惑星アラキスの原住民フレメンの祭司となるジェシカの姿が描かれ、その神秘的なオーラに畏怖の念を抱いた観客も少なくないだろう。
■圧倒的な表現力で、感情なき“AI裁判官”を体現
「ミッション:インポッシブル」では強く謎めいた姿を、『グレイテスト・ショーマン』では華麗で人間味あふれる姿を、そして「DUNE/デューン 砂の惑星」では神秘的な姿を、それぞれ演じ分けながら作品世界に深みと説得力を与えてきたファーガソン。最新作『MERCY/マーシー AI裁判」では、感情を排し、無機質な論理と揺らぎを繊細に演じながら観客に倫理的な問いを投げかけるAI裁判官という難役に挑んでいる。
圧倒的な威厳を放ちながら、冷徹さと人間性の狭間に立つAI裁判官。まさにこれまでファーガソンが得意としてきた、自律的な強さと葛藤や不安を併せ持ったキャラクターにぴたりと符合する。ファーガソンの演技キャリアにさらなる奥行きをもたらし、新たな代表作となること間違いなしの本作。卓越した表現力に注目しながら、この緊張感みなぎるタイムリミット型スリラーを体感してみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬
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