テーマは自動車昭和100年史|三浦半島が自動車趣味文化継承の地になった日

octane.jp | 美しい車と暮らす

テーマは自動車昭和100年史|三浦半島が自動車趣味文化継承の地になった日

12月25日(木) 12:11

提供:
遠く向こうに富士山と伊豆半島を望む、三浦半島の広大な公園に、色とりどりの車たちが並んでいた。年式、生産国、メイクスは多岐にわたり、それだからだろう、オープンで楽しげな雰囲気に溢れている。

【画像】「昭和100年」をテーマに、三浦半島に集まったさまざまなクラシックカー(写真18点)

2025年12月6日、「三浦半島に集まる名車たち@ソレイユの丘 Presented by Revival CAFE」が開催された。会場となったソレイユの丘は神奈川県の三浦半島の西端に位置する複合型エンターテインメントパーク。28ヘクタール(東京ドーム約6個分!)もの広大な敷地に高さ15メートルのジップラインにアスレチック、観覧車、グランピング施設、ドックランや牧場などあらゆるアクティビティが揃っている。いたるところに色とりどりの草花が植えられ手入れが行き届いているのは、この施設の主要管理会社が日比谷花壇と聞けばたしかに納得だ。

このソレイユの丘の広大な第3駐車場におよそ250台ほどの車が集まった。テーマは「名車で振り返る昭和100年」。もっとも古い車は特別展示の1925年式ロールス・ロイス・シルバー・ゴースト。今の基準でもその巨大さに圧倒される。次は愛らしくカスタマイズされた1926年式(昭和元年)フォード・モデルT、1929年式フォード・モデルAと続き、2025年式アルピーヌA110GTSやレクサスLBXなどの各最新モデルもある。この100年間を振り返るようにさまざまな年式の約250台の車が並べられているというわけだ。

イベントを開催したのは、会場からもほど近くにある「リバイバルカフェ」。2018年に築約100年の蔵を改装してオープンし、以来、関東エリアの車好きが集う場となったカフェである。

「今年が昭和100年を迎えるということもあり、リバイバルカフェ7周年のイベントは車で100年を振り返ると面白いのでは……という発想から始まりました」と自らもトライアンフ・スピットファイアMk1を所有するリバイバルカフェ代表の三﨑由湖さん。「そこがイベントのスタート地点でした。ですが100年前の車をどうするか。開始から準備に正味8カ月くらいかかりました」とマネージャーの大家朋史さんが続ける。カフェの常連に声をかけ、ツテを辿って250台の車を手配した。会場と交渉し、ポスターを作ってイベントを告知を行う。当日となれば朝から展示車を誘導、配置していく必要もある。普通ならイベント運営企業が入ってもおかしくないが、そこはYOKOHAMA Car Sessionが担当してくれた。”若手から車趣味の素晴らしさを発信する”をコンセプトとする若い車好きのグループで、主宰の後藤和樹さんもいすゞ・ピアッツァXEでカフェに通う常連の一人という。

こうしてソレイユの丘のもと、冬のキリリとした空の下で一堂に会した車両は昭和100年に相応しいものだった。1954年式ビュイック・ロードマスターの豪勢な内外装には舌を巻くし、ジャガー・Eタイプ4台がフロントカウルを開けて沓を並べる姿は壮観そのもの。陸運地域名すらなく区分「5」だけのオリジナルナンバーをつけた1957年式初代クラウンと現行クラウン・スポーツの並びを見れば、日本車も思えば遠くに来たものだ、と呟かずにいられない。鉄仮面のR30スカイライン、元神奈川県警のポルシェ912、エンジンフード開放状態がデフォルトだった往年のアバルト、美しくフルレストアされたフェラーリ 365 GT 2+2……。丘の上にはミリタリー仕様の1976年式三菱J58ジープ。1973年式フォルクスワーゲンK70Lやトライアンフ・ドロマイトスプリントのような「こんな車が日本に存在してるなんて!」というレア車もそこかしこにあって、大衆のためのいわゆる実用車を趣味車として維持する姿勢と努力に頭がさがる。車の車種に貴賎なし。この脈略のなさが実に楽しい。普段リバイバルカフェに三三五五集まる車好きプチオフ会のまさに拡大版だ。

昭和100年分の車を眺めて改めて感じるのは、車文化の豊穣さだ。そして車と文化を愛することを引き継ぐ若者がちゃんといることの素晴らしさ。ソレイユの丘は家族連れを中心に賑わう施設だから、イベントと知らずこうした車と不意に出会って興味を持つ子供もきっといただろう。思えば70年代のスーパーカーブームも、始まりはそんなものだったはずだ。昭和100年から平成に生まれた若者に、そして令和に生まれた子供たちへと、自動車趣味文化の継承はこうしておこなわれていくのだろう。


文:オクタン日本版編集部写真:A.Terada
Words: Octane JapanPhotography: A.Terada
【関連記事】
・クラシックカー2台を日常の足にしてみる|『Octane』UKスタッフの愛車日記
・アルピーヌGTAターボにコンバーチブルモデルがあったとは!ワイドボディの過激な1台を味見
・ラリー史の「走る金字塔」に試乗|ランチアの伝説はここから始まった【後編】
・ワークスカーの生き残り|ランチアの伝説はここから始まった【前編】
・連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 66フェラーリ365GT2+2
0ctane

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ