「実家が裕福なのがイヤだった…」39歳・人気俳優が明かす“逆コンプレックス”と、それでも感謝を忘れない理由

「実家が裕福なのがイヤだった…」39歳・人気俳優が明かす“逆コンプレックス”と、それでも感謝を忘れない理由

12月25日(木) 15:46

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2000年にドラマデビューを飾り、2025年は25周年のメモリアルイヤーを迎えた勝地涼さん(39)。舞台では、2004年の初舞台を共にした劇作家・岩松了さんが作・演出の舞台『私を探さないで』で主演を務めました。さらに2026年1月期には、主演ドラマ『身代金は誘拐です』(瀧本美織さんとのW主演)も控えています。

スクリーンでは、出演作『新解釈・幕末伝』が公開中。本作でW主演を務めるムロツヨシさん、佐藤二朗さん、そして共演の山田孝之さんについて、「僕みたいなのが語るなんておこがましいくらいの絆がある」と語る勝地さん。

今回は、そんな勝地さんに大好きな人、親友、そして尊敬する先輩たちについて話を聞きました。

僕はコメディを愛しているんです



――ムロさん、佐藤さん主演の福田雄一監督最新作『新解釈・幕末伝』では、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜を演じています。同じく福田監督の『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018)でも将軍役でした。

勝地涼さん(以下、勝地): 福田さんが、「将軍は勝地がいい」と言ってくれたので嬉しかったですね。

――本作もコメディ作品ですが、しっかり作り込まれた衣装やセットが印象的です。さらに勝地さんの登場シーンは、ほかの場面とは雰囲気が異なりました。

勝地: そうですね。衣装あわせにも十分な時間が割かれていて、衣装やセットの力は大きかったです。あそこは「一切ふざけないでほしい」というオーダーで、映画のコンセプトにある「真面目な部分」と「コメディのバランス」のうち、真面目な部分を担う役割でした。

――出演時間は短いですが、今回の作品に参加できたことについての思いは。

勝地: ムロさん(坂本龍馬役)と二朗さん(西郷隆盛役)が主役で、そこに重要なキャラクターとして山田さん(桂小五郎)も入ってくる。僕みたいなのが語るなんておこがましいぐらいの絆がある。そんな3人の再共演が叶った作品に参加できたことが、本当にうれしい。ただ、今回、僕は絡みがなかったので、次はまたしっかり絡みたいです。

――できあがった作品をご覧になった感想は。

勝地: 僕はコメディを愛しているので、すべてが豪華でとにかく面白かったです。でもやっぱりムロさん、二朗さん、山田さんが会話している場面が本当に面白く、それぞれが真剣に作りこんだことが伝わってきて、とてもかっこよかったですね。

かつては「実家が裕福」と言われてイヤだった時期も



――将軍役でしたが、勝地さんご自身、裕福なご実家で育ったというお話を聞いたことがあります。

勝地:そうですね。自分も隠してはいませんが、昔はすごくイヤでした。

――そうなんですか?

勝地:芸能界って、地方から出てきて苦労している人が多いですよね。堀越高校での同級生も東京に出てきて寮から通っている人が大半でした。そういう話を聞くと、逆コンプレックスがあったんです。

「どこ出身なの?」と聞かれて「東京です」と答えると「ああ……」みたいな感じがあって(苦笑)。でもある時から、逆コンプレックスもハングリー精神につながると考えられるようになりました。

ただまあ、どう考えても恵まれてはいますからね。裕福すぎるというわけではありませんが、学校にも普通に通い、食事や生活に困ることもありませんでした。その環境に感謝することを忘れないようにしています。

「勝地はどんどん飛び出していいし、失敗してもいい」



――2026年1月からは主演ドラマが始まります。主役と脇で固める役回りとで、心境に違いはありますか?

勝地: あるでしょうね。これまでは主役とヒロインがいて、その友人役を演じることが多かったですし、得意としてきた部分でもあると思います。でもやっぱり、自分が主演で立つということにも挑戦したい気持ちはずっとありました。

それこそムロさんも30代後半までは脇役を中心に活動していて、今は主役も務めるようになりました。そういった姿を見ていると、やっぱり自分は脇が得意だからと言っているだけではなくて、周囲の方に支えてもらいながら、自分が真ん中に立つということ“も”やっていかなくてはと思っています。

――幅を広げるということでしょうか。

勝地: そうですね。脇だから、主役だから、という意識はあまりなくて。映画、ドラマ、舞台、どれが好きですか? と聞かれるのと同じで、脇も主役も、どれもやりたい。映像も舞台も、おじいちゃんになるまで続けたいと思っています。

脇役を経験してきたからこそ感じられる、幸運な部分もありますし。

――それはどういうことでしょう?

勝地: 先輩の話を聞いたりしていると、早くから主役をやっている人は、作品選びも大変なことが多いみたいで。「勝地はどんどん飛び出していいし、失敗してもいい」と言われたことがあります。主役を務めたから次回も必ず主役というわけではないので、フットワーク軽く活動することを心掛けています。

――多くの先輩方に囲まれていると思いますが、この人はステキだなと、いまパッと浮かぶ先輩はいますか?

勝地: 古田新太さんとか。(中村)勘三郎さんとかと対等にお芝居したかと思えば、もちろん同世代の方とも舞台をやって映像も映画もやって、自分たちみたいな年下の世代ともすごく付き合ってくれる。

僕は古田さんが今の僕くらいの年齢の頃、二十歳そこそこで初めてご一緒したんですが、芝居が全然できない若手に「へたくそ!」と言いながらも、ちゃんとアドバイスしてくれるんです。そして本番では、緊張してどんな球を投げても、全部さばいてくれる。

2026年には40歳になりますが、そういう先輩たちを見ていると、自分も少しでも近づきたいと思います。

大好きな人には大好きと伝えたい



――勝地さんは、それこそ年齢を問わず、普段から周囲に愛されている印象があります。ラジオ番組にゲスト出演されているときなども、人柄が伝わってきますし。人と仲良くなるのは得意ですか?

勝地: どうなんでしょう。ただ、僕は普段からあまり変わらないです。『オールナイトニッポン』などに出るときは、もちろんスイッチは入れていますけど。山田裕貴がやったイベントに出たときなんかは、舞台終わりで疲れていたので、スイッチを押しましたね。でも決して無理をしているわけではないです。それはたぶん、山田裕貴こそ誰からも愛される人で、そういう人に会いたくて行っていたからかなと思います。大好きなので。

――高橋文哉さんの放送にも出られていますが、高橋さんのことも大好きだとお話しされていますよね。timeleszが8人体制になる直前の放送にも出られていましたが、そのときも「大好き」という気持ちが全面に出ていたのが印象的でした。そうした思いは、日頃から伝えたほうがいいと考えているのでしょうか。

勝地: 伝えなきゃ、もったいないじゃないですか。高橋文哉くんは、すごくまじめで熱い男。timeleszも好きですし、今は名前が変わりましたけど、僕はKinKi Kidsさん(現:DOMOTO)のこともずっと好きなんです。ほかにも大好きな人はたくさんいます。

山田孝之なんて、中学生のときに連続ドラマで兄弟役をやらせてもらって。普段から頻繁に会うわけではないけれど、ずっと大好きな存在です。そういう気持ちは、ちゃんと伝えていきたいし、伝わったら嬉しいなと思っています。

弱みも見せられる親友は加藤シゲアキ



――ちなみに、弱みを見せられる業界のお友達はいますか?

勝地: 弱さを見せられる、というのとは少し違うんですけど、森山未來くんは、ターニングポイントで会うと自分を見つめ直せる存在ですね。最初に出会ったのは、僕が15歳で、未來くんが17歳のとき。お互い、まだ何者でもない頃でしたが、すでに未來くんは自分の道を進んでいる感じがありました。彼に会うと、「また頑張ろう」と思えるんです。

弱みも見せられる親友となると、加藤シゲアキですね。仕事のこともプライベートのことも、一番話をしています。

――加藤さんとは、どこが合ったのでしょうか。

勝地: シゲのファンの方からすると、僕とシゲが結び付かないみたいなんですけど(笑)、僕からすると、僕にないものを彼が持っていて、彼が持っていないものを僕が持っている関係なんです。僕は熱くなったらすぐ言うタイプだけど、シゲは一回引いてから言う。全然違うんですけど、だからこそ彼は僕に焚きつけられるみたいだし、僕も「なるほど、シゲ先生はそう考えるのか」と思える(笑)。足りないところを補い合える関係なんじゃないかなと思っています。

――勝地さんのことをなんでも知っている存在といえば、愛猫のメルちゃんも親友ですね。

勝地: たしかに! もう11歳なんですけど、元気です。本当に不思議で、こちらの感情が分かっているんじゃないかと感じることもありますし、いい時期もつらい時期も、ずっと一緒に過ごしてきた存在。何でも知っている親友ですね。

<取材・文・撮影/望月ふみヘアメイク/永瀬多壱スタイリスト/梶原浩敬(Stie-lo)>

映画『新解釈・幕末伝』は全国公開中
(C)2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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