なぜ「優秀な人間」が集団になると誤るのか? フジテレビ問題から考える「集団浅慮」

『集団浅慮 「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?』古賀史健ダイヤモンド社

なぜ「優秀な人間」が集団になると誤るのか? フジテレビ問題から考える「集団浅慮」

12月25日(木) 18:00

フジテレビに在職していた女性アナウンサーが、タレントの中居正広氏から性暴力被害を受けたと報じられた事案を発端とする一連の騒動は、一般に「フジテレビ問題」と呼ばれています。2025年3月31日、フジテレビおよびその親会社であるフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会は、当該事案に関する事後対応やグループガバナンスの有効性について調査・検証した報告書を公表しました。

この報告書を読み、世界的なベストセラー『嫌われる勇気』などの著作を持つライターの古賀史健氏は、「魂の報告書だ」と感じ、衝撃に打ちのめされたそうです。一連の出来事を一過性のスキャンダルとして消費するのではなく、「集団浅慮」という視点から一冊のビジネス書としてまとめたのが、『集団浅慮 「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?』です。

「集団浅慮」は日常ではあまり使われない言葉ですが、米国の社会心理学者アーヴィング・L・ジャニスが1972年に著書で提唱した概念として知られています。本書ではこれを、「優秀であるはずの個人が『集団』になったときに発現する、あまりにも愚かな意思決定プロセス」と定義しています。

チームの結束力や一体感は本来、組織の強みであるはずです。しかし、それが集団浅慮へと転じる分岐点はどこにあるのでしょうか。フジテレビ第三者委員会の報告書では、「組織の強い同質性・閉鎖性・硬直性と、人材の多様性(ダイバーシティ)の欠如がある。年配の男性を中心とする組織運営は、『オールドボーイズクラブ』と揶揄される」と表現されています。

古賀氏は今回の事案について「すべての意思決定を『同質性の高い壮年男性』3名だけでおこなう道を選んだ」こと、そしてその意思決定における人権意識の乏しさが問題だったと述べ、「こうした閉鎖的な価値観、そして単眼的な協議の在り方が、今回の集団浅慮に拍車をかけたと見るべきだろう」(本書より)と指摘します。

ここで焦点となるのが、「ダイバーシティ(多様性)」や「人権」という考え方です。本書の最終章では、フジテレビ第三者委員会の報告書を読み解く上で重要な視点として、「ビジネスと人権」というテーマが掘り下げられています。他者の人権を侵害しないために必要な知識や姿勢とは何か。対人関係や組織、社会を変えていくために求められる原則とは何か。

本書は、フジテレビ問題を一つの事例として、日本の経済界、政界、スポーツ界、教育現場など、さまざまな組織が抱える構造的課題を照らし出す一冊と言えるでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]



『集団浅慮 「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?』
著者:古賀史健
出版社:ダイヤモンド社
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