クリスマスの食卓でケーキとともにイメージするだろう、丸焼きのチキン。華やかなムードを盛り上げる一品だけど、その影にはドキリとする光景も隠れているもので……。
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漫画家のみこまる( @micomalu )さんがXに投稿し、8万件を超えるいいねを集めた作品『12月26日に6割引きで売られていた鶏肉に捧げる漫画』。タイトルの通り、クリスマスの翌日、スーパーに並ぶ売れ残りのチキンを目にした際の心境を元にした漫画だ。作者のみこまるさんに作品の舞台裏を教えてもらった。
■クリスマスの主役から一転…「6割引きの丸鶏」から受けた衝撃を漫画に
「お正月準備」「年越しそば」ののぼりがはためく、12月26日のとあるスーパー。クリスマスから年末年始に売り場がシフトする中、おつとめ品コーナーで取り残されるように売られていたのが、6割引きの丸鶏だった。
それを見た一人の女性が、その日の夕食に丸鶏を選ぶ。クリスマスのために命を落としながら、食卓に並ばず売れ残っていた丸鶏をかわいそうに感じたのだ。女性の家族はクリスマスイブにもチキンを食べたと文句を言うものの、結局はおいしく完食。するとその夜、女性の前に「食べていただいた丸鶏です」と、頭のないチキンが現れる――という短編だ。
みこまるさんは、本作は自身の体験がもとになっていると話す。「数年前、12月26日のスーパーで、クリスマスを過ぎて割引されている丸々一羽の鶏を見て、衝撃を受けたことがはじまりです」
丸鶏自体は、クリスマスでなくとも店頭に並ぶもの。だが、割引シールを貼られたおつとめ品の丸鶏を見て、「あらためて命の犠牲を突きつけられたような気分になりました」と、その衝撃を表現するために漫画に描いたという。
本作で読者がまず注目するであろう、1ページを埋めるように描かれた鶏の丸焼きは、チキンの質感、実在のスーパーの売り場さながらの雰囲気、貼られたラップやシールからメッセージ性を感じさせる。
みこまるさんは作画に際し、実際に丸鶏のパック詰めを購入。ポージングも含めて観察したという。「観察後は参鶏湯にしていただきました。驚くほどおいしかったです」と、味の感想も教えてくれた。
また、みこまるさんは『経費で不倫する夫の人生を壊してもいいですか?』や『お宅の夫をもらえませんか?』などの作品があるプロの漫画家。これまで数多くの作品を制作してきたが、本作は最初から最後までアナログでのペン入れに初挑戦した作品でもあるという。
「今までデジタルで描かせていただいていましたが、紙をペンが引っ掻く感覚を味わいたくて挑戦してみました。もちろん、デジタル・アナログ、両者いいところがあるので、これからもいいとこ取りをしていきます」と、みこまるさんは制作を経ての思いを話した。
取材協力:みこまる(@micomalu)
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