2013年に劇場上映された『宇宙戦艦ヤマト2199』から始まったリメイクシリーズ。その最新作『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の「第五章 白熱の銀河大戦」が、2026年2月20日(金)より全国の劇場で上映スタート!12月24日(水)に『第四章 水色の乙女』のBlu-ray&DVDが発売される。『第四章 水色の乙女』では、17歳に成長したサーシャ、そしてガミラスの新たな故郷・ガルマン星に誕生した国家「ガルマン・ガミラス」の総統となったアベルト・デスラーらと共に、ヤマトはデザリアムの巨大要塞・ディガブラスへ立ち向かう。
今回は、デスラー役を演じた山寺宏一さんに、『宇宙戦艦ヤマト』への思いや、『3199』での演技に込めた想いを語ってもらった。
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――40年前にTV放送されていた『宇宙戦艦ヤマト』の思い出についてお聞かせください。
山寺最初のテレビ放送は1974年、ちょうど僕が中学一年生のときに始まりました。当時は録画機器なんてものはなかったので、第1話からリアルタイムで観ていました。第1話を観て、衝撃を受けました。「地球の滅亡まで、あと○日」という、あの演出がとにかくインパクト抜群で、完全に夢中になりました。学校でも『ヤマト』の話題で持ちきりでしたし、結局、1話も欠かさず最終話まで観た記憶があります。
――当時から、大人向けの雰囲気がある作品でしたよね。
山寺そうですね。子どもたちも観ていましたが、大人が観ても楽しめる作品だと思います。僕自身も、ちょっと背伸びしながら観ていた感覚がありました。「本当に地球ヤバいぞ……」って、リアルに感じていたし、それまで観ていたアニメとはまったく違う作品でした。
――その頃、好きだったキャラクターは誰でしたか?
山寺やっぱり古代(進)ですね。古代役の富山敬さんの声真似をして、「雪ーっ!」って一生懸命叫んだりしていました(笑)。デスラーの声はさすがに出せなかったですが、アナライザーの真似なんかはしていましたよ。
――当時、デスラーというキャラクターにはどんな印象を持っていましたか?
山寺悪役なのにとにかく格好いい印象でしたね。伊武(雅刀)さんが演じる声もすごく素敵で。そんなデスラーを、まさか自分が演じることになるなんて……本当にビックリですよ。
――『3199』では、デスラーは前章の第四章から満を持して登場しました。
山寺なかなか台本が届かなったので、「今、『ヤマト』ってどうなっているんだろう?」っていう感覚もあって(笑)。でも、第四章からようやくデスラーが活躍する機会をもらえて、ホッとしました。
そもそも『ヤマトよ永遠に』って、デスラーが登場していないシリーズでも珍しい作品ですよね。でも『3199』は、『ヤマトよ永遠に』と『宇宙戦艦ヤマトIII』をベースにした物語になると聞いていたので、デスラーがどんな登場をするのか、出番を待ちわびていました。
今章の台本をいただいて、「やっとデスラー出てきた!」と(笑)。率直に、嬉しかったですね。
――今回のシリーズ『ヤマトよ永遠に REBEL3199』全体には、どんな印象を持たれましたか?
山寺デザリアムとは一体どういう存在なのか、ずっと気になっていました。デスラーとしては(前シリーズ『2205』で)あんなことをガミラスにしたデザリアムに対して、「どの面下げて出てきたんだよ!」って思うわけです。『3199』ではデザリアム側のキャラがたくさん出てきて、そこも見どころですよね。たとえば、直さん(内田直哉)が演じるスカルダートは「もしかして信じていいのか?」って思わせる一方で、青山穣さんのあの口調からして明らかに信じられない感じのカザンとか、とにかくクセの強いキャラが多いですね。
――『3199』に登場したデスラーに、これまでとの違いを感じましたか?
山寺「デスラー、ちょっと丸くなった?」って思う人もいるかもしれません。
たとえば、ガルマン星にあるデスラーの本拠地に、ボラー連邦に従うバース星のラ=ジェンドラ艦隊が攻めてきたとき、ヤマトに対して「協力を頼む」なんて言い方をします。これまでのデスラーだったら、そんな言い方は絶対にしなかったと思うんですよね。
とはいえ、ガルマン・ガミラスを救いたいという想いは、今もずっと変わっていません。これまでの戦いを通して、ヤマトや地球、そしてスターシャとの縁を重ねる中で、”協調”とか”和を尊ぶ”という価値観を学んでいった。それがデスラーの中に少しずつ変化をもたらしたのかなと。
そうした変化を踏まえた上で描かれているのが『3199』のデスラーなのだと感じました。
想い人の忘れ形見サーシャとの会話に感じたデスラーの特別な想い
――実際の収録では、『3199』でデスラーをどのように演じようと考えましたか?
山寺これまでのシリーズから、あえて演じ方を変えたりはしていません。やっぱり一番大事なのは、福井総監督やヤマト監督が、この作品、そしてデスラーをどう描きたいかということ。
台本をいただいてからは、セリフの一つ一つがどんな意味を持つのか、今のガミラスがどんな状況に置かれていて、デスラーがどんな立場で、他のキャラクターとの関係性がどうなっているか――そういったことをしっかりと踏まえて演じました。
――デスラーを演じるうえで、特に意識しているポイントはどんなところでしょうか?
山寺デスラーって、”フッ”と笑うことが多いんですよ。伊武さんもそういう演じ方をされていたと思いますが、今回の『3199』でも「”フッ”と笑う」と台本にたくさん書かれていました。
僕は、この”フッ”に込められたものが、デスラーという人物を演じるうえでとても重要だと思っていて。たとえば、相手を見下して笑っている”フッ”なのか、あるいは「古代ならわかるよな」という共感の”フッ”なのか――。
言葉に出さずとも、その笑いの中にデスラーの感情が詰まっているんです。だからこそ、演じる側としてはすごく難しい。でも、だからこそ面白い。観てくださる皆さんにも、その”フッ”の裏にある想いを感じ取っていただけたら嬉しいです。
僕としては、「100通りの”フッ”ができる声優」って言われたいですね(笑)。
――古代と二人だけで語り合うシーンも印象的でした。
山寺デスラーにとって古代は、自分と同じように大きな使命を背負っている”同志”だと感じているのではないでしょうか。
彼には、古代の存在があったからこそ救われている部分があると思います。だからこそ、古代が失意の中にいると知ったら、言葉を交わさずにはいられない。
デスラーは多くを語るタイプではありません。ただ、古代と哀しみを共有する中で、彼が今やるべきことを見失わないように――言葉ではなく、心で語り合っているような、二人の絆が感じられるシーンでした。
――デスラーとサーシャの対話も、『3199』ならではの大きな見どころの一つですね。
山寺この二人の出会いは、原作の『ヤマトよ永遠に』では描かれなかったシーンです。だからこそ、サーシャと対話すること自体が、デスラーにとっても特別な意味を持っていたと思います。
スターシャの忘れ形見である彼女と語り合えたことに、デスラーも特別な想いがあったと思いますし、僕自身も演じられてすごく嬉しかったですね。
特に、サーシャから「母はどんな存在だったのか」と聞かれるシーンがありますが、デスラーの答えが本当に素敵で……。スターシャの娘にこそ伝えたかった、心からの想いが詰まっている。
僕にとっても、第四章で演じた中で、いちばん大事なセリフだったと思います。
――第四章冒頭の”これまでのあらすじ”映像で、デスラーが語りを担当しているのも話題ですね。
山寺『3199』の”これまでのあらすじ”は、第一章は森雪、第二章は土門竜介、第三章は山南修、そして今回の第四章では、デスラーがナレーションを担当しました。
リメイクシリーズ――『2199』から『3199』までの流れを、デスラーの視点で振り返っていくという構成ですが、福井さんが書かれたナレーション原稿が、もう本当にボリューム満点で(笑)。デスラーがあれだけ長く、朗々と語るのはこれまでになかったので、収録はちょっと大変でした。
でも、デスラーがこれまで何を思い、どんな信念でここまで生きてきたのか――そのすべてを込めて演じました。ぜひこの”あらすじ”にも注目していただけたら嬉しいです。
山寺宏一(やまでらこういち)
1961年宮城県生まれ。アクロス エンタテインメント所属。主な出演作は『アラジン』ジーニー役、『それいけ!アンパンマン』(めいけんチーズ、ジャムおじさん、カバオなど)、『新世紀エヴァンゲリオン』(加持リョウジ)、劇場アニメ『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』(銭形警部)ほか。
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