【ボクシング】ルイス・ネリ、田口良一が語る井上尚弥vs.中谷潤人勝敗予想はふたつに分かれた

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【ボクシング】ルイス・ネリ、田口良一が語る井上尚弥vs.中谷潤人勝敗予想はふたつに分かれた

12月23日(火) 17:45

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【井上、中谷との試合を熱望するネリ、同陣営の見方は?】来る12月27日、サウジアラビアのリヤドで、WBA/WBC/IBF/WBO統一スーパーバンタム級チャンピオンの井上尚弥(大橋/32歳)が、32勝(17KO)1引き分けのメキシカン、アラン・ピカソ(25歳)との防衛戦に臨む。"モンスター"井上への挑戦が内定している中谷潤人(M.T/27歳)も、同じ興行のセミファイナルに出場する。



試合に向けて調整を行なう中谷

試合に向けて調整を行なう中谷





31戦全勝27KOで4階級制覇中のモンスターと、31戦全勝24KOで3階級を制し、井上の持つ4本のベルトを狙う中谷。ついに来年5月、日本ボクシング史上最大のドリームカードが実現だ。

WBC/IBFバンタム級王座を返上し、122パウンドでの初陣を飾る中谷の対戦相手は、20戦全勝18KOのセバスチャン・エルナンデス(メキシコ/25歳)。戦績から、ピカソもエルナンデスも実力者という印象を受けるが、これまでの試合を見れば"連勝街道"を走る日本のトップ2との差は大きい。おそらく、井上も中谷も快勝して頂上決戦を迎えることになるであろう。

前哨戦を控えた今、世界のベルトを腰に巻いていた2名の意見を紹介しよう。

2025年10月17日からの4日間、元WBCバンタム級、同スーパーバンタム級王者のルイス・ネリ(メキシコ/31歳)が、東京都品川区五反田にあるワタナベジムで練習した。直前に迫ったキルギスでの試合に向け、最終調整を行なったのだ。ネリはWBCアジア・フェザー級タイトルを保持するサタポーン・サアット(タイ/22歳)戦の直前だったが、2024年5月に井上尚弥からダウンを奪った彼が日本人頂上決戦をどう見ているかが知りたかった。

2024年5月に井上と戦い、敗れるもダウンを奪ったネリ

2024年5月に井上と戦い、敗れるもダウンを奪ったネリ





初日、2日目と午前7時にジムにやってきたネリを更衣室で捕まえ、英語で質問した。

「ナカタニが勝つよ。判定かな......」と応じたネリは、私を更衣室の外に促し、「Because」と続けた。野獣のようなイメージとは違い、思いのほか、まともな男であるように思えた。

「イノウエはパンチを喰らうよな。でも、ナカタニはもらわない。彼に対してクリーンヒットを浴びせるのは、相当難しい。イノウエは俺のパンチでもダウンしているが、ナカタニのディフェンスは実にハイレベルだ」

傍にいたネリのトレーナー、ロベルト・キラルテも言った。

「ナカタニがイノウエに勝つさ。そう確信する。私は、ナカタニにWBCバンタム級王座を奪われたアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ/29歳)も指導している。彼の怖さは身に染みて理解しているよ。長身でリーチがあり、ストレートが伸びてくる。フットワークも速い。サンティエゴは何もさせてもらえなかった......。

ナカタニは自分のリーチの生かし方をわかっている。サウスポーで頭がよく、そして力強い。今、ネリがナカタニに勝てるよう必死に努力しているところさ。最低、2試合は準備が必要だ」

ワタナベジムで練習を行なったネリ

ワタナベジムで練習を行なったネリ





ネリもゆっくりとした口調で話した。

「2戦すれば、イノウエにリベンジできると思っている。ナカタニともぜひ、やりたい」

10月26日、ネリはサアットに負傷判定勝ちしたが、モンスターとの差が縮まったようにはとても見受けられない。それでも「リベンジを果たしたい」という気持ちがあるからこそ、現役選手でいられるのだ。禁止薬物の使用やオーバーウエイトを繰り返しながらも、ボクシングから離れられないファイターの性(さが)を感じた。

【田口が井上のアフマダリエフ戦に見た"新境地"】そのワタナベジムから誕生した3人目の世界チャンピオン、田口良一(39歳)にも話を聞いた。元WBA/IBFライトフライ級チャンピオンの田口は、モンスターのデビュー4戦目の相手であり、2013年8月に日本同級王座を懸けて10ラウンド打ち合っている。敗れはしたが、井上がノニト・ドネアと拳を交えた2019年11月7日まで、モンスターをして「自分が戦ったなかで、最強は田口さん」と言わしめた男である。

かつて井上と激闘を演じた田口氏

かつて井上と激闘を演じた田口氏





まず、田口は2025年9月14日の井上vs. ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン/31歳)戦について語った。この試合は、井上がアフマダリエフをポイントアウトし、118-110、118-110、117-111の3-0で判定勝ちを収めた。ウズベキスタン人挑戦者は、ノックアウトにこだわる井上がダウンを奪えなかった2人目の対戦相手となった。ひとり目が田口である。

「"新境地"という表現が適切かどうかわかりませんが、井上くんはテーマを持って戦いました。アウトボクシングに徹するというスタイルは、もともとできたはずですが、ずっとやっていなかった。アフマダリエフ戦では、『いつもだったら仕留めているのに、行かないな』と何度も感じました。必ずチャンスに仕留めていましたが、あえてラッシュをしない策を選んだんですね。

2024年5月のネリ戦、今年5月のラモン・カルデナス(アメリカ/30歳)戦でダウンを喫した井上くんを『ピークを過ぎた』と言う人がいましたから、『そうじゃない。違った自分を見せてやる!』という気持ちの表われだったように見えました」

試合前、アフマダリエフはハードパンチャーだと伝えられていた。

「警戒したんでしょう。とはいえ、自分は井上くんの圧巻の勝利だと感じました。予想以上に挑戦者をボコボコにしましたよ。しかも、打ち急がずにテクニックを見せつけたわけですから、アフマダリエフはノックアウト負けよりもはるかに落ち込んだでしょう。何をやっても井上くんが上でしたから。心が折れ、リングで絶望感を覚えていたと思います。万全の準備をした井上くんの捌き方に、目を奪われました」

【直接対決の予想は「井上くんが有利かな。でも......」】アフマダリエフは中谷と同じサウスポーである。だが、田口の目には、9月のモンスターが"仮想・中谷"として防衛戦をこなした側面は、まるで無いように映った。

「中谷くんとアフマダリエフはスタイルが違うので、"試す"という内容ではありませんでした。井上くんも、中谷くんが6月にIBFタイトルを奪った統一戦は見たはずですし、お互いに一瞬の油断もできないことを把握しているでしょう」

アフマダリエフ(右)を圧倒した井上photo by Naoki Fukuda

アフマダリエフ(右)を圧倒した井上photo by Naoki Fukuda





田口は、4回戦ボーイ時代の中谷とスパーリングをしたことがある。自身は世界チャンピオンとしてだ。しかし、詳細を覚えていない。

「『巧い子だな。いずれ世界チャンプになるだろうな』という記憶はあるんですが、ハッキリとは思い出せません。ただ、ポイントは取られた気がします。おぼろげですが......。

それにしても、6月の西田凌佑(六島/29歳)戦の中谷くんには驚きました。『こんな引き出しもあるのか』と。1ラウンドからガンガン前に出て、打ちに行きましたよね。『こうやって戦って、倒すぞ!』という中谷くんの意思表示、そして宣戦布告だと感じました。西田選手は心底びっくりしたんじゃないですか。『おお、井上くんとの差が縮まったな』と捉えていましたが、9月14日のアフマダリエフ戦を見て、また井上くんが引き離したかな、と自分は思いました」

ネリ、そしてキラルテの言葉を聞いた田口は話した。

「いろんな考えがありますよね。ネリだって、とんでもないパンチ力を持った選手です。井上くんが喰らった一発は、見えない角度のフラッシュだったかもしれません。現時点で自分は、井上くんが有利かな、と考えます。でも、中谷くんがダウンを奪って一気に試合を終わらせる可能性もありますよ。

とにかく12月27日、サウジアラビアでの2人を楽しみに見たいと思います。そして5月までに、彼らがどんな作戦を立てて練習するか。考えるだけでワクワクしますね。自分も会場で生観戦したいです」

まずはリヤド興行に注目だ。

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