“本気で勝負する一年”を掲げて、’25年を駆け抜けてきた僕が見たかった青空(略称:僕青)。
2度目の全国ツアー、グループとして初めてメンバーの卒業も経験しながら課題を乗り越えて成長してきた。そして、12月17日にリリースした最新シングル「あれはフェアリー」では、金澤亜美を初のメインメンバーに据える。デビュー3年目を迎えて、大きく変わり始めた僕青を本人たちはどう捉えているのか。
今回は金澤、塩釜菜那、八木仁愛、長谷川稀未にグループの変化から今シングルへの想い、新曲のタイトルにちなんで「自分がさらに輝くために欲しい能力」などについて語ってもらった。
「嬉しさと同時に、安心を感じた」6枚目シングル
――今年も残すところあとわずかですが、振り返るとどんな一年でしたか。
塩釜菜那(以下、塩釜):
初心に立ち返るための合宿から始まって全国ツアーもあったけど、もうそんなに経ったんだっていう。1つ1つが瞬間で過ぎたなっていう印象があります。
長谷川稀未(以下、長谷川):
私も目まぐるしい日々であっという間に感じました。
金澤亜美(以下、金澤):
でも、合宿から始まったと考えたら長かったかもしれないな。シングルを3枚も発売させてもらって、すごく詰まった1年だったなと思います。
――前作「視線のラブレター」のことでいうと、目標として掲げていた売り上げ10万枚を達成しました。
八木仁愛(以下、八木):
グループとして掲げていたんですけど、6枚目シングルはイベントがたくさんあった期間だったので、嬉しさと同時に、安心みたいなものも感じてました。達成できたことを聞いたときはよかったなって。これまで一緒に歩んできてくれたファンの方も同じ思いだったと思うので、良い報告ができました。
――SNSでファンの方たちも呼び掛けていましたよね。
八木:
そうですね。イベントに足を運んでくださる方も多かったですし、初めてショッピングモールでフリーイベントを開催して、初めて僕青を知ってくださる方もいたと思うので、みなさんのおかげかなと思います。
抜擢に「不安にならないような人でいたい」
――長谷川さんは今作で初めて雲組から青空組に移動してきました。今年は山口結杏さんの卒業や木下藍さんの活動休止、そして年内いっぱいで持永真奈さんが卒業を控えています。グループの形が変わっていくことについて思うことはありますか?
長谷川:
個人的に離れていくメンバーが歌割りで一緒だったことが多かったので、やっぱり寂しい気持ちもあります。今までもいろいろな変化をしながら活動してきたんですけど、今年はファンの方からしても衝撃だったと思うし、私たち自身もパフォーマンスへの意識が変わる部分もありました。不安もあるけど、そこで後ずさりをしないように、力をつけて前に進めるように頑張りたいなって思います。
――そんな一年を締めくくる7枚目シングルで、金澤さんは初めてメインメンバーを務めることになりました。
金澤:
メインメンバーはずっと目標ではあったので嬉しい気持ちもありつつ、MVやパフォーマンスを通じて、大きな役割だなとあらためて感じているので、不安になるときもあります。でも、大きな場所を与えてもらったので、堂々と立てるように自信をつけたいですし、みんなが不安にならないような人でいたいです。
いろいろな色でグループは鮮やかで面白くなる
――前作でメインメンバーを務めた杉浦英恋さんのときもそうだったんですけど、八木さんが背中をバシバシと押すような感じがあったような。
八木:
そこまででもなかったですけどね(笑)
――とはいえ、デビューから5枚目までメインメンバーを務めてきたからこそ共感できる気持ちもあったかと思うのですが、金澤さんとは何か言葉を交わしました?
八木:
ひとりで戦うわけじゃなくて、うしろには私たちがいるので、重圧もあると思うけど一緒に進んでいけたらいいなっていう思いだけは伝えました。メインメンバーとして振る舞うんじゃなくて、もっと自分のカラーを出していい。変わることは悪いことじゃないし、いろいろな色があったほうがグループは鮮やかで面白くなるし、成長に繫がるんじゃないかなと思いますね。だから、あまり助言みたいなことはせずに、亜美ちゃんらしく伸び伸びやってくれたら一番いいんじゃないかなって。
塩釜:
そうだね。新しい表題曲は亜美にぴったりで、アイドルらしくて儚い。振り付けもそういうふうに考えられているのかなって思うので、僕青のカラーを増やしていけたらいいなって思います。これまでリリースした全シングルの雰囲気が違うからこそ、今作は亜美のカラーに私たちも染まれるようにしたいです。
初めての青空組に「奇跡で終わらないように」
――長谷川さんは表題曲で2列目という初めてのポジション。日刊SPA!の雲組連載でお話を聞いたときは、青空組に移動したばかりでまだ実感がないと話していました。
長谷川:
はい。今までにない不安とか悩みはあるんですけど、それと同時に今はキラキラした気持ちというか、毎日が新鮮で希望を持って過ごせています。だからもう、夢を見てる気分なんですよ。
――「私は青空組なんだ」という実感ってどういうときに沸くんですかね。
長谷川:
う~ん、いつなんでしょう。今も取材を受けながら「これは本当なのかな?」っていう気持ちもあって。
金澤:
(小声で)ほんとうだよ。
塩釜:
亜美の囁きが可愛すぎる(笑)
長谷川:
嬉しい。フワフワしてるという意味ではなくて、このシングルの期間だけでは実感が湧かないような気がしていて。青空組に来たことが奇跡で終わらないように自信をつけて、次に繋げられるようにしたいっていうのが素直な気持ちです。
金澤亜美はザ・彼女気質
――今回メインメンバーの金澤さんのことをまだ知らない読者もいると思うので、他のメンバーから見ると金澤亜美さんはどういう人ですか?
塩釜:
ザ・彼女気質です。私がグループ結成当初から思っているのは、この子を彼女にしたい!っていう。
八木:
うん、僕青の中でランキング上位だと思う。
塩釜:
一緒にいるとドキドキしちゃうんですよ。
金澤:
えへへ。ほんと?
塩釜:
これはマジよ。なんでかなって考えたときに、一緒にいると嬉しくなる言葉をずっと掛けてくれるんですよ。「可愛いね」とか「嬉しいよ」って言ってくれるから私の自己肯定感も高まるし、守りたくなるから。
八木:
わかる、守りたくなる!
金澤:
(小声で)嬉しい。守ってね。
八木:
本当にアイドルだなって思っていて。
金澤:
(小声で)そんなことないよ。
塩釜:
さっきから小声で囁き続けるのやめなさいよ(笑)
八木:
あなたがフェアリー(妖精)さんみたいじゃない(笑)。私は渡辺麻友さんが好きだったんですけど、そういう存在を近くで見ている感覚なんですよ。普段の生活をしていても、ずっと可愛いし、理想的なアイドルなんです。なので、これはもう天性の才能なんだなと思いながら見つめてます。
長谷川:
わかる、わかる。
動物で例えるならば「ウサギ」
――TikTokでは金澤さんが犬に扮する「うちの忠犬はかわちこい」がありましたけど、実際の本人を動物に例えるなら?
金澤:
犬ではないと思う、人懐っこい感じではないから。
八木:
ウサギじゃない?
長谷川:
わかる、ウサギかも。
――寂しがり屋?こないだの僕青のYouTubeでは、萩原さんからメンヘラと言われてましたよね(笑)
金澤:
やばいやばい、あれは恥ずかしい回(笑)
八木:
好きになったら一途そうなタイプだよね。
長谷川:
心配症なんじゃない?
金澤:
心を開いたら、一緒にずっと居たいタイプです。
直接的に「冬」って入っている楽曲は初めて
――そして、リリースされたばかりの新曲「あれはフェアリー」はどんな楽曲になっていますか。
金澤:
駅で出会った子に一目惚れするんですけど、その一度しか会えなくて、憧れのあの子をずっと探しているっていう切ない片思いソングです。歌詞の中に、マフラーとか冬の制服とか、冬を感じるようなフレーズが入っていて可愛いらしさもあります。
――注目してほしい振り付けは?
金澤:
羽根の生えたハートをかたどった“フェアリーポーズ”がたくさん出ていて、注目してほしいポイントですし、歌詞を振りで表現する僕青らしさも入っているので、そのバランスが取れていて良いなと感じています。
――僕青として冬曲は初めて?
塩釜:
セカンドシングル「卒業まで」は冬にリリースした楽曲ではあるけど。
長谷川:
直接的に「冬」って入っている楽曲は初めてだと思う。私はその季節に聞きたくなるっていう曲に憧れがあったので、すごく嬉しかったです。
八木:
僕青の夏曲は多いんだけどね。
「クラスのムードメーカー」設定に戸惑い
――MUSIC VIDEOでは途中で冬の制服からアイドル衣装にガラッと変わる場面も新鮮でした。
塩釜:
制服でも僕青の青春らしさが出ていて、この青いチェック柄の衣装に変わったときにフェアリー要素が出ているなと感じました。愛らしい振り付けなんですけど、煌びやかさもあるので、この曲に合うMVになっていると思います!
――これまでの僕青はライブを中心にダンスで魅せるイメージが多かったと思いますが、今回は王道のアイドルソングでメンバーにとっても挑戦かなと感じたんですが。
長谷川:
そうですね。ライブだとカッコいい曲か、はっちゃけた曲が多かったと思うので、また違う僕青を見てもらえるのは楽しみです。例えば、この曲と「キッシュ・ラブ」(金澤・安納蒼衣・工藤唯愛のユニット曲)などを並べて可愛いパートが作れそうですし、アイドルらしい一面が加わって幅が広がるんじゃないかなって思います。
――「僕青祭2025」で行われたメンバー同士で私服をプロデュースするというコーナーでは、八木さんが自分では選ばないような可愛い服を着て、恥ずかしがっていたイメージがあるんですけど、今回のMVでは表情作りに苦労しなかった?
八木:
物語性のある内容だったんですけど、各メンバーにキャラクター設定があって、事前に送られてきた台本を見たら「八木:クラスのムードメーカー」みたいな陽キャの設定になっていて。まあ、どうしましょうって(笑)
――その要素はなさそうですもんね。
八木:
そうなんですよ。なので、台本をもらってから撮影まで毎日イメージトレーニングしてました。
素でいけた「優等生」設定
――他のメンバーはどんな設定が?
塩釜:
塩釜・須永(心海)・岩本(理湖)・で、仲が良いグループみたいな感じでざっくりでした。
長谷川:
私は……、優等生。
――早稲田大学を卒業したばかりの長谷川さんにとって役作りは必要なさそう。
長谷川:
そうですね。わりと素でいけました(笑)
八木:
素晴らしいです。
――主人公の金澤さんが1番大変だったんですか?
金澤:
転校してきたけど、内気な性格であんまりクラスに馴染めずにいるっていう主人公だったので。みんながバスに乗ってきたときの気まずそうな表情とか、クラスメイトの前に立って自己紹介するシーンとか、そういうのは頑張りました。ただ、私も人前に立って喋るのが恥ずかしくて、同じ経験をしたこともあったので共感できることは多かったです。
――悩んだのは八木さんだけですかね。
八木:
転校生の亜美ちゃんに最初に声を掛けるシーンが私なんですけど、一週間ぐらいお風呂で練習してましたから(笑)。陽キャの話し掛け方ってなんだ?っていうところから始まって、自分の中にないものを絞り出す作業は面白かったです。
実生活では一目惚れよりも「熟考タイプ」
――新曲に関して“一目惚れ”というワードが出ましたけど、みなさんがプライベートで買い物するときは一目惚れタイプですか?それとも熟考タイプですか?
八木:
楽しそう、この話題!
塩釜:
私はときめきを感じたものしか買わない。値段はもちろん見るけど買えそうな範囲のものが多いので、迷わずに買います。
金澤:
素敵!
長谷川:
私は一目惚れしないです。例えば、服だったら細かいところまでめっちゃ見て、試着をして着心地も確かめて、「あ~よさそうだな」と思っても一旦帰ります。それでもずっと忘れられなかったら、もう1回行きますね。いっぱい見て考えちゃう。
八木:
私も服を見て「いいな」と思ったら、一旦カフェを挟んでみて、それでも欲しいなって思ったら買います。さすがに家までは帰らないかも(笑)。ただ、離れてみると「着回しできないから必要ないかな」って止めることのほうが多いんだよね。
――基本は洋服ですか。
長谷川:
そうですね、日用品か洋服ぐらいしか買わないから。
塩釜:
私はゲームセンターにあるビッグリップっていう可愛いキャラクターが好きで、その景品を見つけると絶対にやっちゃいます。ミニクレーンにあるんですけど、全然並んでないから。
――私がやらないとなくなってしまうかもしれないと。
塩釜:
そう。こないだも取れるように祈りながらやっていたら、いろいろな人にジロジロ見られました(笑)
金澤:
今の話を聞いてたら、私も一目惚れタイプじゃない。仁愛ちゃんみたいにお店から1回離れて、ネットで見ながらそのまま買っちゃうことのほうが多いかも。値段的にすぐ買えそうなら買っちゃうし、少し高いものだったら迷っちゃいます。
塩釜菜那、23歳として「モテ力がほしい」
――話題を少し変えて、フェアリーは魔法(魔力)が使えると思うのですが、自分がさらに輝くために欲しい能力を“〇〇力”で表わすとしたら?
塩釜:
私は人を好きにさせる能力がほしい。モテ力!
――まだ足りない?
塩釜:
そこまで可愛らしさはないかなって思っています。
長谷川:
そんなことないよ!
八木:
十分よ。人としての可愛さはある。
塩釜:
……それはそうかもしれない。好きにさせるよりも元気が勝つ、わんぱく(笑)
金澤:
それが魅力だよ。
塩釜:
ただね、私も23歳でもう立派な大人ですよ。一人の女性としてモテたいです、男女問わず。
長谷川:
〇〇力だと難しいな、イメージしてるものはあるんですけど。僕青メンバーを見ていて、何事も自分から積極的に楽しんでいるし、リアクションも大きいし。そういうのがいいなって。
八木:
欲しいのは、エンタメ力?
長谷川:
そうなのかな、みんなアイドルとして活動してる場面以外でも、そういう力があるんですよ。一方で、私はゲームセンターとかもあまり楽しめなくて、「お金の無駄かな」とか思っちゃうところが本当につまらない人間だなって感じちゃう。好きなキャラクターもいなくて、趣味を見つけたりするのも苦手だし。もっと興味深くインタレスティングな人間になりたい。
八木:
現実的なんだね。それも良いことよ、こういう人(塩釜)ばっかりだったら世の中が成り立たないから。
八木仁愛「アイドル力」がほしい
――八木さんはどうですか。
八木:
うちはアイドル力かな。
金澤:
(今回の取材で1番の声量)ええーー!
八木:
あんまりアイドルっぽくなさそうだから、その要素を足したいです。
金澤:
そんなことない、ない。
塩釜:
ううん、ふり幅あると思うよ。「僕青祭2025」のファッションショー対決のときに仁愛ちゃんのコーディネートも可愛かったけど、「なんで私負けたんやろ」と思って映像を見返したの。そうしたら、私のぶっとんだ“レディー・ナナ”以上のインパクトがあったし、これは完敗だわと。だからさ、あなたアイドル力あると思うよ。
八木:
あ、ありがとうございます。なんかプロデューサーに褒められてる気分になった(笑)。新曲だと私は稀未ちゃんとシンメで、亜美ちゃんが前にいるんですけど、この2人が可愛いすぎて場違いなところにきちゃったかな~っていう雰囲気になっちゃうので。もうちょっとだけね。
長谷川:
それでいうと、私は仁愛ちゃんに寄せようと頑張ってるんだよ。亜美ちゃんが可愛くて、それを仁愛ちゃんとシンメで挟むことに意味があると考えてるから、仁愛ちゃんをめちゃくちゃ見て勉強してます。
金澤:
儚い感じでいけば?
八木:
こんな感じで、今からいける?
塩釜:
ムダに喋らなければ、儚く見える(笑)
八木:
ちょっと!
2026年は僕青に可能性を感じてもらえる勢いのある1年に
――最後は、金澤さん。
金澤:
私はコミュニケーション力かな。
八木:
綺麗にまとまった(笑)
金澤:
私が上手に喋れないので、コミュ力が高い人はいいなって憧れてます。えへへ。
――僕青のなかでコミュ力が高いメンバーといえば?
金澤:
(須永)心海ですかね。異次元だから、私にちょっと分けてほしい。
長谷川:
コミュ力ありすぎ。
金澤:
初対面の方にもグイグイいくからね。
八木:
この前なんかさ、初対面のバスの運転手さんと友達みたいな感じで話し始めて驚いた(笑)
金澤:
わかる。すぐにあだ名とか付けるしね。
塩釜:
ちなみに、私のお父さんのことは下の名前で呼び捨てにしてます(笑)
――では最後に、代表して金澤さんに2026年の抱負を聞かせてください!
金澤:
今年はたくさん変化があった年だったからこそ、僕青の絆を感じてもらえたら嬉しいです。僕青に可能性を感じてもらえるぐらい勢いのある1年にしたいですね。魅力的なメンバーが多いので、みんなの個性が花開くように頑張ります!
【僕が見たかった青空】
2023年6月15日に結成したアイドルグループ、通称は「僕青」。7枚目シングル「あれはフェアリー」が発売中。僕が見たかった青空の2025年を締め括るワンマンライブ「BOKUAO青春納め2025」が12月28日(日)に東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで開催決定。最新情報は公式HPをチェック
<取材・文/吉岡 俊撮影/星 亘(扶桑社)>
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