【フィギュアスケート】三原舞依「感謝を新たなスケート人生でお返ししたい」 ラストダンスは「幸せな光景」だった

能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【フィギュアスケート】三原舞依「感謝を新たなスケート人生でお返ししたい」 ラストダンスは「幸せな光景」だった

12月23日(火) 17:55

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名スケーターたちのラストダンス 前編

12月21日、東京。ふたりの女子フィギュアスケーターが現役引退を表明し、国内最高峰の全日本選手権で"ラストダンス"に挑んだ。ふたりとも、10回以上も全日本に出場。それだけでどんなスケーターか、十分に伝わるだろう。万感の思いで滑ったリンクは、祝祭のように輝いていたーー。

最後の全日本選手権を合計190.63点の10位で終えた三原舞依

最後の全日本選手権を合計190.63点の10位で終えた三原舞依





【会場は拍手が鳴り響き嗚咽も】三原舞依(26歳/シスメックス)は多くの世界大会に出場し、2022年にはGPファイナルで優勝。四大陸選手権でも2度の優勝を果たしている。全日本には11度出場して2度表彰台に立つなど、つねに上位で戦ってきた。控え目に言って、一時代を彩ったスケーターだ。

「命を燃やす」。そんなスケーティングが人気を集めた理由だろう。深刻な体調不良などで、シーズンを棒に振らざるを得ないこともあった。思うように練習できない日々も過ごしたが、くじけずに滑り続けてきた。その渾身は、祈りたくなるような姿だった。

そして全日本でのラストダンスは、そのスケート人生が丸ごと投影されていた。

「6分間練習からたくさんの声援をいただいて、緊張感もあったけど、すごく幸せだなって思いが強かったです。始まる前にガッツポーズしていたくらいで、うれしさと幸せな思いが私の体すべてを占めていました。『ありがとうございます』って声に出しながらスタートしました」

冒頭、三原は難易度の高い3回転ルッツ+3回転トーループを決めた。そこからはほとんど神がかっていた。3回転フリップ、ダブルアクセル、3回転サルコウと次々に成功。観客の熱気が沸騰し始める。

3回転フリップ+2回転トーループ+2回転ループの3連続ジャンプを降り、3回転ルッツ+ダブルアクセルを成功すると、もはや優勝同然の盛況ぶり。見せ場のスパイラルから3回転ループも着氷し、すべてのジャンプを成功した。スピン、ステップ、すべてレベル4だ。

最後は力を使い果たし、顔を氷につけ、かがんだまましばらく動けなかった。総立ちでの拍手が鳴り響き、どこかで嗚咽(おえつ)が漏れ、あちこちでバナーが振られる。彼女が立ち上がって、観客に向かってあいさつすると、会場には幸せな空気が満ちた。

「幸せいっぱいの競技人生だったと思います」

三原はそう言ってほほ笑んだ。

「最後のスピンに入ったところから、たくさんの拍手が聞こえて......最後までレベルや回転を気にしながらも、すごくうれしくて。最後のポーズをとったあとは、びっくりするくらい涙がこみあげてきました。ごあいさつの時、前が見えないほどでしたが、上のほうまでお客さんが拍手していてくれて、最後のお辞儀の時に見た幸せな光景は、一生忘れることはないと思います」

彼女は気持ちをこめて言っている。

【ずっと強いアスリートではなかった】ーースケートリンクとは?かつてインタビューで彼女に訊いたことがあった。

「笑顔の源かなって。自然と笑顔になれるんです。スケートに出会って、私は本当に幸せで。スケートがあるから、自分らしくいられるんです」

三原は答えていたが、その原点を忘れていない。

「小学2年の時、初めて氷の上に立ったんですけど、とにかく滑るのが楽しくて。すぐに『習ってもいい?』ってお母さんに言いました。陸で歩いたりするのと、氷の上は全然違うんです。こんなに前に進むんだあって。最初は貸し靴で、どんな感じかもわからず、ヘルメットをかぶって。でもバランスは取れていたらしく、すぐにヘルメットを外しました。

両親からは『くるくる回っていたよ』って聞きました。何回かリンクに連れて行ってもらい、教室で(坂本)花織ちゃんがくるくる回る姿を見て、『楽しそう!テレビの(浅田)真央ちゃんと同じ!自分も滑れるようになりたい』って」

彼女は弾むような声で言っていた。一途な想いが変わらなかったからこそ、ラストダンスでスケートの神様の祝福を受けられたのだろう。彼女がリンクで滑り終えたあとも、熱気の余韻はしばらく残っていた。

「全日本は、小さい頃からテレビで見ていた憧れの舞台でした。初めて全日本に出た時は、11回も出られると思っていなかったんです。私自身、ずっと強いアスリートで毎日トレーニングを積んでどんどんすごくなるというスケート人生ではなくて。

全日本までの練習でも、滑りながら涙したこともありました。頑張るぞってリンクに入っても思うように体が動かない。たくさんのつらい経験もありました。でも、その日々がなかったら、こうやって戻れなかったかなって思うんです」

三原は気丈に言った。何事もポジティブに変換してきた。容姿は可憐だが、アスリートとしての不屈さこそ、彼女を突き動かしてきた。「集中力の天才」とも言われたが、その点で誰よりもファイターだった。

「最後に、皆さんの前で演技できて幸せでした。感謝の思いを、新たなスケート人生のなかでお返ししたいです!」

三原は花が咲くように笑った。

後編につづく

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