SL初のプラグインハイブリッド「Mercedes-AMG SL 63 S E PERFORMANCE」|AMGが本気でつくったSLの実力は?

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SL初のプラグインハイブリッド「Mercedes-AMG SL 63 S E PERFORMANCE」|AMGが本気でつくったSLの実力は?

12月21日(日) 12:11

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初代300 SLが登場したのが1954年というから、SLは70年を超える歴史をもつメルセデスを象徴するモデルだ。そして2021年に登場したこの7代目(R232)からは、新しいボディ骨格をもとにメルセデスAMGによる完全自社開発モデルとして生まれ変わった。金属製ハードトップのバリオルーフから4代目(R129)以来のソフトトップへと原点回帰したこともSLファンにとってはうれしいところだ。

【画像】プラグインハイブリッド、かつトップパフォーマンスモデルの「SL 63 S E PERFORMANCE」(写真8点)

導入当初はF1由来の電動ターボチャージャーを備えた2リッター直4ターボを搭載する「SL43」のみの設定だったが、やはり4気筒では物足りないという声もあったようで2023年からはメルセデスAMG社が自社開発した4リッターV8ツインターボエンジン「M177」を搭載した「SL63 4MATIC+」が登場する。

そしてこのたび新たに追加されたのがSL初となるプラグインハイブリッドであり、かつトップパフォーマンスモデルの「SL 63 S E PERFORMANCE」。外観上でベースのSL63と見分けるポイントは、テールにあるバッジが「SL63S」と赤く縁取りされたSの文字が備わるのと、その下に充電口が配置されていることだ。

パワートレインは、ベースのSL63が最高出力585PS/最大トルク800Nmであるのに対して、612PS/850Nmにまで強化した4リッターV8ツインターボ「M177」エンジンをフロントアクスル上に、そしてリアアクスルには、204PS/320Nmを発生する電気モーターと自社開発の駆動用バッテリーを搭載している。トランスミッションは湿式多板クラッチを使う9速AT「AMGスピードシフトMCT」で、連続トルク可変式4WDの「AMG 4MATIC+」は走行状況に応じてクラッチを切り分け、後輪駆動と四輪駆動とを使い分ける。エンジンとモーターを合わせたシステム総合出力は816PS、最大トルクは1420Nmに到達。0-100km/h加速はわずか2.9秒という。

走行モードを選択するAMGダイナミックセレクトは「Electric」、「Battery Hold」、「Comfort」、「Slippery」、「Sport」、「Sport+」、「Race」、「Individual」と実に8つもの設定がある。デフォルトは「Comfort」モードで静かに始動する。電動走行したい場合は「Electric」モードを選べばいいが、実は駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は6.1kWhでEV走行換算距離はわずか15km(WLTCモード)と、EV走行することを主眼においていないことがわかる。電動化によって求めるのは、あくまでも速さということのようだ。

高速道路で「Sport」モードを選びアクセルペダルに力を込めるとそれはもうワープするような感覚が味わえる。タイヤサイズは、フロント275/35ZR21、リア305/30ZR21のミシュランパイロットスポーツ4Sを装着していたが、突き上げもなく乗り心地は想像していた以上に快適なものだった。エアサスペンションでもついているのかと覗き込んでみたが、油圧式のアクティブスタビライザーと電子制御ダンパーを組み合わせたAMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンションの効果によるもののようだ。これにより路面からのショックを個別に補正し、またロールを抑制することで快適性を向上させている。またスポーツ走行時には油圧制御によってキャンバー角の変化をおさえ、コーナリングの安定性を高める。さらにはリアアクスルステアリングを装備しており、100km/h 以下での走行時は、後輪が前輪と逆方向に最大 2.5°操舵することでコーナリング時の回頭性を高めている。

つづら折りのワインディング路も走行してみたが、重さは感じるもののアンダーステアなどで挙動が破綻することはまったくなかった。回生ブレーキの強さは4段階から選択可能でカーボンセラミックブレーキのタッチも上々。試乗後に車検証を確認してみたところ、車両重量はSL63が1940kgなのに対して2170kgと230kgも増えている。それはリアにモーターとバッテリーを配置しているからにほかならないわけだが、さすがはAMGと思わされるのが前軸1070kgに対して後軸1100kgと前後重量配分は49:51と理想的なバランスとなっていることだった。

正直にいうとワインディングを飛ばすよりも、高速道路や市街地をゆっくりと流しているほうが気持ちが良かった。ボディ剛性は高いし、サスペンションの出来も素晴らしいのでスポーツ走行もなんなくこなしてしまうけれど、そこはAMG GTにお任せすればいい。60km/h以下であれば走行中であっても15秒ほどで開閉できる幌を開け放ち、期待に違わぬV8サウンドと溢れ出るトルクの波を身体で感じながら、SLの本懐とはこういうことではなかろうかと思った。そういえば、この7代目から4シーター仕様になった点も朗報だ。都心ではこのクラスのクーペ&カブリオレといえば911の一人勝ちにも見えるけれど、AMGが本気でつくったSLなのだから、そろそろ復権のときがやってきてもおかしくはないと思うのだ。


文:藤野太一写真:奥村純一
Words: Taichi FUJINOPhotography: Junichi OKUMURA
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