【写真】名優・柄本明の言葉が太田光に刺さる
爆笑問題の太田光がMCを務める「太田光のテレビの向こうで」(BSフジ)。12月21日(日)夜9時からの放送では、長年の憧れである俳優・柄本明と対談する。柄本の自然体からくる「達観」した姿勢に触れたことで、太田の胸中に新たな問いが生まれた。テレビと舞台、芸の道における「悲劇」「喜劇」の解釈から漫才における「自然体」への飽くなき探求、そして自身のキャリアにおける「ゴール」の所在。深い洞察に満ちた対談を、収録直後の太田に振り返ってもらった。
■柄本明との対話で見出した共感と「達観」への葛藤
――太田さんが以前から“憧れ”とおっしゃっていた柄本さん。収録中は太田さんなりの演劇論を柄本さんにぶつけていた印象もありました。率直な感想をお聞かせください。
テレビや舞台で見ていた柄本さんに、以前から聞いてみたかったことを聞けたのが嬉しかったです。すごく贅沢な時間でした。
――柄本さんが「悲劇なんて存在するのか」というインパクトのあるワードを発されたとき、太田さんは「おしなべて喜劇なのではないか」という点で共通点を見出されたのかなと感じました。
私も学生時代に「悲劇的に演じなければならない」という解釈で演劇に取り組むことが多かったのですが、それが本当に正しいのかという疑問を抱いていました。正解があるわけではないですが、尊敬する柄本さんが「全部喜劇なんじゃないの?」とおっしゃっていたのは納得する気持ちとともに、すごく嬉しかったですね。
――今回、あらかじめお話ししようと思って持ち込んできたテーマやエピソードなどはありましたか?
もう全部ですね!柄本さんが出演されたNHKの番組で語っていたことや、チェーホフの解釈とか…。昔からずっと聞いてみたいと思っていたことが多いので、それをすべてぶつけたいと考えて臨みました。
――実際に柄本さんとお話しされて、印象が変わったことなどはありましたか?
終盤に役者として、演出家として、柄本明として、柄本さんが思う「正しい解釈のチェーホフやシェイクスピアを『やりたい』という思いはありますか」と聞いた時に「やれないでしょうね」とおっしゃったんですよ。これが意外でした。
私は柄本さんが「もっとやりたい」と考えて、「これからやろうとしている」人だと予想していました。ですが柄本さんは諦めではないけれど、「できない」と思っているのか…と。
1人の柄本さんファンとしては、演出家・柄本明にいつかそれを達成してほしいと思います。最初のメンバーである高田純次さんなども含め、全員が揃った舞台も見てみたいです。ただ柄本さんが「できないね」と言うのであれば、仕方ないかなという思いもあり…難しいところです。
■「爆笑問題の“出方”って、やっぱりどこか無理している」
――冒頭で「テレビももう少しどうにかならないか」という思いも聞かれましたが、対談を通して何かヒントや、できることは見つかりましたか?
柄本さんは長くテレビも舞台もやってきて、ある程度達観しているというか「もうここまで」という境地にいらっしゃるのだと思います。私はまだ「もう少し行けそうだ」と思っていますが、どこかで「行けない」のもわかっている。柄本さんが演じられた舞台「ゴドーを待ちながら」の、“いつか来るはず”のゴドーじゃないですけどね。「ダメだろうな」と思いつつも、私はまだその欲が捨てきれない。
――太田さんの中では「もっとどういうことができそう」という思いがあり、柄本さんは何かヒントをお持ちかもしれないということでしょうか。
そうですね。柄本さんはある意味自然体で、私はどこか無理をしているなと思いました。柄本さんは「来てください」と言われて受けただけですから。最初に「今、出てこれましたか」と話された時も、「いや、出ろって言われて出てきただけだよ」ということじゃないですか。
――なるほど。
爆笑問題の“出方”って、やっぱりどこか無理しているんですよ。「うわあ!」とか言って、自然体じゃない。だからそこはなかなか柄本さんの領域までいけていないと感じています。
――太田さんは「アドリブのように見えるまで練習する」という話をされていました。素人目には自然体に見えますが、目指している境地を教えていただけますでしょうか。
言葉を発してしまえば、ある程度は自然体に見えるかもしれません。でも「素」の部分…舞台の袖からセンターマイクまで来る…これがやっぱり難しいんですよ。
自然に、“出てくるのが当たり前”のように出てきたい。でもどこか照れもあるし、うまくいかない。うまくいっているコンビを、あまり見たことがないですよ。
あとはハケですよね。出とハケが、ぎこちない。“自然と出てきて自然とハケる”ということが難しい。自信がなければできないことなのでしょうね。
――太田さんがそうした“自然体”にこだわりたい理由とは?
こだわりたいというより、“うまくネタに入りたい”というだけの話なんですよ。お客さんとの距離ですよね。お客さんがどう思っているかはわかりませんが、私自身はいつも「出方がうまくいっていないな」と思っているんです。
だから飛び出したり、乱入したりしてごまかしている。普通にスッと出てきてネタに入りたいんですが、自信がないわけです。ここはもう、ネタに自信があるかないかという以前の問題ですからね。
■太田光が見ている「テレビの向こう」
――以前同番組で中山秀征さんがゲストにいらっしゃった時に、太田さんは「テレビはまだまだいける、盛り上げていこうぜ」と話されていました。あの時の熱意というのは、柄本さんの達観した姿勢を見ても変わりないでしょうか?
もちろん!私が柄本さんの位置に行けるわけないですからね。だから私は私で、みっともなくてもしがみつくというところはありますね。
――ご自身の中では「柄本さんのポジション、視点」を、ゴールとして見ていないということでしょうか?
見ていないというより、芸の違いですよね。柄本さんは名人ですから。私がその位置に行ったところで、自分には似合わないでしょう。だから、もがくしかないですね。
――これをやるんだ、という目標はありますか?
ヒデさんと話した時のような番組を作りたいというのは、1つ目標としてありますね。
――「太田光のテレビの向こうで」は90分回しっぱなしで、ラジオともバラエティー番組とも違う種類の“緊張感”がある番組だと感じました。太田さんにとって、この番組はどういう番組ですか?
楽しいですよね。ゲストと一対一なので本当に聞きたいことを聞けるし、どこまでも深掘りできます。編集のことを考えずに話せるので、今日だったら好きな芝居の話ができたり、以前から聞きたかったことを1人のファンとして聞けました。ラジオだとゲストが来ても時間の制約や宣伝などがありますからね。
そういうのを全く考えずに、自由にどこへ飛んでいってもいい。そういう意味ではやりがいがあるというか、カウンセリングを受けているような感じもします。
――編集後のことを考えずに、本当に興味本位で話せるというのは、スタッフの方への信頼感も大きいのだろうなと感じました。
そうですね。それはもう好きなように話していますよ。本当に、話す中身に関しては番組側と何も取り決めていませんからね。
――柄本さんとのお話しを振り返ってみて、あとから自分の中で「この部分を聞きたいな」と思うことも出てくるかもしれません。もし次回また柄本さんをお呼びするとしたら、こんなことを話せたらいいな、というものはありますか?
今回はオファーするタイミングの関係で拝見できなかったのですが、いま柄本さんがやってらっしゃる舞台などを見てから話したいですね。
――今回の話の中で、まだ解明しきれていないというか。
解明しようとも思ってはいないですが(笑)。ただ今回、映画の話はあまりできなかったですよね。ハリウッド映画も大好きな柄本さんが、どういう映画を見てきてどう感じたか…という話はあまりしなかった。次回はそこも、とことん伺いたいです。
――今回でこの番組も7回目。ライフワークとして長く続けていきたいという思いはありますか?
ええ、できるだけ長く続けたいですね。
――太田さんにとってこの番組は、長く続けた先に何か得られるものがありそうですか?
うーん、それはどうでしょうね。でも人と話すのが好きなので。滅多に会えないような人と会える機会をもらえる番組ですから、仕事というよりも本当に自分の楽しみとして続けたいというのはありますね。
――今後の話が出ましたが、これまで様々な業界の方とお話しされてきたと思います。ここからさらに「この業界の人と話してみたい」といったイメージはお持ちですか?
どうでしょうね…スポーツは栗山英樹さんに来ていただけましたし、次は政治家の方などと話してみたいかもしれませんね。
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