「12歳少女人身売買」は氷山の一角…タイ人女性が働く“違法売春マンション”が日本で増加しているワケ

通称・中華マンション。部屋には下着姿のタイ人の女性が(T氏撮影)

「12歳少女人身売買」は氷山の一角…タイ人女性が働く“違法売春マンション”が日本で増加しているワケ

12月16日(火) 15:53

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12歳のタイ人少女が日本で性的サービスを強要されていた――。11月に報じられたニュースは多くの人に衝撃を与えたが、その背後には違法風俗ネットワークの存在があった。なぜ彼女らは日本にやってくるのか?実態に迫る。

無垢なタイ人女性がわずか1万円で本番行為を……

「イラッシャイマセ」

インターホンを押すと、片言の日本語が返ってきた。薄暗い部屋に通されると、布団が一枚敷かれ、その横には下着姿のふくよかなタイ人女性が佇んでいた――。

東京都文京区の個室マッサージ店でタイ国籍の12歳の少女が性的サービスを強要されていた事件が今年11月に報道され、日本に衝撃を与えた。筆者はジャーナリストとして東南アジアの売春を長年取材しているが、事件は氷山の一角にすぎないと捉えている。現在、日本ではタイ人女性が働く“違法売春マンション”が増えている。

冒頭の潜入取材は今年11月下旬、知人のT氏に渋谷の店に行ってもらったものだ。自称24歳で、今回日本に来たのは2回目。タイ人の観光目的の入国であれば、約2週間はビザが免除されるため、その間にこの部屋でひたすら体を売り続けるという。T氏はマッサージのみのサービスを受けながら、女性の生い立ちを尋ねた。

「どこから来たの?バンコク?」

「バンコクじゃない。もっと田舎」

「日本語できるの?」

「大学で少し勉強しました」

近年は彼女のような大卒の女性でも生きる手段として売春を選ぶことがある。バンコク各地にも歓楽街があるが、競争が激しく人目につくため、国外でひそかに売春したいという女性もいるのだ。

潜入直前までも続々と届く宣伝メッセージ…

今回訪れた店の料金システムは、30分の本番行為で1万円、“避妊具なし”であれば1万2000円という価格だった。

T氏によれば摘発を恐れてか、店側も慎重な印象だったという。サイト閲覧にはパスワードの入力が求められ、サービスを受けるには、LINEなどのチャットアプリを使う必要がある。客が地名を指定すると、マンションの住所が送られてくる。到着後、建物の写真を撮って店側に送信し、そこで初めて、部屋番号が送られてくる仕組みだ。

「女のコの写真を一生懸命更新してますが、入れ替わりが早くて!」(原文ママ)

部屋に潜入する前、アプリには店側からひっきりなしに宣伝メッセージが届いていた。

「このサイトは、200人くらいの“社長”からもらった住所を集めて運営しています。社長によって仕組みも女性の性格も違います!」(原文ママ)

“社長”とは、どうやら全国各地でマンションの一室を使って営業する小規模オーナーのことらしい。たどり着いた売春サイトは、複数のオーナーからマンションの住所と女性の情報を集約し、ひとつの“総合カタログ”として案内する役割を担っているようだ。

「中華マンション」の背後に中国人売春組織

片言の日本語を話す店の受付係によれば、モザイクなしの顔写真の女性は、2週間だけ日本で働くタイ人。一方、モザイクがかかっている女性は、長期滞在している人妻や“アルバイト”だという。アルバイトとは要するに長期の不法就労者だ。

今回、筆者はこうした違法風俗の動向を把握するため、複数の売春あっせんサイトを調査した。これらのサイトは一般の検索では出てこず、SNS上のリンクなどを介してたどり着く“半クローズド型”のもので、開設者も運営拠点も明らかではない。だが、掲載されている情報量は膨大だ。北海道から沖縄まで、各地のマンションの一室で同様の営業形態が確認され、登録されている女性は総勢400人超。そして、その大半がタイ人女性で占められていた。

こうした形態の店舗は当然、摘発の対象となる。今年3月には、大阪府羽曳野市のマンションの一室を売春の場として提供したとして男が逮捕された。売り上げの一部が中国本土に送られていた可能性があり、大阪府警は中国人による売春組織が関与している疑いがあるとみているという。そのため、これらの違法風俗店は通称「中華マンション」と呼ばれている。

一方、出稼ぎのタイ人女性たちは、近年だとSNSで集められるケースが多いという。“マッサージ師のコミュニティ”なる掲示板の存在も目立つ。タイ現地の人権団体によると、「一般的なマッサージの仕事だと信じて応募し、日本に来てみると、実は性的サービスを強要される、という事例も少なくない」という。また、自ら海外出稼ぎをした経験を持つタイ人女性は、「ブローカーは、少女が18歳未満と知りながら海外に送り出すこともある」と話す。

タイ人の難民申請「前年比11倍」の衝撃

こうした“出稼ぎ構造”と表裏一体で増えているのが、タイ人による難民申請の急増だ。出入国在留管理庁によると、'24年に難民認定申請した外国人約1万2400人のうち、タイ国籍者は2128人。前年の184人のなんと約11倍である。

タイの警察関係者は「不法就労あっせんブローカーが韓国から日本に主戦場を移したことも背景となっている」と語る。近年、韓国ではタイ人の不法就労者の取り締まりが強化され、日本に場を移す人が増えているのだ。

「良い仕事があると紹介され来日したものの、まったく稼げず売春しか選択肢がなくなるケースも。難民申請中なら日本に長期間滞在できるため、その間に稼げるだけ稼いでいるようです」(同警察関係者)

在京タイ大使館は今年10月、日本で難民申請や不法就労を持ちかける詐欺グループの存在について注意を呼びかけた。詐欺グループは「日本で難民申請をすれば合法的に働ける」など虚偽の情報を伝え、高額な手数料を要求したり、不法就労をあっせんしたりしているという。SNSでは、「1人15万バーツ(約70万円)を払えば、航空券の手配や難民認定申請の手続き、空港送迎などを一貫して請け負う」と投稿する業者の存在も確認できた。

タイ地元紙の報道によると、'22年から過去10年で、性的サービスを目的に年間1万~1万5000人のタイ人の女性・子どもが日本に送られており、日本は“最大の市場”だという。

タイ人が海外で不法就労をする根本原因には、タイの経済の脆弱さ、教育格差による貧困がある。だが、日本が買春という形で、弱者の搾取構造に加担しているのは紛れもない事実だ。現状を真摯に受け止め、買う側の処罰化や児童買春の厳罰化を早急に行っていくべきだろう。

取材・文・写真提供/泰 梨沙子

【泰 梨沙子(はた・りさこ)】
共同通信グループ系メディアで記者を務める。’21年に独立。フリージャーナリストとしてタイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスの人道問題について執筆

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