壮絶なイジメを経験した「184センチ120キロ」の早稲田卒男性が歌舞伎町でホストになるまで

朝陽湊さん

壮絶なイジメを経験した「184センチ120キロ」の早稲田卒男性が歌舞伎町でホストになるまで

12月15日(月) 15:53

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異色のホストが歌舞伎町にいる。『Axel by ACQUA』の朝陽湊さん(@Whironobu1)だ。早稲田大学を卒業して一流企業に就職したインテリだが、学校にも社会にも馴染めず精神疾患になったこともあった。184センチで120キロあった体重は、現在では90キロを切る。現在は、週6日出勤するなど、完全に“社会復帰”を果たした。朝陽湊さんのこれまでとこれからを聞いた。

大学の運動部でイジメに遭った経験が

――学生時代、壮絶なイジメに遭ったそうですね。

朝陽湊: 地元・足立区の公立小学校が荒れていたので、中学受験を経て早稲田大学に入学しました。昔からどうもトップダウンの指示に従うのが苦手で、押し付けに辟易してしまうんです。そのため、“扱いづらいやつ”だったのでしょう。早稲田大学では体育会運動部に所属しますが、やはり浮いてしまいました。日常的に殴られる、蹴られる、転ばされるなどの被害に遭いました。これらのいくつかは、映像としても残っています。

――学生時代は特に、非常に体格に恵まれているようにみえますが、それでもイジメに遭うんですね。

朝陽湊: そうですね。当時は120キロのベンチプレスを持ち上げたりしていましたし、20代後半になると140キロくらいも上がるようになるので、そこまでひ弱ではないつもりなのですが……。なんとなく「ナメていいやつ」だと思われていた節はあります。おそらく、暴力で反撃しない性格を知っているからでしょう。

――当時の監督に相談は?

朝陽湊: もちろんしましたが、むしろ「加害者だってやりたくてやっているわけじゃない」という、擁護とも思える発言さえありました。結局、早稲田大学のハラスメント相談窓口に行くことにしました。因果関係はわかりませんが、その後、監督は退任しています。

会社員時代に「何度も過呼吸になって倒れた」

――その後、就職した企業でも馴染めなかったとか。

朝陽湊: おそらく、サラリーマンの建前文化が肌に合わないのでしょうね。役員におもねるためだけの会議とか、無意味に思える会議が多くありましたので、それを指摘したところ、上司から叱責されることもありました。きっと「空気の読めないやつだ」と思ったでしょう。

――みんなが思っているけど言えないことを、公然と指摘しますよね。でも、朝陽さん自身がダメージを喰らわないわけではないとか。

朝陽湊: そうですね。大学の部活でのイジメもそうだし、厳しい叱責にしても、遭遇すれば精神的に追い込まれます。事実、何度も過呼吸になって倒れてしまっているんですよね。

ホストになってから「30キロ減量した」

――ところで、なぜホストを選んだのでしょうか。

朝陽湊: 簡単に言うと、ホワイトカラーの建前文化と逆の本音文化だからだと思います。人間の欲望を露骨に出すことさえ厭わないし、ある意味で野生的な欲求に従順といいますか。それが魅力的だったんですよね。7月から現在のお店で働いているのですが、ピーク時と比べて30キロの減量に成功しました。さまざまな建前を駆使しても、ホストの世界はルッキズムだと私は思っているので。

――減量だけでもすごいですが、美容整形にもチャレンジなさったとか。かなりのお金がかかりましたか。

朝陽湊: そうですね。二重まぶたにして、鼻と顎とほうれい線にヒアルロン酸を注射しました。トータルで40万円ほどでしょうか。ホストとしての月収はまだ手取り10万円ほどなので、美容ローンを使って月賦で払ってます。

――もっと儲かるものかと思っていました……!

朝陽湊: もちろん、売れっ子になれば青天井だと思いますが、私のレベルではそんなものです。なので、昼は配達員などをして、祖母と一緒に暮らして生活費を浮かせながらなんとかやっています。正直、親が間接的に負担してくれる費用も多いので、甘えた人間の部類です。

美容整形は受験勉強に近い?

――それでも美容整形までして、努力を惜しまないのはすごいですね。なぜそこまで頑張るのでしょう?

朝陽湊: 美容整形は、売れているホストの方からアドバイスをいただきました。成功している人の言うことは素直にやってみようと思ったんです。それから、美容整形は成熟した領域で、きちんと似たような結果が得られる点も興味深いと思いました。よく年配の方が「整形している人間の顔はどれも同じ」と言いますが、それは裏返すと「再現性が高い」ということです。ダイエットをして痩せて、美容整形をすれば、すくなくとも一定の水準にはいけるんです。これは、むしろ受験勉強に近いんです。

――夜職の方たちの努力と受験勉強を似ていると考えたことがありませんでした!

朝陽湊: さらに言うと、受験勉強は公平性を謳っていますが、実際には地頭とか世帯年収、家庭環境などによって個人のスタートラインは違います。ルックスも同様で、実際にはもともとの骨格や体質などがあるから、どれだけダイエットや美容整形をしても、限界はあります。でも大切なことは、努力をする前に比べれば、確実にその結果がわかるということです。

――近年、ルッキズムはタブー視されていませんか。

朝陽湊: そのことは私も存じ上げています。ホストクラブに来店される方のなかには、風俗嬢などをはじめとする夜職の方が多いのですが、彼女たちを見ていると、ルッキズムに傾くのがとても理解できます。簡単に言えば、ルックスに無頓着な人間は、「努力を怠っている」ように見えているのだと思います。なぜなら、自分が努力をすることで思った以上に外見が変わったことを経験しているからなんですね。それはちょうど、勉強して高い偏差値を得たインテリが、学力の低い人を「怠け者」と見下すことがあるのと、よく似ています。

ホストを批判する人たちに思うこと

――ルックス至上主義者と学歴至上主義者の関連がこんなところにもあるんですね。相容れないと思っていました(笑)。

朝陽湊: 相容れない存在だとは思いますよ。ただ、同根だとは思います。さらにいえば、ホストクラブを“悪しきもの”として批判するNPO法人や政党などがあると思うのですが、一度でいいから実際の営業をみてほしいなと思っています。ホストクラブに来る風俗嬢のお客様は、あくまで私の目からみるとですが、コミュニケーションが受け身だったりして、周囲に友人が多いとはいえないタイプが多いです。つまり、孤独感を抱えている。

「ホストクラブがそうした人を食い物にしている」と批判することは簡単だけれども、じゃあ孤独感を抱えた女性がNPO法人がやっているシェルターみたいなところを頼る人ばかりかといえば、そうではないわけです。それは、存在を知らないのではなく、保護されたくないと思っているわけじゃないですか。NPO法人が「ルッキズムを否定する」というメタな視点でいると、女性は駆け込まないので、ルッキズムを内面化していく必要もあるのかなと。

――孤独感を抱える女性が、ホストクラブに居場所を見出しているということですね。では、NPO法人につながろうと思うためには、どうしたらいいと思われますか。

朝陽湊: やはり見ていても、夜職のお客様はホストが好きなんですよね。それは、ホストがルックスを磨く努力をしていて、お客様も人に見られる職業だから、似た努力を経験していることが大きいと思います。たとえば、NPO法人のなかに、ホストばりにルックスを磨いてシェルターに誘導するようなチームがあったら、「行ってみようかな」という女性も出てくるのではないでしょうか。当事者ではない私が発言すべきかはわかりませんが、ホストクラブとNPO法人は対立関係になるよりは、連携したほうが多くの人にとっていいのではないか、と思うこともあります。

いずれ社会学者になってみたい

――朝陽さんの今後の目標について聞かせてください。

朝陽湊: 私はさまざまなことを社会的事象に結びつけて考えるのが好きなので、大学院に行って、ホストの内部を知る人間として社会学者になるのもいいなと思っています。実践者であり観察者でもある、という人はまだいないと思うんですよ。

精神的に深く落ち込み、人生が絶望的であった自分も、諦めることがなかったから今こうしてホストをやらせてもらえています。夜の歌舞伎町にはさまざまな思いや過去を背負った人が行き交いますが、多くの女性の時間を彩ることのできて、かつ自分らしい接客ができるようになりたいですね。

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朝陽さんは明晰で鋭く、さまざまな角度から考察することのできる男性だ。どんな質問にも正面から応えようとする誠実さも光る。決してホストらしいホストではないが、思考し続けるホストとして、これから道に迷った多くの女性に対して温かな言葉を紡いでいくことだろう。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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