12月15日(月) 5:10
公的年金制度における遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。どちらが支給されるかは、亡くなった人がどの年金制度に加入していたか、また遺族の続柄や年齢などによって異なります。
遺族基礎年金は国民年金の制度に基づく遺族年金で、主に「子のある配偶者」や、「18歳になった年度の3月31日までにある子ども」が対象です。
一方、遺族厚生年金は厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合などに支給される遺族年金で、配偶者を中心に、18歳になった年度の3月31日までにある子どもや父母など一定範囲の親族が対象となります(優先順位あり)。
このように、遺族年金は「誰が亡くなったか」だけでなく、「どの年金制度に加入していたか」が支給可否の大きな分かれ目となります。
今回のケースは、年金月額12万円の親と、30歳・無職の娘が2人で生活している状況です。この場合、娘が遺族年金を受け取れるかどうかは、制度上の「遺族の範囲」に該当するかどうかで判断されます。
日本年金機構によれば、遺族基礎年金の対象となる「子ども」とは、18歳に達する年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人を指します。
今回の事例における「30歳の娘」はこの年齢要件を満たさないため、遺族基礎年金の受給対象にはなりません。たとえ無職で親に生活を支えられていたとしても、年齢要件を超えている場合には支給されない点は注意が必要です。
同じく日本年金機構によると、遺族厚生年金の受給対象となる遺族は、配偶者を中心に、一定条件を満たす子どもや孫、55歳以上の父母や祖父母に限定されています。
子どもについては遺族基礎年金同様に年齢要件があり、18歳に達する年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人とされています。
そのため、今回の事例における「30歳の娘」は、遺族厚生年金についても原則的な受給対象には含まれません。
遺族年金では、「亡くなった人に生計を維持されていたかどうか」も受給対象者の要件のひとつです。日本年金機構によると、この「生計維持」は原則として以下の要件をいずれも満たす場合となります。
・生計を同じくしていること(同居している、もしくは別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族であるなどの事項があれば認められる)
・収入要件を満たしていること(前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満であること)
仮に配偶者などが遺族年金の対象となった場合でも、遺族年金の金額は、亡くなった人が受給していた年金額と同額になるわけではありません。遺族厚生年金の場合、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分を基に算定され、報酬比例部分の4分の3が支給額の基準となります。
「年金月12万円を受け取っていたから、遺族も同じ金額を受け取れる」という考え方は、制度上は当てはまらない点に注意が必要です。
遺族年金は、亡くなった人の年金加入状況と、遺族の続柄・年齢・生計維持関係など、複数の要件を満たした場合に支給される年金制度です。今回のように、30歳の娘が親と二人暮らしをしていた場合であっても、年齢要件の関係から、原則として遺族基礎年金や遺族厚生年金を単独で受け取ることはできません。
遺族年金は「家族であれば誰でも受け取れる制度」ではなく、制度上の対象者が厳密に定められています。将来への備えとしては、遺族年金だけに頼るのではなく、預貯金や民間保険なども含めて総合的に考えることが重要です。
具体的な適用可否について不安がある場合は、日本年金機構や年金事務所で確認することをおすすめします。
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金用語集 さ行 生計維持
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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