多くの映画人が憧れるアカデミー会員への招待を、ライアン・クーグラー監督が2016年に辞退していたことが明らかになった。新作「罪人たち」が公開され、アカデミー賞キャンペーンの真っ最中に受けた米ニューヨーク・タイムズのインタビューで、約10年前の辞退理由を初めて詳しく語った。
「敵意からではありません」とクーグラー監督は、辞退の決断について尋ねられた際に明言した。監督業、組合活動、映画学校での活動などで手一杯であることを理由に挙げ、「『最優秀作品を選ぶ』という行為は、私にとって非常にストレスフルなんです。たとえ何の利害関係がなくても」と打ち明けている。
ソーシャルメディアを利用せず、自身の作品に関連する公式イベント以外ではほとんど姿を見せないクーグラー監督は、授賞シーズンの華やかさよりも、映画制作の日常的な要素に魅力を感じているという。「一般の人はタキシード姿の人やレッドカーペットを見るが、実際にこれらの映画を実現させているのは、現場で働く人々だ」と監督は述べた。「ほとんどの日、私はつなぎとコロンビアのギアを着て、物語に集約される解決策を見つけようとしている。現場での作業に集中することで、そうした喧騒とは無縁でいられる」
映画芸術科学アカデミーがクーグラー監督を会員に招待したのは2016年、監督がマイケル・B・ジョーダン主演の「クリードチャンプを継ぐ男」のメガホンをとった翌年のことだった。同作ではシルベスター・スタローンが唯一のアカデミー賞ノミネートを獲得したが、クーグラー、ジョーダン、そして共演のテッサ・トンプソンは作品賞、監督賞、演技部門のレースから外れた。アカデミーがクーグラー監督の業界デビュー作「フルートベール駅で」を完全に無視したこともあり、招待辞退を何らかの反応と見る向きもあった。
その後、クーグラー監督のマーベル大作「ブラックパンサー」と「ブラックパンサーワカンダ・フォーエバー」は複数のアカデミー賞ノミネートを獲得し、前者はスーパーヒーロー映画として初めて作品賞にノミネートされたが、クーグラー監督自身は監督賞にノミネートされていない。
現在、クーグラー監督はジョーダンとの5作目のタッグとなる「罪人たち」で再び話題の中心にいる。ジャンルを超えた本作は、作品賞候補の最有力と広く見られており、クーグラー監督に初の監督賞ノミネートをもたらす可能性がある。
しかし、クーグラー監督はすでに次のことを考えている。2028年に公開予定の「ブラックパンサー3(仮題)」に加えて、自身の制作会社プロキシミティ・メディアを通じて手がけるリバイバル版「X-ファイル」に夢中になっているという。
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Photo by Alberto E. Rodriguez/Getty Images for Disney