体型が気になってランニングを始めて10年。ここ数年、トイレで用を足した後なのに、走り始めると尿が漏れるように。加えて、せきやくしゃみをした拍子にも、頻繁に尿漏れを起こすようになり、しまいには尿失禁まで。そこで、骨盤底筋を鍛える超簡単なエクササイズを毎日実践することに。尿漏れが改善した方法をお伝えします。
尿漏れの原因の多くは骨盤底筋群の筋力低下
日本泌尿器科学会のサイトによると、40歳以上の女性の多くが尿漏れを体験しているのだそうです。その
主な原因は骨盤底筋群の筋力低下
で、
腹圧性尿失禁
というものに分類されていました。加齢や出産経験のほか、ぜんそくや排便時にいきむことでも骨盤底筋群を傷めてしまい、筋力低下につながるのだと記載がありました。
私の場合、気管支ぜんそくで強いせきをすることがあるので、加齢とせきが原因なのだと思いました。要するに腹圧が弱いことで尿漏れが起きてしまうのだなと思った私は、腹圧を高める運動として、ピラティスと骨盤ストレッチを毎日おこなうことにしました。
骨盤ストレッチは腹圧をかけながら深い呼吸をするストレッチで就寝前におこなっていました。キツいストレッチではないため、とても気持ち良いのですが、逆に気持ち良すぎて途中で眠ってしまう難点が。ピラティスは朝の目覚めのストレッチ代わりにおこなっていましたが、出勤前は余裕がないことが多く、実行できないこともしばしばでした。
腰の痛みのせいで尿失禁を起こすように
相変わらずちょびっと尿漏れが続いていたころ、右足を大やけど! その右足をかばって歩行していたのが原因で、
仙腸関節炎(せんちょうかんせつえん)
になってしまいました。 仙腸関節炎による腰の痛みは尋常ではなく、歩行がままならない状態になってしまったため、トイレに行くのもひと苦労でした。そして、ついに尿失禁を起こすようになってしまいました。
日本泌尿器科学会のホームページには
機能性尿失禁
とあり、歩行障害のためにトイレまで間に合わないことが原因と、記載がありました。尿失禁については歩行ができるようになればトイレまで行くことができるので、そこまでナーバスにはならなかったのですが、腰に激しい痛みがあるときはヨガとピラティスができずに骨盤底筋群の筋力がさらに弱まった感がありました。
そのころから新型コロナの猛威により、私が通っていたヨガ・ピラティスのスタジオでもオンラインレッスンがスタート。なんでも、在宅時間が増加して尿漏れに悩む人が多くなっているとの話が先生からありました。リモート化によって通勤や通学などの日常で使っていた筋肉を使わなくなり、在宅だと緊張感が薄れることから全体の筋力が低下し、深層部にある骨盤底筋群の筋力低下につながっているのだそうです。
そこで、全身の筋トレとともに尿漏れに悩みがある人は骨盤底筋群を鍛えましょうと、あるエクササイズを教えてくださいました。
毎日実践、骨盤底筋エクササイズ
先生が教えてくださったエクササイズは、とても簡単なものでした。
まず、鍛えるべき「骨盤底筋」がどこにあるかを意識するため、「トイレで尿を出しながら、一度キュッと止めてみる」という方法を教わりました。
聞いたときは、「えー、そんなことで鍛えられるの?」と半信半疑でした。しかし、実際に試してみると、意外や意外、止められない。止まるけど、ポタっポタと出てしまう……。筋力が落ちているとポタポタ出てしまうと先生もおっしゃっていたので、「わぁ、本当だー」と、自分の筋力低下を実感しました。
先生によると、この「尿を止める」動作は、あくまで筋肉の位置を確認するためのもの。エクササイズとして排尿中に何度も繰り返すと、残尿によって膀胱炎などのリスクがあるため、注意が必要とのことでした。
実際のエクササイズは、排尿時以外、例えば「リラックスしているときや、テレビを見ているときなど、気付いたときに、先ほど確認した筋肉(膣や肛門のあたり)をキュッと締めて数秒キープし、緩める」という動作を繰り返すだけです。
このエクササイズを始めて1年半が経過するころには、日常生活で意識して筋肉を締められるようになり、
せきとくしゃみでも尿漏れは起こさなくなりました
。
まとめ
骨盤底筋エクササイズは最初は半信半疑で始めたのですが、その結果には驚きでした。また、このエクササイズの副産物でしょうか、おなか周りと太もも周りがとてもスッキリしたようで、以前からはいているデニムのズボンがベルトをしないとずり落ちてきてしまうようになりました。
特定健康診断の大腸がん検査の触診で、医師から「腹筋が発達してるね」と褒められました。ただ、加齢とともに骨盤底筋群の筋力は低下していくと日本泌尿器科学会のサイトにも記載があるので、今後もこのエクササイズは続けていこうと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:田川葉子/50代女性。保護猫17匹のお世話をしている。近所の農家さんから畑を借りてオーガニック野菜を栽培し、収穫した野菜を使って発酵食品づくりを楽しんでいる。
イラスト/サトウユカ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
監修者:医師 くぼたクリニック松戸五香院長 窪田 徹矢 先生 獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouYuberとしての情報発信もおこなっている。
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