ジャッキー・チェンが語るアクション映画論主演最新作「シャドウズ・エッジ」【独占インタビュー】

若手俳優たちとの交流も明かす

ジャッキー・チェンが語るアクション映画論主演最新作「シャドウズ・エッジ」【独占インタビュー】

12月12日(金) 9:00

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ジャッキー・チェン主演で追跡のエキスパートが率いる警察と元暗殺者が従えるサイバー犯罪集団の戦いを描いたバトルアクション「シャドウズ・エッジ」(公開中)から、ジャッキーのインタビューを、映画.comが独占入手。長年の経験から見出したアクション映画論、さらに本作で繰り広げられた「必ず誰かが怪我をする」という本気のアクションについて語った。

マカオの街で、神出鬼没のサイバー犯罪集団による巧妙な強奪事件が続発。監視システムも乗っ取られ捜査に行き詰まった警察は、切り札として、すでに現役を退いた追跡のエキスパート・黄徳忠(ホワン・ダージョン)に協力を依頼する。警察の若き精鋭たちとチームを組んだ黄徳忠は、昔ながらの捜査術と最新テクノロジーを駆使し、「影」と呼ばれる元暗殺者が率いるサイバー犯罪集団を追う。

ジャッキー・チェンが黄徳忠、レオン・カーフェイが犯罪集団の首領である元暗殺者・傅隆生(フー・ロンション)を演じ、「THE MYTH 神話」以来約20年ぶりにジャッキー・チェンと共演を果たした。人気K-POPグループ「SEVENTEEN」のメンバーで俳優としても活躍するJUNが犯罪集団のメンバー役で悪役に初挑戦したほか、「シスター夏のわかれ道」のチャン・ツィフォン、テレビドラマ「山河之影錦衣衛と謀りの王朝」のツーシャーが出演。監督・脚本は、「ライド・オン」でもジャッキー・チェンと組んだラリー・ヤンが務めた。

――本作出演に至った経緯を教えてください。

これまであまりにも多くの警察役を演じてきたので、最初はラリー・ヤン監督に「もう警察映画は撮らない方がいい」と言ったんです。よほど特別な作品でなければ引き受けようとは思わなかった。しかし、監督は何度も何度もこの脚本について説明してくれ、その情熱と執念は、まるで本物のベテラン警官のようで、細かいところまで完璧に理解していました。ラリー・ヤン監督の誠意と情熱に動かされ、出演することにしたのです。

――今回、ジャッキー・チェンさんが演じた警察官・黄徳忠について教えてください。

本作では引退したベテラン刑事・黄徳忠を演じています。かつては追跡任務や潜入捜査に従事し、引退後は犬の調教師としてペットの散歩や世話をしている元捜査官が、再び警察に戻ります。黄徳忠は現場に戻ることを自ら選んだわけではありません。警察が高度なハイテク犯罪集団に太刀打ちできなかったからです。コンピューターのネットワーク全体がハッキングされて、何をやっても相手に筒抜け。少しでも動けば、もう敵に察知されてしまう。だからこそ、私が“昔ながら”のやり方で呼び戻されたというわけです。

本作の元になった映画「天使の眼、野獣の街」(2007)は香港が舞台でしたが、本作はマカオが舞台。マカオの法律や逮捕の手続きは香港とは少し異なっていて、その違いも作品の一つの面白さになっています。

――今回、レオン・カーフェイとは「THE MYTH 神話」以来、約20年ぶりの共演です。彼が演じた元暗殺者・傅隆生について教えてください。

傅隆生という男は、非常に老獪で策略に長けた人物です。いわば“昔ながらの気質”で、そこは黄徳忠とよく似ています。ベトナム出身の元偵察兵で、かつてアメリカ軍と戦っていた。当時、アメリカ軍は最新のハイテク兵器を使っていたけれど、ベトナム側には何もなかった。ただ穴を掘って身を伏せ、敵が通り過ぎる瞬間に数発撃って、退却させる。そういう時代の昔ながらの戦い方です。だから私は思うんです。昔ながらには昔ながらの良さがあり、新しいやり方には新しい良さがある。傅隆生はまさにそういう人物です。

彼は孤児たちを引き取り、自分で育てて訓練し、昔ながらと新しいやり方を融合させて、犯罪行為に利用していく。とても頭の切れる男で、しかも冷酷。こういう人間は、冷酷でなければ生き残れない。彼はどんな時でも“生かしてはおかない”タイプの人間です。実は、2人は似ているところが多い。彼も昔ながらの人間で、昔ながらの人間同士のぶつかり合い。それが本作の物語です。

――劇中、レオン・カーフェイと繰り広げるアクションシーンは圧巻でした。

カーフェイはもともとアクション俳優ではありませんが、撮影前にたくさんトレーニングしました。もちろん、回転するシーンはスタントを使う必要があるけれど、ナイフを使うアクションなどはすべて彼自身がやっています。あるシーンでは、彼が私を完全に打ちのめす場面もあり、本作では本当にたくさんのアクションをやりました。

カーフェイを気遣うことはしていません。蹴る時は蹴るし、殴られる時は殴り返す。刺される時は刺される。もう少しで目を刺されかけたこともある。アクション映画とはそういうものです。気遣う余裕なんてありません。軽く蹴ると、監督が「もう一度、もう一度、もう一度」と言うだけ。ワンテイクでドンという音がしたら、「カット、OK」となりますが、必ず誰かが怪我をする。彼か、僕か。アクションは派手に飛び回るワイヤーアクションとは違って、リアルな殴り合いです。平手打ちも、拳も、本気で叩きつける。それがアクション映画のやり方なんです。

こういう映画は本当に爽快です。カーフェイとのアクションはとてもやりがいがありました。ラブシーンを撮って「今日はすごく楽しかった」なんて言えないでしょう(笑)。だからこそ、やっぱり私はアクション映画が一番好きです。

――映画におけるハイテクと旧式の手法についての考えを教えて下さい。

どっちにもそれぞれの良さがあります。今の若い人たちはネットがダウンすれば身動きが取れなくなりますが、我々はネットを使わず、昔ながらの方法で買い物もできる。しかしこれからすべてが新しいネットシステムになり、スキャンやQRコード決済が主流になれば、僕は対応できない。「スキャンして」「QR決済して」と言われても、何のことか分からない。僕も傅隆生もそのうち飢え死にしますよ(笑)。僕の携帯にはキャッシュレス決済アプリは何も入っていません。テクノロジーにはいい面も悪い面もあります。そもそもスマートフォンの発明は、仕事の時間を増やすためだったんです。でも今や、世界中の人が一番時間を無駄にしているのが、そのスマホなんですよ。

――チャン・ツイフォンが演じた若手刑事の何秋果(ホー・チウグオ)とベテラン刑事・黄徳忠との関係性も重要でしたね。

何秋果は一見すると臆病そうだけど、内面は強い少女です。彼女の父親には知られざる過去があり、多くの人は彼女が女性という理由で軽く見てしまう。だから彼女は、人の何倍もの努力をして多くのことを学ぶんです。例えば、総合格闘技、銃の扱い、トレーニング。僕が演じた黄徳忠は彼女と非常に近い関係にあるので、彼女の負けず嫌いな性格をよく分かっていますが、その性格が時には彼女を危険にさらすことにもなると感じています。特に警察という職業では、負けず嫌いすぎることは命取りになる。すべての行動において、慎重に考えてから動くべきです。この扉を開けられるか?この取っ手は熱い、触ってはいけない。開けたら爆発するかもしれない。中で火事があるかもしれない。刑事として行動するときは、常に慎重でなければなりません。僕はこのプロセスを通して、何秋果にそう教えています。

――チャン・ツイフォン、ジュン(SEVENTEEN)ら若手俳優たちとの共演はいかがでしたか?

初めて共演したのに、チャン・ツイフォンはまるで何年も前から知っているような気がします。彼女は本当に演技が上手で、若いですがキャリアを積み重ねすでにベテランの域に達しています。それにアクションの飲み込みがものすごく早くて、僕が教えたことは全て身につけている。だから成家班(ジャッキーのスタントチーム)に言うんです。「彼女を仲間に迎え入れろ」ってね(笑)。練習熱心で、とにかく努力している。きっと将来の役に立つと思うので、僕が持っている技術や経験はできるだけ多くの俳優に伝えたいと思っているんです。好きな俳優には、持っている技術や知識を惜しみなく教えるし、逆に彼らからも多くを学んでいます。彼らができることの中には僕ができないこともあるからね。

ジュンやチェイニー・リンは、将来はもっと大きなアクション映画の世界に進んでいくと思います。学ぶべきこともまだたくさんあるけれど、彼らは本当に努力家で、何でも素直に聞いてくれて理解力が早い。ジョウ・ジェンジエも素晴らしい俳優で、とても気に入りました。

【作品情報】
シャドウズ・エッジ

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