米パラマウント・ピクチャーズの公式X(旧Twitter)アカウントが12月9日、何者かにハッキングされ、プロフィール欄が「Proud arm of the fascist regime(ファシスト政権の誇り高き一部門)」に書き換えられる事件が発生した。約350万人のフォロワーを持つ同アカウントは、その後まもなく元の説明文に戻されたと、米バラエティが報じている。
このハッキングは、デビッド・エリソン率いるパラマウント・スカイダンスが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)に対して敵対的買収提案を発表した翌日に起きた。その3日前には、NetflixとWBDが、Netflixがワーナーのスタジオ部門、HBO、HBO Max、ゲーム部門を買収するという合意を発表したばかりだった。
今回のハッキング事件の背景には、トランプ大統領とエリソン一族の複雑な関係がある。デビッド・エリソンと、その父でオラクル創業者の大富豪ラリー・エリソンは、トランプ大統領の支持者として知られている。また、パラマウント・スカイダンスによるWBD買収資金には、サウジアラビア政府系ファンド(PIF)、アブダビのL'imad Holding Company、カタール投資庁の3つの中東系政府系ファンドが総額240億ドル(約3兆6000億円)を拠出。さらに、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーが率いる投資会社Affinity Partnersも名を連ねている。クシュナーのAffinity Partnersには、サウジアラビアのPIFから20億ドル(約3000億円)の出資があり、今回の買収劇におけるサウジアラビアとトランプ陣営の緊密な関係を示している。
スカイダンスによるパラマウント・グローバルの買収完了後の2025年10月、傘下のCBSニュース部門では約100人が解雇され、長寿報道番組「60ミニッツ」のベテラン・エグゼクティブ・プロデューサーを含む主要スタッフが次々と職を失った。同時期、保守派ジャーナリストで「反woke(反リベラル)」の立場で知られるバリ・ワイスがCBSニュースの編集責任者に就任。ワイスのメディア企業「The Free Press」をパラマウントが1億5000万ドル(約225億円)で買収する形での起用となった。リベラル排除を目指すトランプ政権と、メディア掌握を目指すエリソン一族の思惑が一致しており、それが今回のハッカーのメッセージにつながったとみられている。
一方、トランプは12月8日のホワイトハウスでの記者会見で、パラマウントのWBD買収案を支持するかと問われ、「それについてはまだ十分に知らない」と慎重な姿勢を示した。また、「彼らの誰も特に私の親しい友人というわけではない」とも述べている。
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