スーパー戦隊と仮面ライダーで大差がついた「おもちゃの売り上げ」。“憧れの象徴”だった合体ロボが売れなくなったワケ

戦う「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」(京セラドーム大阪)©産経新聞

スーパー戦隊と仮面ライダーで大差がついた「おもちゃの売り上げ」。“憧れの象徴”だった合体ロボが売れなくなったワケ

12月11日(木) 8:53

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テレビ朝日が50年近く放送を続けてきた「スーパー戦隊」シリーズの終了が決まりました。かつて10%を優に超えていた視聴率も現在は2%台まで低迷していました。

そして、スーパー戦隊を象徴するおもちゃ「合体ロボ」の販売も停滞していたのです。昭和の子供たちにとって憧れの象徴だった合体ロボは、なぜ売れなくなったのでしょうか。

おもちゃの売上は仮面ライダーに遠く及ばず…

バンダイナムコホールディングスの国内トイホビーにおける、2024年度のスーパー戦隊の売上が54億円。仮面ライダーは225億円でした。スーパー戦隊の売上は1/4ほどしかありません。

NetflixやYouTubeなど動画配信サービスの台頭で、子供たちのスーパー戦隊への興味関心が薄れたことが背景にあるのは間違いないでしょう。しかし、仮面ライダーの視聴率も2~3%であり、スーパー戦隊とさほど変わりません。

これは、合体ロボのビジネスモデルが大きく関係していると考えられます。

合体ロボは男の子が好きな要素をできる限り寄せ集め、それを融合させることで大型のロボットが誕生するという仕掛けになっています。

セットで買うとなると、なかなか高額に…

たとえば「爆上戦隊ブンブンジャー」の合体ロボは、パトカーやショベルカー、スポーツカー、クラシックカーなど8台のクルマと、それを収める大型トレーラーを合体させてロボットにするというもの。クルマの組み合わせを変えて、4つの形態を楽しむことができます。

クルマは1台1500円程度で購入できますが、ロボットに変形できる「DXブンブンジャーロボ 爆上4大ロボセット」ともなると1万6720円にもなるのです。

スーパー戦隊の合体ロボは、集める楽しさと合体させることの魅力が詰まったおもちゃであり、それが子供心をつかんで離しませんでした。それゆえに合体ができないと魅力は半減してしまいます。

そのため、最終形態は高額になってしまうのです。

「適正プレゼント価格」にフィットしなくなった

バンダイは子供へのクリスマスプレゼントに関する調査を行っています(「クリスマスに関する調査」)。それによると、2025年の平均予算は8378円。去年に比べて240円アップしていますが、「DXブンブンジャーロボ 爆上4大ロボセット」の1万6720円には遠く及びません。2倍近い差が生じています。

「太陽戦隊サンバルカン」に馴染んでいた昭和世代は、合体ロボが高嶺の花だった思い出を持つ人も多いはず。しかし、当時の販売価格は4950円。1980年代に大ヒットした「ドンジャラ」の定価が6600円(1992年版)でした。「ゾイド」も大型のタイプのものが5000円程度であり、合体ロボの割高感はさほどありません。

数百円で買えた「ガンプラ」などと比べると確かに高いですが、飛びぬけている印象はありません。

一方、現代の仮面ライダーの変身ベルトは、スタンダードなもので5~7000円が中心。豪華なセットでも1万円程度で購入できます。

2025年のクリスマスプレゼント予算のボリュームゾーンは5000円以上6000円未満。仮面ライダーベルトはこの価格帯に入りやすくなっています。

仮に合体ロボの構成要素の一部を予算内で収めたとしても、合体できない限り子供の満足度は上がらないでしょう。合体ロボがプレゼント価格にフィットしなくなったというのは、販売低迷に大いに関係がありそうです。

やはり強い…「ゲーム」の存在も見逃せない

競争環境の変化も挙げられます。

先ほどのクリスマスプレゼントの調査において、「子供が欲しいプレゼント/親があげたいプレゼント」の1位はゲームソフト。2位がゲーム機です。

ニンテンドースイッチ2は売れ行きが好調で、今年度の販売台数見込みを1500万台から1900万台に引き上げました。任天度のゲーム機はライトユーザー向けが中心。家族でも楽しめるのが最大の特徴です。マリオカートやスマッシュブラザーズなどで盛り上がる家庭も多いはず。ニンテンドースイッチはプログラミングなどの子供の学習を目的としたソフトも用意されています。

つまり、家族や友人、一人でも楽しむとなると、どうしてもゲームに軍配が上がります。

憧れのヒーロー像は変化しつつある?

さらに子供の価値観も変化しました。

テレビの民放番組がお茶の間の中心から外れたことで、有名YouTuberのゲーム配信や珍しいおもちゃを紹介するYouTube番組が子供の興味を引いています。また、Disney+やNetflixなど海外の動画配信サービスが浸透し、悪と戦う正義のヒーローはスパイダーマンやアイアンマンなどのマーベル作品に移り変わっています。憧れのヒーロー像は変化しつつあるのです。

スーパー戦隊の次は新シリーズ「PROJECTR.E.D.」が始まるとアナウンスされました。第1弾は「宇宙刑事ギャバン」の最新作で、メタルヒーローシリーズ路線を彷彿とさせます。公開されたビジュアルはマーベル作品の面影もあります。

新シリーズは子供たちの興味を引きつけることができるのか。そして関連グッズの売上が仮面ライダーを凌駕するものに成長するのか。新たな挑戦が始まりました。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

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