セブンイレブン、レジ横の「焼き立てパン」はヒットなるか?ドーナツは撤退も…5000店に拡大の計画も

セブンカフェベーカリーで特においしかった商品を並べてみました

セブンイレブン、レジ横の「焼き立てパン」はヒットなるか?ドーナツは撤退も…5000店に拡大の計画も

12月11日(木) 8:47

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セブンカフェベーカリーは成功するのか?

食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

最近じわじわ話題になっているのが、セブンイレブンの「セブンカフェベーカリー」。“セブンの焼き立てパン”と言えばわかりやすいかもしれません。これは店内で1個数分の最終焼成を行うことで、まるで焼き立てのような香りや食感を楽しめるもの。レジ隣にあるホットスナックに並ぶ形で登場しています。

しかしながら現段階において、専用オーブンが導入されている一部地域限定かつ一部店舗のみの限定販売ですから、いったいどんな味? 人気商品は? 全国販売になるのか? など、気になっている人は少なくないはずです。

そこで今回はそんな疑問の少しでもこたえられるような話をしようと考えました。セブンの焼き立てパンの魅力をご紹介しながら、ヒットのカギを握る商品がどのようなものなのかを考えてみたいと思います。

おしゃれな紙袋に驚いた



セブンカフェベーカリーは大きく分けて3種類あります。お店で焼いたパン、お店で揚げたカレーパン、お店で揚げたドーナツ。

セブンではこれまでにもドーナツ商品の撤退(2014~2017年)やカレーパンのギネス記録認定(2024年)など、数々のトライ&エラーを重ねてきているため、何が売れるのか? というマーケティング力はかなり高いことが想像できます。

またパンを包む紙袋のデザインを見ると、シンプルながらもおしゃれ。売れるパンの条件を十分に熟知してそう。

提供される商品はエリアや店舗ごとに異なりますが、私が一通り食べてみた中で特に気になった商品を並べてみました。

おいしさのポイントは、“フワじゅわ感”



専門ベーカリー、スーパーのインストアベーカリー、ホテルの朝ごはん、カフェ……。日本でおいしいパンを探そうとすると、どこもレベルが高いのが正直なところです。

つまり今の日本は、おいしいパンが種類豊富でそろい、しかも手軽な価格食べられるパン天国。そんな中、セブンで特に心に残ったものを並べてみました。

食事系で気になったのは、メロンパン、明太フランス、フレンチトースト。メロンパンはサクッと軽やかな食感にバターの香ばしさが加わり、焼き立てのおいしさが際立ちます。また明太フランスとフレンチトーストは一口食べた時のふんわり感と、口の中に入れた時のじゅわっとした食べ心地が魅力的です。

ズバリこの3つに共通しているのは、“サクじゅわ感”。大ぶりでありながらも食べやすさにこだわって開発された人気パンが、焼きたてのような状態で提供されるのはコンビニ商品としては画期的と言えるでしょう。

しかしながら競争の多いパン業界において、これらの定番商品だけでは継続的なヒットにはなりません。セブンとしてもそれを見越しているのか、次なる秘策がすでに登場しているのです。

人気の火付け役は、ずっしり重いアメリカンクッキー



●「お店で焼いたチョコクッキー」200円
●「お店で焼いたブラッククッキー」260円

SNSでの反応を見ていくと、もっとも評価が高そうなのが「クッキー」。クッキーと言ってもどこにでもありそうなタイプではなく、ずっしり重い厚めのアメリカンクッキーです。温かい状態で口の中に入れると、ほっくりしっとりチョコのとろけるような食感がたまりません。

これぞ、「こういうのを食べたかったんだ!」と叫びたくなるような満足感。他の競合品を見てもコンビニやスタバなどで販売されている大判クッキーよりもはるかにワクワクするビッグサイズで、クッキー界に現れた彗星と言いたいところです。うーん、おいしい!

バターたっぷりな焼き菓子は、“手軽な非日常”を味わえる



●「お店で焼いた焦がしバター香るフィナンシェ」160円

もう一つ、セブンカフェベーカリーのヒットのカギとなりそうなのが、バターの魅力を堪能できる焼き菓子類。

そもそもフィナンシェやマドレーヌは、有名焼き菓子専門店で行列スイーツになるほどのポテンシャルを持つ存在で、セブンの「お店で焼いた焦がしバター香るフィナンシェ」は十分おいしく価格が控えめであるがゆえに、専門店との差別化に成功しています。

X上の評判を見ると、「めちゃくちゃおいしい、目の前に10個置かれたら10個とも食べられるから危険」と絶賛の声が目立ちます。

また今夏には、同シリーズの抹茶味「お店で焼いた 宇治抹茶フィナンシェ」が北海道と九州エリア中心の一部店舗で販売され、話題作りにも成功しているのです。

つまりセブンにおける焼き立てパン人気の立役者は、クッキーやフィナンシェといった焼き菓子。“手軽な非日常”を味わえる存在として今後も注目されていくに違いありません。

セブン&アイ・ホールディングスは今年の8月に、2030年度までの新たな中期計画を公表。そこには、国内約1000店の純増を目指し、既存店では焼き立てパンなどを販売できる新設備を5000店以上に導入するとありました。

これらのことからも、今後ますます面白い新商品が登場する可能性は大。さあ、皆さんはどう思いますか?

<文・撮影/食文化研究家スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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