「W杯北中米大会」日本はオランダと同組に。30年間で変わった日本代表の位置づけ

写真/産経新聞社

「W杯北中米大会」日本はオランダと同組に。30年間で変わった日本代表の位置づけ

12月10日(水) 8:51

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’26年に開かれるFIFAワールドカップ北中米3か国大会の組み合わせ抽選会が、米ワシントンで日本時間12月6日に行われた。日本はグループリーグでオランダ、チュニジア、欧州プレーオフBの勝者との対戦が決定。今大会には史上最多48チームが参加、全104試合が行われる予定。

ジャーナリストの森田浩之氏はW杯を鏡に例え、そこに映るものがここ30年間でどう変化してきたのかを分析する(以下、森田氏による寄稿)。

’26年W杯組み合わせ決定

この原稿を書いている時点で、私は来年6月に開幕するサッカーW杯の組み合わせ抽選の結果を知らない。だが日本代表が戦いやすいグループに入るか、「死の組」に放り込まれるかにかかわらず、一つ確かなことがある。それは’26年のW杯が、日本サッカーの歴史で最も勝利が現実視される大会になるということだ。

その根拠は、最近の日本代表の戦績だ。前回’22年のカタール大会で日本は、ドイツ、スペインという2つの優勝経験国を撃破。今年10月には「王国」ブラジルを相手に、0-2から逆転勝ちを収めた。

いずれの試合も決して偶然ではなく、確かな実力によって世界の強豪を破った勝利だった。欧州のクラブで主力を張る選手が増えるなかで、日本は格上の相手を押し返す力を備えつつある。ファンもこれらの勝利を「奇跡」扱いせず、勝因を冷静に議論し、代表が世界の上位に近づいていることを現実として認識した。

日本代表、そして日本人にとって、W杯は世界における自らの位置を測る指標として重要性を増してきた。その変化は、ここ30年を振り返るとよくわかる。

1990年代、W杯はあくまで夢の舞台だった。「ドーハの悲劇」(1993年)と「ジョホールバルの歓喜」(1997年)は、テレビの同時性を通じて国民を一つに束ねながら、まだ「世界」の外側にいる日本を強く意識させた。翌年のW杯初出場は、結果よりも「ついに世界の舞台に立った」という象徴性が勝った。

’02年の日韓大会は、W杯を国民的祝祭へ押し上げた。東京・渋谷を埋める青い人波、連日のパブリックビューイング。そしてベスト16進出は「日本は世界で戦える」という確かな手応えを生み、代表は夢の象徴から「現実の競争者」へと位置づけを変えた。

W杯は国の誇りと現実を映す巨大な鏡

この祝祭的な一体感は、’10年代に入って徐々に変容する。欧州でプレーする選手が増え、ファンの視線は単にW杯に出場することから、どこまで勝てるかに移っていく。

この時期には、SNSの普及が日本代表の意味を大きく揺さぶった。かつては国民がテレビの前に集まったが、この頃から数千万の画面とスマートフォンがつながり、ファンは試合を見ながらプレーや采配を批評しはじめた。代表戦は祝祭だけでなく、分析と議論の場になった。

そして’22年大会での強豪国撃破は、日本人のW杯観を新たな次元へ押し上げた。来年の大会を前に日本に漂うのは、過剰な幻想ではなく、かつてない現実味を伴う期待だろう。

W杯を戦う代表は、日本人の抱く誇りと現実を映し出す巨大な鏡。’26年、そこにはどんな日本が映るのだろうか。

<文/森田浩之>

【森田浩之】
もりたひろゆき●ジャーナリストNHK記者、ニューズウィーク日本版副編集長を経て、ロンドンの大学院でメディア学修士を取得。帰国後にフリーランスとなり、スポーツ、メディアなどを中心テーマとして執筆している。著書に『スポーツニュースは恐い』『メディアスポーツ解体』など

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