子どもの体験格差は習い事にも? 約3割が実感、その理由は?
NEXERはこのほど、「schola+(スコラプラス)」と共同で、中学生以下の子どもがいる全国の保護者183名を対象に「習い事の格差問題」についてのアンケートを行いました。
習い事の格差問題を感じたことはある?
子どもの教育機会の提供は、保護者にとって重要な関心事ですが、選択の自由や機会の平等性が近年、問題視されています。
地域や経済状況によって、習い事の選択肢や参加のしやすさに「格差」があると感じる人もいるようです。
ということで実施された今回の調査。どのような実態が明らかとなったでしょうか。
中学生以下の子どもが通っている習い事、「スイミング」が4割超に
まずは子どもが現在、習い事やスクールに通っているかを聞いています。
習い事に「通っている」のは45.4%と半数以下でした。
地域や家庭の状況によって習い事へのアクセスに差があるのでしょうか。
次に、子どもが通っている習い事として当てはまるものを選んでもらいました。
最も多い習い事は「スイミング」が43.4%で、基礎体力向上や安全面を重視する傾向が強いことがわかります。
次いで「学習塾」が32.5%と高く、体力・技能と学力の両方を重視するバランス志向が見て取れます。
「その他」と回答した人に、具体的にどのような習い事なのかを聞きました。
「その他」の回答
・お絵描き教室。(女性・30代)
・そろばん。(女性・30代)
・テニス。(女性・30代)
・野球。(女性・40代)
・バスケットボール。(女性・40代)
・クラシックバレエとロシア語を習っています。(女性・40代)
・習字。(男性・50代)
「その他」の習い事には、テニスや野球、バスケットボールといった多様なスポーツ系に加え、お絵描き教室やそろばん、習字といった伝統的・芸術的な分野が含まれています。
とくにクラシックバレエとロシア語のように、特定の分野に特化した習い事も見られ、保護者が子どもの個性や多角的な才能を伸ばすために、選択肢を幅広く検討している実態がうかがえます。
3人に2人が、習い事を選ぶときに重視したポイントは「通いやすさ」
続いて、習い事を選ぶときに重視したポイントを3つまで選んでもらいました。
習い事を選ぶ際の最も重視する点は「通いやすさ(距離・送迎)」であり、「子どもの興味」よりも高い結果でした。送迎や時間確保といった保護者の負担が、習い事選びの最大の制約条件となっているようです。
9割超が、期待していた「体験」が得られたと「感じる」
次に、実際に通わせてみて、期待していた「体験」が得られたと感じたかを聞いてみました。
「とても感じる」と「ある程度感じる」を合わせると91.5%と、満足度が非常に高いことがわかります。
習い事が、学力向上だけでなく、子どもの成長や精神的な充実という面で高い付加価値を提供しているようです。
次に、それぞれの回答理由をくわしく聞いています。
「とても感じる」回答理由
・小さい頃から英会話に取り組めば自然と身につくようになるから。(20代・女性)
・自分の好きなことなのでめきめきと上達している。(30代・女性)
・字をキレイに書くコツを教えてくれて実際にキレイな字が書けるようになってきたから。(30代・女性)
・同世代の子どもには体験できない事を体験できるから。(30代・男性)
「ある程度感じる」回答理由
・跳び箱が飛べるようになった。(30代・女性)
・子どもの上達具合をみて、成長を感じるから。(30代・女性)
・一通り泳げるようになったから。(40代・女性)
・同じ目標を持った仲間と一生懸命努力する練習をしているから。(40代・女性)
・年中からスイミングとピアノを習っています。継続力が養われている感じがあります。(40代・女性)
「あまり感じない」回答理由
・教材や授業内容が合っていないと感じたから。(30代・男性)
・進級していない。(30代・女性)
・習ったことしかできない。(40代・女性)
・あまり積極的に通おうとしないから。(50代・男性)
「英会話の自然な習得」「具体的な技能の上達(跳び箱、水泳)」「継続力」といった明確な成長と付加価値にあります。
一方で、「あまり感じない」理由は、「教材や内容の不適合」や「子どもの意欲不足」が中心でした。
効果を実感するには、子どもの興味と教室の質が合致しているかに大きく左右されることがわかります。
4人に1人が、習い事に通わせにくいと感じたことが「ある」
続いて、習い事に通わせにくいと感じたことはあるかを聞きました。
保護者の25.3%が習い事に「通わせにくいと感じたことがある」と回答しており、4人に1人以上が何らかの障壁を感じていることがわかります。
次に、通わせにくさを感じた理由は何かを聞いてみました。
通わせにくさの理由は、「送迎が大変」が61.9%、「費用が高い」が57.1%、「時間が合わない」が52.4%と上位を占めました。地理的・経済的・時間的な要因が絡み合い、習い事の継続を困難にしているようです。
次に、習い事に通わせにくいと感じた理由を具体的に聞いています。
習い事に通わせにくいと感じた理由は?
・兄弟もいて送り迎えが大変。時間が合わない。(30代・女性)
・近くに教室がないのと、時間とコスト面。(30代・女性)
・大雨なのにチャリで。(40代・女性)
・年々月謝が上がっているため。(40代・女性)
・学校の時間割や他の習い事との兼ね合いがあった。(50代・男性)
通わせにくい理由は、兄弟の送迎や悪天候による親の労力、月謝が上がるなどの経済的負担、ほかの習い事との兼ね合いによる時間の制約が影響していることがわかります。
約3割が、習い事による体験格差を感じたことが「ある」
続いて、習い事による体験格差を感じたことがあるかを聞きました。
「よくある」と「ややある」と回答したのは合わせて26.5%でした。保護者の4人に1人以上が、周囲との間で子どもの体験に差があると実感しているようです。
次に、体験格差を感じたことが「ある」理由をくわしく聞いています。
「よくある」回答理由
・運動体験などの差がある。(30代・女性)
・通いやすさ。(30代・女性)
・子どもの頃から通っている。(30代・男性)
「ややある」回答理由
・学校教育だけでは、身につかない事が多々あると感じるから。(30代・女性)
・授業参観などで、上手にできているほかの子をみた時。(30代・女性)
・水泳の授業があるので、習っている子とそうでない子の違いがはっきり出ますし、水着が一人で着られないという子がいることにもびっくりしました。(40代・女性)
・知り合いで子どもの意思に関係なく色々習い事をさせている家庭があり、うちは費用や時間を熟慮した上でしか通えないので違うなと感じる。(40代・女性)
保護者が感じる体験格差は、「学校教育だけでは身につかない知識や技能」の差に多くあるようです。
とくに「水泳の授業」のように学校の場で習い事の有無が可視化される場面、費用や時間を熟慮せず多様な習い事をさせる家庭との比較から、格差を感じていることがわかります。
調査概要
「習い事の格差問題に関するアンケート」
調査手法:インターネットでのアンケート
調査期間:2025年11月11日〜11月25日
調査対象者:中学生以下の子どもがいる全国の保護者
有効回答:183サンプル
質問内容:
・質問1: あなたの中学生以下の子どもは現在、習い事やスクールに通っていますか?
・質問2: あなたの中学生以下の子どもが通っている習い事として当てはまるものをすべて選んでください。
・質問3: 習い事を選ぶときに重視したポイントとして当てはまるものを3つまで選んでください。
・質問4: 実際に通わせてみて、期待していた「体験」が得られたと感じますか?
・質問5: そう感じる理由を教えてください。
・質問6: 習い事に通わせにくいと感じたことはありますか?
・質問7: 通わせにくさを感じた理由として当てはまるものをすべて選んでください。
・質問8: 習い事に通わせにくいと感じた理由を具体的に教えてください。
・質問9: 習い事による体験格差を感じたことがありますか?
・質問10: どのような時に体験格差を感じたことがあるか教えてください。
※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合があります。
・引用元:NEXERと「schola+(スコラプラス)」( https://www.buscatch.com/scholaplus/ )による調査
NEXER
https://www.nexer.co.jp/
(マイナビ子育て編集部)
