みなさん、こんにちは! ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子(すみゆうこ)です。早いもので今年も残りわずか。年の瀬のやることといえば、家の中の掃除・整理整頓ですよね。なかでも服の整理については多くの人が、捨てられないことに対して悩んでいるようです。
とくに厄介なのが、代わりのきかない「思い出の品」の処分。今回は、整理整頓を成功させるために必要な3つの考え方についてご紹介いたします。
7割以上が「捨てられないアイテムを持っている」
宅配収納サービスを運営する株式会社サマリーが2024年5月、全国の18~50歳の女性300名を対象に「衣替え・衣類保管に関する調査」を行ったところ、約9割がトップスやボトムス、コートなどファッションアイテムを合わせて50着以上、所持していると回答。
また7割以上が「捨てられない思い出のアイテム」や「高価なファッションアイテム」など、簡単には捨てられない「メモリー衣類」に分類されるアイテムを持っていることが分かりました。
別に思い出に固執しているわけではないけれど、捨ててしまったら後悔するかもしれない……。そう思うと「捨てどき」を迷ってしまうのかもしれませんね。
とくに多いのは、幼少~学生時代から取ってある服。ウェディングドレスなど、大切な記念日に使用した服。サイズアウトで着られなくなったけれど、痩せたら着たい服。ライブTシャツなど限定品。これらの品目が思い出の品に分類されることが多いです。
思い出の品を手放すには、準備段階が必要
たしかに、捨ててしまったらもう二度と同じものは手に入りません。たとえ同じものが今売られていたとしても、新品に“身につけていた時の思い出”は付着していませんから、捨てたらまた買えばいいという話でもない。これは、経験や体験に価値を置く人ほど“その時に持っていたもの”への執着が強まりやすい傾向があるためです。
しかし、捨てる勇気がないからといってまた翌年に持ち越しては、捨てる日は永遠に訪れないまま。
思い出の品を手放すには、しっかりと思い出の品と向き合う準備段階が必要です
。整理整頓したい服が増えてきたと感じたら、まずは次の3つについて深く考えてみましょう。
1:劣化しても価値が残るものは持っていてOK
いきなり思い出の全てを処分するとなると、かなり心苦しいものがあります。思い出の品はとても大切なものですので、一部は残しても良いと自分にOKを出しましょう。ただ、どうせ残すなら時間を重ねるごとに良さが滲み出るものを残しておきたいですよね。例えば、思い出の服の中でもヨレヨレ・しわくちゃな服や虫食いで穴の空いたニットなどは取っておいても劣化するばかりです。
しかし、パールやレース、上質で仕立ての良いワンピースやジャケットなど、色褪せてもそれが味になるような服は残しても良さそうですよね。
たとえ他のものより思い出が深い服であっても、“服そのもの”の価値は別です。クローゼットから見える場所に置いて、気分が上がらない服は思い出そのものに価値はあれど、その服に価値はないので思いきって手放しましょう。その分、残した服は大切に慈しむ心を忘れずに。
2:思い出日記&ボックスで一部を残す
一方で、「赤ちゃんの時の肌着を母が持っていてくれたので気軽に捨てられない」など、見た目が劣化していても思い出としての価値がかなり高い服や小物もありますよね。
そういった、圧倒的に代わりのきかない服に関しては、
その一部だけを「思い出の作品」として残しておくのもおすすめです
。例えばですが、服の布地を一部切り取り、アルバムや日記に貼り付けて思い出エピソードを記録するといった、思い出日記を書くのも良いですね。そうした手間が面倒な方は、処分前に写真を撮ってどんな服だったかを見返せるようにしておくのも一つの対策です。
また、大きめのボックスもしくはクローゼットの1割程度に
「思い出エリア」を作るのも良さそうですよ
。限られた場所に限られた分だけをしまっておく。そこから溢れるものは全て処分するか入れ替えるということで、思い出を全て捨てずに整理整頓することができそうです。
3:「プチ喪失感」は必ず訪れるものと知る
捨てるという行為には、必ず大なり小なりの喪失感を伴います。こう言うとなにか大げさなようにも感じますが、私たちは大人になるほど、得るものよりも失うものが増えていき、無意識のうちにそれがものへの執着にもつながっているのではないでしょうか。
失うものへの恐れは、身近な友人や家族だけでなく、若い青春時代との決別、過去の栄光など様々な理由があり、そこに付随した愛着のあるモノがなくなると、それらの大事なものまで欠けてしまうような気分になります。もちろん単にスペースが空くと生まれる、あのガランとした寂しさを感じたくないという方もいらっしゃいますね。
そうした、失うことへの寂しさに気持ちがフォーカスされると、どうしても捨てるという行為を前向きに感じられなくなってしまうのです。
ですが、
私たちは何かを失うことを止められはしません
。そして、それは誰の上にも平等に訪れるので、喪失感をなくすことはなかなかに難しい。あまり“もの”に執着をしない筆者でも、ものを捨てる瞬間はチクリと痛い喪失感を覚えます。この時に、「やっぱり捨てなければ良かった!」と、捨てた自分を責めてしまうと、この先も何かを処分することに罪悪感が生まれてしまいます。捨てるときは覚悟を決めて、その喪失感は必ず訪れるものだと受け入れてみるのはいかがでしょうか。
手放すことを後悔しないためには?
思い出の服が捨てられないのは、あとあとになって捨てたことを後悔したくないから。捨てるという行為を「失った」と捉えると、いつどんなものを捨てても後悔しやすくなるので、まずは考え方から切り替えてみましょう。
本当の整理整頓とは、「新しい私に変化」するためのもの
。今の自分にとって何が必要で、不必要なのか。物理的に服を整理すると、心の整理にもつながっていくという心もちで服の整理整頓に臨んでみてくださいね。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105
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