ビタミンCや食物繊維、カリウムなど日常生活で積極的に取り入れたい10種の栄養素がぎっしり含まれているキウイフルーツ(以下、キウイ)。身近なフルーツとして日本でもすっかりおなじみの存在となったキウイですが、主要産地である本場ニュージーランドではどのような食べ方をしているのでしょうか?現地の声を聞いてみると、意外な「日本との違い」がわかりました。
日本よりも多彩なキウイの食べ方
まず、話を聞いたのはニュージーランド北東部に位置するタウランガでキウイ農園を営むティムさんとリンダさんの夫妻。日本でもおなじみのグリーンキウイとサンゴールドキウイの2種類を6ヘクタールにもおよぶ広大な農園で栽培しています。
「ニュージーランドではキウイは本当に料理に用いられます。たとえば、サラダや前菜に入れる際は生のキウイをそのまま入れてもおいしいですが、ドライフルーツにしたキウイもおすすめ。食感もいいですし、見た目もかわいいですね。また、ニュージーランドでは、皮ごと食べる人も珍しくないんですよ」
ニュージーランドといえば、ラムの産地としても世界的に有名ですが、ラム料理にはよく使われるとのこと。
「グリルしたラム肉のソースとして、グリーンキウイをよく使います。グリーンキウイに多く含まれる酵素の働きでお肉がすごく柔らかくなるんです。まだ試したことがない方はぜひ食べてみてください」
グリーンキウイが多く含んでいる酵素「アクチニジン」はお肉を柔らかくしてくれるだけでなく、消化を助ける働きもあるそう。日本ではメイン料理にキウイが使われることはまだまだ珍しいですが、キウイが持つ酸味と肉料理の相性はたしかによさそうです。
「あとは、なんといってもジャム。サンゴールドキウイでもグリーンキウイでもおいしくつくることができて、パンでもヨーグルトでもなんでも相性は抜群です」
ティムさんご夫妻がつくるジャムはニュージーランド国内の大会で何度も入賞した実績もあるそうで、「詳しいレシピは秘密だけど、キウイと砂糖しか入れていないわよ」と本人が明かす自家製ジャム、実際に筆者が試食してみると、その豊かな甘みと爽やかな酸味が印象でした。
肉料理だけでなく、魚料理とも好相性
次に話を聞いたのは料理人のマイケル・ヴァン・デ・エルゼンさんです。マイケルさんはテレビ番組で活躍するほか、イギリスやアイルランドでもレストランを経営するニュージーランドを代表するシェフ。料理で使う材料の多くを自らの農園で栽培しているというこだわりを持つマイケルにはキウイを用いたレシピとともに食材としてのキウイの魅力を教えてもらいました。
「肉料理だけでなく、魚との相性もいいんです。キウイの酸味はいいアクセントになりますよ。マグロは日本でもポピュラーな魚だと聞いていますが、キウイと合わせてみると本当によく合います。ラム肉が柔らかくなるので、グリーンキウイをソースに使うことがニュージーランドでも多いですが、実はサンゴールドキウイもおすすめ。サンゴールドキウイの濃厚な甘みはソースに最適で、ラムだけでなく、チキンなどにもよく合いますよ」
さらにマイケルさんは日本の食材から着想を得たというレシピも披露。
「サンゴールドキウイはピクルスにしてもおいしいんです。火を入れることでトロッとした食感になります。実はこのピクルスは日本を訪れた際に食べた漬物を参考にしています。日本の漬物は本当にバラエティに富んでいますよね。このキウイのピクルスもぜひチャレンジしてもらいたいです」
最後には日本でも人気が高まっているルビーレッドキウイを使ったデザート。
「りんごなどでパイをつくろうとするとどうしても時間がかかってしまいますが、キウイなら果物の火の通りを気にする必要はそこまでありません。短い時間でできあがることも料理の大切なポイントですからね。ルビーレッドキウイの熟したベリーのような風味はパイの材料としてはとても適していると思います」
日本人よりもはるかに多様なキウイの食べ方をしているニュージーランド。キウイがより身近な存在であるニュージーランドの人々の習慣、試してみると新たな魅力に出会うことができそうです。
◇炙りマグロのグリーンキウイとキュウリ和え
【材料(4~6人分)】・キハダマグロ(ほかのマグロでも可) 300~400g
・ひまわり油 大さじ 1
・シーソルト (フレーク)
・グリーンキウイ 3個
・キュウリ 1/2本
・パクチー (みじん切り) 1/2カップ
・炒り白ごま 大さじ 2
・黒ごま 大さじ 2 (お好みで)
・しょうゆ 大さじ 2
・黒酢 大さじ 1
・ごま 大さじ 1
・盛り付け用のロメインレタスの葉 (小)
【作り方】①バーベキューグリルまたは鉄板焼きプレートを火にかける (ない場合は直火かガスコンロの上に焼き網を置いて調理、ガスの魚焼きグリルで調理することも可)
②マグロに薄く油を塗り、シーソルトで下味をつける
③マグロを片面約1分ずつ焼いたら火からおろして寝かせる。これによって、できるだけレアな状態を保ちながら表面に色を付ける。
④フルーツナイフなどでキウイの皮を薄くむき、1㎝の角切りにする。皮をむいたキュウリを半分に切る。スプーンなどで種を取り除いたら、キウイと同じサイズの角切りにする
⑤マグロを2㎝の角切りにし、ボウルで他の材料と混ぜ合わせる。さらに少々の塩で味を調え、ロメインレタスの葉に大さじ2杯分をすくってできあがり
◇ラム肉とサンゴールドキウイ・チェルムーラソースのミニキャロット添え
【材料(4人分)】・ラムのランプ肉(脂身を取り除いたもの) 2~3枚
・ひまわり油(調理用) 大さじ1
・ミニキャロット 12本
・ひまわり油 大さじ2
・ローストアーモンド 1/2カップ
(以下、チェルムーラソース用)
・サンゴールドキウイ (皮をむいたもの) 2個
・たまねぎ(粗みじん切り) 1個
・にんにく (皮をむいてつぶしたもの) 4かけ
・カレー粉 大さじ 2
・パプリカ 大さじ 1
・パクチーの葉 (少量を飾り用にとっておく) 1カップ
・ミントの葉 1/2カップ
・レモンの絞り汁 1個分
・フレークソルト 大さじ 1
(以下、ミントドレッシング用)
・ギリシャヨーグルト 大さじ4
・ミントの葉(みじん切り) 1/4カップ
・はちみつ 大さじ 1/2
・塩、こしょう少々
【作り方】①キウイと他の材料をミキサーに入れて、全体がなめらかになるまで混ぜ、チェルムーラソースを用意する
②チェルムーラソースにラム肉を30分以上漬け込む。 漬け込む時間は長いほどいい。
③オーブンを200度に予熱しておく
④少量の油を入れたボウルにミニキャロットを入れ、下味をつける。 ミニキャロットをオーブントレーに並べ、12分(または火が通るまで) 焼く。
⑤耐熱フライパンを予熱しておき、ラム肉を油通ししてからフライパンに並べる。 両面に軽く焼き色がついたら、オーブンに入れて焼く
⑥ラム肉の温度が58度に達したら取り出し、軽くふたをして10分休ませてから、ミニキャロット、ドレッシング、砕いたアーモンドを添えてできあがり
◇サンゴールドキウイ ピクルス
【材料(4~6人分)】・サンゴールドキウイ 4個
・トマト(1cm角切り) 2個分
・たまねぎ(みじん切り) 1/2個
・にんにく(つぶしたもの) 1片
・しょうが(皮をむいて細かくすりおろしたもの) 大さじ2
・レモンの絞り汁 2個分
・グラニュー糖 大さじ2
・シナモンパウダー 小さじ 1/2
・ナツメグパウダー 小さじ 1/2
・シードルビネガー 100ml
・塩 ひとつまみ
【作り方】①フルーツナイフなどでキウイの皮をむき縦1/4に切ってから、1㎝の角切りにする
②キウイ以外のすべての材料を厚手の鍋に入れる。中火にかけ、よくかき混ぜながら沸騰させる。砂糖が溶けたら火を弱め、15分間(またはとろみがつくまで)煮込む
③角切りにしたキウイを加え、さらに1分ほど煮て混ぜ合わせる
④鍋を火から下ろし、冷ましてできあがり
◇ルビーレッドキウイのシナモン風味クロスタータ
【材料(6人分)】・小麦粉 1.5カップ
・グラニュー糖 大さじ 3
・塩 ひとつまみ
・無塩バター 150g (細かくカット)
・ピュアバニラビーンズペースト (またはバニラエッセンス) 小さじ 1/2
・アーモンドエキス 小さじ 1
・水 1/4カップ
・ヨーグルト(またはマスカルポーネ)
(以下、フィリング用)
・ルビーレッドキウイ(サンゴールドキウイで代用も可) 5個
・レーズン 1/2カップ
・ブランデー 大さじ 2
・黒砂糖 大さじ 1
・シナモンパウダー 小さじ1/2
・アイシングシュガー 大さじ1
【作り方】①ボウルに小麦粉、砂糖、塩を入れてよく混ぜ合わせる。バターをゆっくり加え、豆粒大になるまで手でもむ。バニラエッセンス、アーモンドエキス、水をゆっくり加え、生地がしっとりとしてまとまった状態にする(市販のパイシートで代用も可)
②レーズンをブランデーとぬるま湯少々に10分浸しておく。フルーツナイフなどでキウイの皮をむいて1/4に切り、黒砂糖およびシナモンパウダーと混ぜる。レーズンの水気をよく切り、キウイに混ぜる。
③オーブンを180度に予熱しておく
④クロスタータ生地を厚さ5mm位で小さな皿のサイズに伸ばし、耐油紙を敷いたバットにのせる
⑤よく水気をきったキウイミックスをスプーンですくい、縁を5cm残して中央に置く。 生地の端を折り返す。外側にぐるりとハケで水を塗り、アイシングシュガーを振りかける
⑥オーブンに入れ、こんがりときつね色になるまで35分焼く。オーブンから取り出して冷ます
⑦お好みでヨーグルトやマスカルポーネを添える
<文/女子SPA!編集部>
【女子SPA!編集部】
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