12月5日(金) 23:00
令和7年度税制改正で、所得税がかからない収入の範囲が広がりました。施行は2025年12月1日からとなります。
具体的には、これまでの基礎控除の48万円が58万円に引き上げられます。さらに給与所得者の給与所得控除が55万円から65万円に引き上げられ、合計で123万円となりました。
ここまでは給与所得者すべての人に適用される引き上げですが、さらに収入に応じて基礎控除が加算されることになりました。
【令和7年以降の基礎控除の金額】
| 納税者本人の合計所得金額 | 控除額 | |
|---|---|---|
| 令和7年・令和8年分 | 令和9年分以降 | |
| 132万円以下 | 95万円 | 95万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | |
| 655万円超2350万円以下 | 58万円 | |
| 2350万円超2400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
| 2400万円超2450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
| 2450万円超2500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
| 2500万円超 | 0円 | 0円 |
※国税庁No.1199 基礎控除より筆者作成
表をみるとわかるように、本人の合計所得が132万円以下の場合は、最大の160万円(本来の基礎控除58万円+所得に応じた基礎控除増減額37万円+給与所得控除65万円)までの収入であれば、所得税は非課税となります。
また年末時点で19歳~23歳の「特定扶養親族」に該当する子どもがいる場合には、親の特定扶養控除はこれまで通り63万円の所得控除が受けられることになっています。
今回の所得税の非課税となる収入の上限枠の引き上げや所得による控除額の改正によって申告書様式の変更となっています。
「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等の申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」と今回新設された「特定親族特別控除申告書」も以前の申告書に統合されて1枚となっています。
※引用元:国税庁「令和7年分 給与所得者の『基・配・特・所』申告書」
また2025年の年末調整で、「扶養控除等(異動)申告書」の様式も変更になっています。
※引用元:国税庁「令和7年分 給与所得者の扶養控除申告書」
図にあるように、申告書の変更箇所や新設箇所があり、金額の入力間違えや特定親族の記入漏れなどが考えられますので、該当する項目がある人は、しっかりと確認をしながら記入しましょう。記入漏れや金額の間違えで、本来戻ってくる税金が少なくなる可能性もあるかもしれません。
所得税の課税されない収入のラインの引き上げは令和7年度税制改正で成立していますが、社会保険の被扶養者として認定される収入基準の引き上げはされませんでした。社会保険料の被扶養者の認定基準は、従業員50人超か50人以下で上限が変わります。
現在は、従業員51人以上の企業に勤める場合は106万円まで、従業員50人以下の企業に勤める場合は130万円までとなります。所得税のかからない収入ラインが引き上げられていますが、社会保険の扶養要件も確認することが大切です。
また所得税が非課税となる収入の上限が引き上げられましたが、扶養者が務める企業によって、家族手当や配偶者手当の規定がある場合の所得要件も確認しておきましょう。税制上での変更があったとしても、企業の規定が変更されていなければ、手当がなくなる可能性もあるかもしれません。
令和7年度税制改正で、所得税がかからない収入ラインの引き上げが決まり、2025年は収入を増やす働き方をしたという人もいるでしょう。
2025年3月31日に成立しましたが、実際に施行されるのは2025年12月1日となり、実感がないという人もいるのかもしれません。今年の年末調整で初めて非課税となる収入の上限枠が引き上げられたことを実感する機会となり、申告書も変更点が多くなっています。
記入漏れや誤入力の無いように確認して記入しましょう。
国税庁:No.1199 基礎控除
国税庁:各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)
執筆者 : 吉野裕一
夢実現プランナー
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