12月6日(土) 4:40
NISA(少額投資非課税制度)とは、投資で得た利益に税金がかからない制度です。通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、NISAで投資をする際はこの税金がかかりません(非課税枠の上限は年間360万円)。さらに非課税期間は無期限です。
また、「オルカン」とは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称で、初心者から経験者まで幅広く支持されている投資信託の1つです。
最大の特徴はこの1本で世界中の株式に分散投資できることです。アメリカの巨大IT企業から新興国の成長企業、日本企業まで数千社に分散できるため、投資先が特定の国や企業にかたよるリスクを抑えられます。
さらに、信託報酬(手数料)が年0.05775%以内と低コストなのも魅力のひとつです。手数料は保有している間ずっとかかり続ける費用で、運用資産から日々少しずつ差し引かれていきます。長く保有すればするほど手数料の差は大きな影響を与えます。
低コストで世界中の株式に分散投資ができるオルカンは、無期限・非課税で投資できるNISAと相性抜群と言えるでしょう。
では、オルカンに投資する場合に50万円の資金を一度に投資するか、毎月4万円ずつ分割投資するか、どちらがいいのかを考えてみましょう。
一括投資の最大のメリットは、「早く投資を始めることで、より長く市場の成長を享受できる」点です。例えば、1月に50万円投資したあと、4月に株価が上昇し、その後も右肩上がりに上昇を続けた場合などは相場の上昇の恩恵を最大限受けられるでしょう。
また、投資の手続きも一度きりなので、毎月の入金や購入を管理する手間もかかりません。長期で右肩上がりの相場が続くようなケースでは、早く全額を投資に回したほうが、トータルのリターンが大きくなる傾向があります。
ただし、一括で投資した直後に株価が大きく下がった場合など、投資するタイミングによっては損失が膨らむ可能性があります。
分割投資(積立投資)のメリットは、「価格変動のリスクを平均化できる」ことです。例えば、1月は株価が高かったけれど、4月に大きく下げて、その後年末にかけて少しずつ戻ってくるような局面では、少しずつ投資することで相場が高い時期に全額買ってしまうリスクを減らせます。
また、「急な値下がりが怖い」「投資が初めてで不安」という人にとっては、少しずつ投資することで精神的な負担を軽くし、無理なく続けられるという安心感があります。特に今年は4月のトランプショックで株価が大きく下がったり、10月の総裁選後に日経平均が5万円台を突破したりと値動きが激しい状況です。
分散投資では、相場が上下に動くような不安定な時期でも焦らずコツコツ積み立てていけるのが魅力です。
一部のデータでは、「長期投資では一括投資のほうが有利」とされるものもあります。
ニッセイ基礎研究所の分析によると、2000年1月から2023年11月まで年間12万円をNISA・オルカンで運用した場合、「年初に一括で投資した場合」と「毎月1万円ずつ積み立てした場合」では「年初に一括で投資した場合」のほうがリターンが高くなる傾向にありました。
2000年1月から2023年11月まで、年間投資額12万円を「1月に一括投資した場合」と「毎月1万円つみたて投資した場合」の23年11月末時点の資産額
・年初(毎年1月)に一括で12万円投資した場合……1152万円
・毎月1万円を投資した場合……1066万円
約23年間での差は86万円。
このデータは旧NISA制度下での分析である点には留意が必要ですが、「長期・分散・積立」という投資の基本原則は新NISA(2024年〜)でも変わりません。
一括か分割か──多くの人が「どちらが得か」を気にしがちですが、投資でいちばん大切なのは「続けられるかどうか」です。
長期的に見れば、一括投資のほうが最終的に得られるリターンは大きいかもしれません。「なるべく早く投資を始めて時間を味方につけたい」と思う人には、一括投資は魅力的に感じるでしょう。
一方で、株価が短期間で大きく上昇したり下降したりする局面では「株価が高いときに一括投資してしまった……」と気持ちが沈んでしまう可能性もあります。そのように値動きが気になる人の場合は、分割投資のほうが精神的にラクかもしれません。
一括と分割、どちらにもメリット・デメリットがありますが、どちらが「正解」かではなく、どちらが「自分に合っているか」を考えることが大切です。
せっかくのボーナスを有効に活用するためにも、自分にはどちらの方法が合っているかをじっくり考えたうえで投資を始めてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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